視覚や聴覚からの刺激によって引き起こされる心地よさや、脳がぞわぞわするような感覚を引き起こす音声・動画ジャンル「ASMR」。そんな「ASMR」を題材としたオリジナルアニメ『ある朝ダミーヘッドマイクになっていた俺クンの人生』が、10月12日よりTOKYO MXにて放送がスタートする。
本作は、ASMR部に所属し“ASMR甲子園”を目指す女子高生・浅草ゆりらが繰り広げるドタバタコメディ。ゆりのほかにも複数の個性的な女性が登場し、彼女らの日常をダミーヘッドマイクに転生した“俺クン”視点で覗くことができる。今回は、周りから「鉄の女」と呼ばれているクールビューティー・鐘ヶ淵つるぎ役を演じるLynnにインタビュー。作品の見どころに加えて、自身の好きな音についても語ってもらった。
【写真】キュートな笑顔がかわいすぎる! Lynn、撮り下ろしショット
■杉田さんが担当すると知った瞬間、“勝ち確”だと思いました
――本作はASMRを題材にしていたり、転生したらダミーヘッドマイクだったりと、設定からインパクトのある作品ですね。
Lynn:今はさまざまな“転生もの”作品がアニメになっていますが、まさかダミーヘッドマイクに転生という作品があるとは…。タイトルからはどんな物語になるのか想像がつきませんでしたが、とにかく今までにない面白そうな作品になる予感がして、オファーを頂けたことをとても光栄に思っています。
――実際にシナリオを読んでみての感想も教えてください。
Lynn:タイトル通り、俺クンはダミーヘッドマイクにも転生するのですが、実は他にもいろいろなものになるんですよ。時には食べられることもあって! 俺クンは本当にいろいろな目に遭わされます。私が演じるつるぎちゃんの回では、彼女が持っているあるものに転生するのですが、その使われ方を台本で見たときに「あー、そういうパターンですか」と思いました(笑)。ぜひ放送を楽しみにしていてください。
――俺クン役は杉田智和さんが演じられますね。
Lynn:杉田さんが俺クンを担当すると知った瞬間、もう“勝ち確”だと思いました。収録は残念ながらご一緒できませんでしたが、恐らく杉田さんと一緒だと笑いを堪えることができなかったので、かえってよかったかもしれません(笑)。杉田さんが俺クン役として収録した音声は聞くことができたのですが、いいお声で面白いことを淡々とおっしゃっているのが印象的でした。杉田さんのお芝居によって、見てくださる方もより感情移入しやすくなっていると思います。
――Lynnさんご自身の収録はいかがでしたか?
Lynn:つるぎちゃんは風紀委員長ということもあって、規則やルールを大事にしているんです。自分が守るのはもちろん、周りもそうあるべきだと思っている非常に真面目な子なんですよね。収録では、冷徹な感じを色濃く出すために、言葉にあまり抑揚を付けすぎなくていいというディレクションがありました。
一方で、真面目がゆえに自分が想定していなかったことが起きると、対応に困ってあたふたしちゃうんです。なので、クールということを基本的には意識しつつも、あたふたするかわいらしい面もちょっとは見せられたらいいなと思いながら演じました。
■夜の雨の音は世界に私ひとりしかいないという感覚になる
――LynnさんはこれまでASMR作品に参加したことはありますか?
Lynn:はい。大人っぽいメイドさんや近所の幼なじみなどを演じたことがあります。
――ふだんのアフレコとASMR作品でダミーヘッドマイクを使って収録するのとでは、意識することなどは違いますか?
Lynn:別物と言っても過言ではないくらい違います。ダミーヘッドマイクを使った収録だとマイクとの距離感も自由なので、近づいたり離れたりしながら収録できるんですよ。距離感によっていろいろな演出ができるのは、ならではなんじゃないかな。
あと、ふだんのマイクで収録するときって、直接息を吹きかける行為はNGなんです。一方のダミーヘッドマイクだと、そういう音も綺麗に拾えるらしくって。むしろASMR作品的には、あの「ぼわっ」っていうぞくぞくする音がいいとも教えていただきました。今までのアフレコでNGだったことをやるのに最初は戸惑いもありましたが、実際に収録した音を聞いてみたら本当に耳元で息を吹かれている感覚になって驚きました。音の力ってすごいなと改めて思いましたね。
――ASMR作品にご出演経験があるとのことでしたが、ふだんからASMR作品に触れることはありますか?
