押井守監督「非常に裾野が広い表現」アニメの可能性を語る＜新潟国際アニメーション映画祭＞

3月17日、新潟市の古町ルフル広場にて開催された「第1回新潟国際アニメーション映画祭」オープニングセレモニーに、審査委員長を務めたアニメーション監督の押井守が登壇。「アニメーションというのは非常に裾野が広い表現であることをぜひ自分の目で確かめていただきたい」と、アニメーションの可能性について持論を展開した。【写真】「第1回新潟国際アニメーション映画祭」に登場した押井守監督 本映画祭は、長編アニメーション映画に特化したアジア最大の祭典。10本の作品が参加するコンペ部門のほか、招待作品を上映するイベント、会期中は近年の観るべき作品を集めた世界の潮流、作家・ムーブメントを再評価するレトロスペクティブ、オールナイト上映など約50本の作品を上映し、世界から監督、クリエイターが集結する。 国際審査員のジンコ・ゴトウ、デヴィッド・ジェステッドとともに壇上に上った押井監督は「今回の最大の特徴は、世界的にも珍しい長編アニメーションに特化したコンペティションであることです。世界中から（コンペに）10本の作品が集まりました」と説明。 続けて、「アニメーションとひとことで言っても、僕やみなさんがご存知の日本のアニメーションがアニメーションの代表ではなく、アニメーションという形式にはいろんな可能性があると思います。10本が10本ともすべて絵柄も違えばスタイルも違う。アニメーションというのは非常に裾野が広い表現であることをぜひ自分の目で確かめていただきたいと思っています」と語った。 また、新潟出身で第二次大戦後の日本のアニメーション文化の立上げに大きな役割を果たした大川博と蕗谷虹児の名を冠した「大川＝蕗谷賞」の授賞式も行われた。『犬王』総作画監督の亀田祥倫、中野悟史、『漁港の肉子ちゃん』美術監督の木村真二、『THE FIRST SLAM DUNK』の東映アニメーション／ダンデライオンアニメーションスタジオ、『劇場版 呪術廻戦 0』アニメーション制作スタジオのMAPPAらヒットアニメの制作スタッフに、大川博の孫にあたる大川裕氏よりトロフィーが授与された。『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の寺尾優一撮影監督はビデオメッセージで参加。 授賞式に続き、日本・中国・ニュージーランドを代表する5人の監督が手掛けた4エピソードからなる『太素』のうち、日本で制作された『A Girl meets A Boy and A Robot』と『弦の舞』をアジアプレミアとして上映。上映後に監督を務めた渡辺信一郎と森田修平が登場し、トークを展開した。 「グローバルを意識しているか？」とMCに問われた森田監督は、「海外だからウケようとかそういうのはないです。『AKIRA』を見て映像を目指してきたので、そこは滲み出たというか、教育ですね。教育の賜物なんでしょうね」と回答。渡辺監督は「僕も『AKIRA』には多大な影響を受けたんで、『AKIRA』の影響っていうのはアニメを作っているスタッフの中で大きいんじゃないかなと思ってます。レトロスペクティブにうまく繋げたでしょ」と、大友克洋特集上映に繋げて会場の笑いを誘った。 「第1回新潟国際アニメーション映画祭」は、新潟にて3月17日～22日開催。上映会場は新潟市民プラザ、T・ジョイ新潟万代、シネ・ウインド、クロスパル新潟、イベント会場は新潟日報メディアシップ、古町ルフル広場、開志専門職大学、新潟大学駅南キャンパスときめいと。