本日公開となった映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』で、新キャラクターのネイモアとリリ・ウィリアムズ(アイアンハート)を演じる浪川大輔と早見沙織。MCUのフェーズ4を締めくくる最後の作品で抜擢された2人が、マーベル参戦の感想から繊細な役作りの裏側、そして互いの印象までを語り尽くす!

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■浪川大輔「スパイダーマンが好き」 早見沙織「ヴェノムの魅力に結構ハマっていて」

――今回物語の重要なキーとなるキャラクターを演じられているお二人ですが、「スパイダーマン」シリーズにもお二人とも関わっていらっしゃいました。

マーベル・シネマティック・ユニバースにはどんな印象をお持ちでしたか?

浪川:派手さもあり、シナリオもしっかりしていて、歴史もある。どのキャラクターも一つの作品を引っ張れるというキャラクターの強さみたいなものは、圧倒的だと感じていました。しっかりと作品を背負えるほどの濃さというのは、他からしたら脅威なんじゃないかと思います。そこに、マーベル作品の底力を感じます。

早見:浪川さんがおっしゃっていたこともあるかと思いますが、私のまわりでも、マーベル作品が好きだから、とか、その世界観、丸ごと大好きなんだという方がたくさんいらっしゃるなと感じています。その扉を開けると1回入ったら抜け出せない旨味がある感じで、キャラクターや、シナリオもそうですし、ひとつひとつの世界観が、とても濃くてそこが支持されているのかなと思います。

――好きな作品やキャラクターはいますか?

浪川:昔から、実はスパイダーマンが好きだったんです。もちろんマーベルコミックスは歴史があるので僕が若い時からあるんですけど、スパイダーマンは、やっぱり小学生の頃とか真似しますよね。誰しも1回はしてるんじゃないかと思います。キャッチャーですし、あんな感じで飛びたいし、壁に張り付きたいですよ(笑)普通に考えたらタイツですよ。よくコスプレでも売ってますけど、あれがあんなにカッコよく見えるんだ!って憧れてました。他のキャラクターと比べても群を抜いてるかもしれないですね。


早見:私はヴェノムの魅力に結構ハマっていて。シュリーク役で出演させて頂いていたのですが、ヴェノムという存在を知った時は、すごい見た目だなとか、外側のインパクトが強かったんですけど、蓋を開けたらちょっとカワイイところもあるし、見た目とのギャップがあって、こんなに魅力的なんだって感じました。会話のテンポ感もものすごく聞いてて心地よいですし、すごく好きですね。皆さんが、“ヴェノムたん”と呼ばれている気持ちも分かりますね。

■ネイモアの“足の羽”の部分に注目! リリは学生ライフを満喫!?

――今回、新キャラクターのネイモアとリリ・ウィリアムズ(アイアンハート)を演じておられますが、2人はどんな特徴を持つキャラクターなのでしょうか。

浪川:いい意味で、ネイモアの神秘的な部分に注目をしてもらいたいです。今回のブラックパンサーの映画から知って頂ける方にとっては特に、ずっと海底にいて、どうやって生きてきたんだろうなど、謎めいている部分や、わからないからこそ怖い部分というのもあって、脅威に感じることもあると思います。相手からみたらいったい何事だって感じてしまうようなキャラクターになっているとは思うんですが、いわゆる海の帝国からすると、やはりろんな決死の覚悟があって地上に行かなければいけないだろうし、ヴィランととらえる方もいらっしゃるかもしれませんが、ネイモアには、ネイモアの想いがそこにはあるんです。

 それに、個人的にちょっとカワイイなって思う部分もあって、予告にも出ているんですけど、“足の羽”の部分(笑)。あれがカワイイんです! 羽の動きが、『そういう動きするの?』と、映画館で観たらもっと感じてもらえると思うんです。いつもドーンとした態度で、槍を振りかぶったり、王の椅子にどっしりと座ったりしていて、力強く『行くぞ』って言ってる感じの顔をしてるんです。飛んだ時も表情は真顔なんですけど、足首だけを見るとカワイイですよ(笑)。
それぞれの足に両羽が付いてるので、『これたぶん、足閉じれないんだろうな…』とか。『ここが当たっちゃうよな…』とか、『だから、ちょっと足開き気味に浮いてるんだ…』とか、ついつい想像してしまいます。

 あと、これも予告にあったんですけど、とにかく彼のスピードが早いですね。細かなこだわりも感じたんですが、地上と海中の違いがセリフにも表れていて、観ていただければわかっていただけると思うんですが、キャラクターの設定がしっかりと決まっているので。是非これを機にネイモアを知っていただけたらと思います。

早見:天才発明家で、若くしてすごい技術を身につけているキャラクターなのですが、本人は割と歳相応の砕けたところのある女性で、学生ライフを満喫しているんです――。

浪川:それを聞くと、違う作品みたいになっちゃうな笑 学生ライフを満喫しているんだ(笑)