Lynn:プライベートではあまりないですね。自分が演じるときに参考として他の方の作品を聞くくらいです。あっ、猫のゴロゴロASMRは聞いたことがあります! 癒やされますね。
――なるほど! その他、Lynnさんが癒やされたり、心地よいって感じたりする音って何かありますか?
Lynn:夜、寝るときに聞こえてくる雨の音かな。
昼間に雨が降っていると出歩くのが嫌だなとか憂鬱な気持ちになることが多いんですけど、寝るときの雨の音って、何だか心地よくって。
――リラックスができる?
Lynn:うーん…。リラックスできるという感じではないかも。静寂のなかで雨が降っている音を聞くと、世界に私ひとりしかいないという感覚になるんですよ。他に意識する音が何もないので、眠りにつくにはちょうどいいんですよね。リラックスできるのは鳥のさえずりや滝の音、あとはよく分からない生き物の声ですね。水の「コポコポコポ」っていう音もリラックス効果がある気がします。
――なるほど。Lynnさんはラーメンがお好きですが、すする音なんかはどうですか?
Lynn:咀嚼(そしゃく)音好きな方もいらっしゃいますよね~。私は味に夢中です(笑)。
――最近はおウマさんにもハマっていらっしゃると思うのですが、ウマが走っている音なんかはいかがですか?
Lynn:あっ、その音は好きです! 「どのウマの足音でしょう?」とか「どの競馬場の芝で走っている音でしょう?」みたいなASMRコンテンツがあれば面白そうです。これめっちゃいいアイデアじゃないですかね!? もしそういうコンテンツがあるなら、ぜひ体験してみたいです。
■ASMR初心者の方が新しい扉を開くきっかけに
――今作はアニメだけでなく、キャラクターごとのASMR音声作品も展開されるとお聞きしました。こちらの収録はいかがでしたか?
Lynn:アニメよりも表情豊かなつるぎちゃんを演じました。耳元でささやくシーンなどもあるのですが、かなり楽しそうな雰囲気を出して収録した記憶があります。ASMR作品のほうでは、ふだんはクールなつるぎちゃんとのギャップを感じていただけると思いますので、もっと彼女のことを知りたい方はぜひ聞いてください。
――本作ではダミーヘッドマイクをはじめいろいろなものに転生をしますが、もしLynnさんが転生するとなれば、何になりたいですか?
Lynn:虹になりたいですね。虹って、みんなが喜んでくれるものじゃないですか。日常的に見られるものじゃないという特別感もいいですよね。
――確かに、虹が嫌いという人には出会ったことがないです。
Lynn:ですよね! 嫌いな人がいたら一度理由を聞いてみたいです(笑)。でも、虹が出ていないときは、私の意識はどこにいっちゃうんだろう。空をさまよってしまうのかな。…何だか深く考えてしまいましたが、とにかく、虹くらいみんなに愛される存在になりたいですね。
――本日はいろいろとお話ありがとうございました。最後にLynnさんが思う本作の推しポイントを教えてください。
Lynn:個性豊かでかわいい女の子がたくさん登場するのはもちろん、俺クンが何に転生して、何を見て、何を感じるのかっていうところも注目ポイントです。アニメはコメディタッチに物語が描かれていて、ASMRがあまり身近ではないという人も楽しめる作品になっているんじゃないかな。ASMR初心者の方が新しい扉を開くきっかけになるかもしれない本作をぜひ見てください!
(取材・文:M.TOKU 写真:小川遼)
アニメ『ある朝ダミーヘッドマイクになっていた俺クンの人生』は、TOKYO MXにて10月12日より毎週水曜25時放送。
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