櫻坂46・大園玲の1st写真集『半分光、半分影』を開くと、彼女が故郷の地・鹿児島で屈託のない笑顔を浮かべている。最新の5thシングル表題曲「桜月」では中心メンバーの1人となり、共通カップリング曲「Cool」で初のセンターに抜てき。

さらに写真集発売と活躍が続く大園だが、オーディション合格後、グループに配属されなかった坂道研修生時代には、悔しさを抱えていたこともあった。順風満帆ではなかったからこそ「たたき上げの強さ」で飛躍した大園。現在までの道のり、その道中にあった変化とは。

【写真】笑顔がかわいい大園玲 初の水着カットを収めた1st写真集『半分光、半分影』先行カットも

■故郷の鹿児島では初挑戦の立ち食いで、ラーメンに舌鼓

 大園の1st写真集『半分光、半分影』は、北海道と大園の出身地・鹿児島県で撮影。北海道では十勝・道東の深い森の中の湖や重厚な洋館で、鹿児島県では種子島の美しい海と鹿児島市・大隅半島のどこか郷愁を誘う風景の中で、22歳の鮮やかな一瞬を切り取った。

――23歳の誕生日に発売。故郷も巡った写真集出版への思いは?

大園:加入前から写真集を見るのが好きで、アイドルとして「いつか写真集を出したい」と思っていたんです。自分しか写っていない本は写真集でしか叶わないと思いますし、夢が叶ってうれしいです。

――出身地・鹿児島県での撮影はいかがでした?

大園:帰った日も桜島の火山灰が降っていて、目の痛い感じが懐かしいと思いました。現地では、ラーメンを食べたのが印象に残っています。地元を走る路面電車で撮影した日、よく遊んでいた場所の近くに新しいラーメン屋さんがあったんです。コの字型のカウンターから調理場が見えて、「ラーメンってこんな早く完成するんだ」と驚きました(笑)。
立ち食いも初めてでしたし、すごくおいしかったです。

――初めて訪れた北海道には憧れもあったそうですね。

大園:父の母校が北海道にある帯広畜産大学で、幼い頃から「すごくいい場所だ」と聞いていたし、いつか行ってみたかったんです。自然豊かで開放感があって、現地では見るものすべてが新鮮でした。元々、父が北海道の大学を選んだのは「鹿児島からとにかく北へ行きたい」という気持ちがあったからだと聞いていたんですけど、父の気持ちに共感できたのもうれしかったです。

――本作では、帯広畜産大学にも足を運んでいます。

大園:写真集全体で最初の撮影場所が、父の母校だったんです。当日は父に「今、大学にいるよ」と連絡して、仕事中にも関わらず「ここにも行ってみてよ」と返信をくれました。でも、父からの連絡が返ってきたときは、すでに大学での撮影が終わっていて。父が勧めてくれた場所にも、また行ってみたいです。

――本作では水着カット、ランジェリーカットにも初挑戦。事前の準備は?

大園:撮影開始の3ヵ月前、2022年の春頃からジムへ通っていました。
自分で作ったお弁当を持ち込み、食事制限もしていたんです。準備期間に不安が消えて、自信も付いたので撮影は心から楽しめました。

――そんな大園さんを、ほかのメンバーはどう見ていたのでしょう?

大園:みんな大人で、私がみんなと同じお弁当を食べないことにはふれず見守ってくれました(笑)。みんなは、私が写真集を出版することを知らない時期もあったんですけど、話を知ってからも変わらず同じように接してくれたし、優しいと思いました。

■坂道研修生時代にあった「悔しさ」を乗り越える努力

――2018年の「坂道合同新規メンバー募集オーディション」をきっかけにアイドルの世界へ。合格後は、坂道研修生(以下、研修生)として過ごし、2020年2月に欅坂46の新二期生としてグループへ配属され、現在に至ります。そこまでの道のりで、写真集の撮影地でもある鹿児島県からはいつ上京したのでしょうか?