早見:そうなんです! ちゃんとそういう生活を送っているシーンとかもあるんです。ただ、あるきっかけがあってシュリたちと深く関わっていくことになって、どちらかというと、最初はリリの方からどんどん関わっていくというよりかは、リリはわりと巻き込まれていくような感じで物語に関わっていくんですね。でもそんな中、本当にいろんなことがあってリリとしてもワカンダのこれからのためにとか、自分の想いも込めて一緒にシュリたちと歩みを進めていくことになります。

 ただ、リリ自身は常に砕けたノリを持ち続けているんです。ちゃんと良い高校・良い大学に行って、ちゃんとした会社に勤めてっていう“スマートさ”ではなくて、本当にストリートで自分の実験・経験とかをもとに実力でちゃんと上り詰めていくタイプ。だからこそのちょっとストリートっぽいノリがあるんですよね。
砕けているし、話し方もかっちりしてスマートというよりかは、少しダラっとしていて、そういう分は結構意識して役作りをしました。

■役作りのキーワードはそれぞれ“やさしさ”&“ノリとリズム”

――今回の役を演じられる際に、心がけたこと、工夫したことについて教えてください。

浪川:ネイモアは、見た目がちょっとゴツくて、圧力がある感じだと思うんですが、彼の怖さとか脅威とか圧というのは、しゃべり方で脅すというのとは違うんです。そういうネイモアの独特なトーンやキャラクターを表現していくのが難しかったです。自分がこうやりたいっていうよりは、どちらかと言うと僕はキャラクターに委ねるタイプでもあるので、微妙なバランスを取りながら役作りをしました。

 コミックスでは、ネイモアはヴィランでもあり、ヒーローでもありという、どちらでもいけるというところがネイモアのキャラクター性でもあると思うんですが、“やさしさ”というのが一つのキーワードだったかもしれないですね。あと、王だからということではなく、彼が持っているカリスマ性によってタロカンを引っ張っているという部分がすごく難しかったです。どの役でもキャラクターの作り方っていうのはそれぞれだと思うんですが、今回は特に感覚って人それぞれだなっていうのがすごく勉強になりましたし、本当にすごい細かいとこまでキャラクターを作り込んだのでそこに注目をしてほしいです。

早見:リリは、先ほどもお話したようにストリートっぽいノリというのは結構キーワードのひとつとしてあったのですが、それに加えてコミカルさをどう出していくかというのがポイントだったと思います。ノリが良くて、グルーブ感とか、どうやったら出るのかというところを気を付けました。

 リリは、そういうノリとかリズムがある人で、それがいっときに良いコミカルさにつながるシーンとかもあって。すごいシリアスなシーンなのに彼女のリアクションが結構面白いとか、そう言う部分を日本語版でどれくらい表していくかっていう、そのバランスを探りながら「これだと出なさすぎるな」とか、「これはちょっとやり過ぎ」とか、そのあたりを細かく注意しながら作っていきましたね。


浪川:僕も、戦っている時の声はもっと野獣っぽく、激しく、本能を出すみたいに意識したんですが、喋っている時はそれとは違うイメージ、といった感じで結構細かく演じ分けながら収録をしました。

■浪川「ちょっと褒め過ぎた(笑)」 早見「逆に緊張してきました (笑)」

――今回、ブラックパンサーの新キャラクターとして共演されますが、演じられたキャラクターとお互いの印象はいかがでしたか?

浪川:別々の収録となってしまったんですが、早見さんはアニメーションも吹き替えも多くご一緒させて頂いて安心感しかないです。何度も共演させてもらっているので、彼女はこういう感じだろうなって想像できるんです。ただ、想像できるといっても、いつも自分の想像を超えて素晴らしいお芝居を出してくれるので、それにちゃんと答えないと、という想いはいつも持っています。キャラクターの心情をそのキャラクターが喋っているように感じさせてもらえるような声優さんだなと。

早見:恐れ入ります (笑)

浪川:ちょっと褒め過ぎましたけど(笑)

早見:逆に緊張してきました (笑)

浪川:いやいや本当そうですね、信頼感しかないです。

――(早見さんへ)浪川さんとネイモアの印象についてはいかがでしたか!?

浪川:想像と全然違ったんじゃない? ネイモアと。

早見:私、ネイモア役の役者さん(テノッチ・ウエルタ)の声を聞いた時、浪川さんの声が浮かんだんです。

浪川:え!? 本当に!?

早見:そうなんですよ、お二人の声自体にシンパシーを勝手に感じてしまいました。

浪川:そうなんだ、うれしい。

早見:浪川さんは、もちろんアニメーションでもそうですし、吹き替え版でもそうなんですけども、あまたの役を人生の中でたくさん演じていらっしゃるから、どの役でも「あ、浪川さんだ」みたいな、浪川さんだなというそうことを感じていまして――

浪川:それ、他の人にも言われたことある(笑)

早見:そうなんですか!

浪川:浪川はやっぱ浪川だって (笑)

早見:そういう安心感がありましたし、浪川さんとこの作品に出られることへの喜びもすごくありました。常にその背中で、我ら後輩たちに先の道を築いてくださっているなと思いました。


 映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』は公開中。

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