大園:欅坂46への配属後、2020年の春頃です。研修生時代はレッスンや研修生のツアー(2019年10月~11月)へ参加するため、地元の鹿児島県から東京に通っていました。

――どれほどの頻度で?

大園:通常のレッスンは基本、2週間に1回のペースで週末に。ツアーの準備期間は、1週間に1回のペースで通っていました。

――そうした日々の中、何を思い研修生の活動に取り組んでいましたか?

大園:同じオーディション出身だったけど、先にグループへ配属されたメンバーの活動がすでに始まっていた悔しさもあったし、みんなとの差というか「自分がここにいるのはなぜか」を考えていました。結果、審査期間にできなかったことしか思い浮かばなくて、研修生期間は「今できることを全部やろう」と考え方を変えて、積極的になれました。


――その後の変化は?

大園:レッスン室で、みんなから離れた場所で、1人で鏡と向き合い振り付けを練習したり。大きく変わったのは、ツアーの準備期間です。それ以前もレッスンがあったんですけど、ツアー前は夏休み直前の1ヵ月間にびっしりレッスンがあったんです。披露する1曲ごとの完成度を高めていくための「今の活動に近いレッスン」へ取り組み始めた時期でしたし、振り付けを覚えるのが遅いという恥ずかしさも捨てられるようになりました。

――努力が実を結び欅坂46へ配属され、のちに上京。慣れない場所での新生活には、不安もあったかと思います。

大園:不安だらけでした。グループ自体が「どうなるのか」というタイミングでしたし、毎日、その日のことを考えるだけで精いっぱいだったと思います。1人暮らしはすぐ慣れたんですけど、東京の街が怖かったし、電車の乗り方もほとんど知らなかったので怖かったです。自分でいっぱい調べて、初めてSuicaを使ったときは「何これ!?」となりました(笑)。

■「たたき上げの強さ」で自分のストーリーを描く


――グループ配属後、活動の上で意識の変化は?

大園:自分には「何もない」と考えるのをやめました。グループに配属されるまでは、何もないから「吸収しなきゃ」「自分は遅れている」と思っていたんです。
でも、「何もない」と考えるのは逃げているだけだし、配属後は自分の中にある強みを見つけて、出すのが大事だなと気が付きました。

――「強み」を出すためにしたことは?

大園:「ほかのみんながやっていないことは何だろう」と考えて、メッセージアプリでは毎日更新をして、ブログの書き方も工夫しました。

――2020年10月に櫻坂46へ改名して以降は、シングル表題曲歌唱メンバーの常連に。5thシングル「桜月」では初の「櫻エイト」に選ばれ、共通カップリング曲「Cool」では初のセンターに抜てき。ソロでも活躍の場を広げています。

大園:ソロ活動が増えるにつれて、グループの代表として「何かを残さなきゃ」という意識が強くなって。あと、活動のすべてを「自分のストーリーにしよう」と考えられるようになりました。

――大園さんの「ストーリー」とは?

大園:(櫻坂46の)1stシングル「Nobody's fault」で初めて表題曲の歌唱メンバーに入っても、そこからなかなか櫻エイトに入れなかったことは「自分のストーリーになる」と考えるようにしました。その後、「桜月」で櫻エイトに選ばれて、カップリングのセンターを任せていただいたのも「ストーリー」だなって。研修生の経験があるからこその根性、たたき上げの強さを発揮するのが自分のやるべきことだと思っています。

――お話を伺っていると、ストイックですよね。今の自分に「足りない」と思うもの、目標はありますか?

大園:足りない部分はたくさんあります。
でも、何事も「足りている」「満たされている」と思いたくないところもあるんです。目標は、難しい…。心の中にはあって、言葉にできる自信が付いたときに、応援してくださる“Buddies(櫻坂46ファンの愛称)”の皆さんへ伝えられたらと思っています。その日が来るように、頑張ります。

(取材・文:カネコシュウヘイ 写真:上野留加)

 櫻坂46・大園玲1st写真集『半分光、半分影』は光文社より4月18日発売。価格は2200円(税込)。

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