大河ドラマ『どうする家康』、『女神の教室~リーガル青春白書~』、映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編‐運命‐/‐決戦‐』と、2023年もフルスロットルの活躍を見せる俳優の山田裕貴。4月21日スタートの金曜ドラマ『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』で、満を持してゴールデン・プライム帯連続ドラマ初主演を飾る。

想像を超える極限下を舞台にした本作や、共演する赤楚衛二上白石萌歌についてなど話を聞いた。

【写真】初共演となる赤楚衛二との化学反応にも期待大!

◆どこまでリアルじゃないものを本当に思ってもらえるか―世界観の表現に試行錯誤

 本作は、同じ電車に偶然乗り合わせた見ず知らずの乗客たちが突如、前代未聞の出来事に巻き込まれ、電波が通じないうえに水も食料もない極限下で懸命に生き、元の世界に戻ろうとする姿を描く、完全オリジナルのヒューマンエンターテインメント。山田が演じる萱島直哉は、メディアでも活躍するカリスマ美容師だが、複雑な過去を持ち、どこか捉えどころがなく、何を考えているか分からない危険な色気をまとうキャラクターだ。

 いつもと変わらぬ朝を迎えていたところ、見ず知らずのたまたま一緒に電車に乗り合わせた乗客とともに突如荒廃した世界にワープしてしまう。そんな本作の世界観を紡ぎあげるにあたり、山田は「どこまでリアルじゃないものを本当に思ってもらえるかっていうところがものすごく難しい」と率直な思いを吐露。「現場に入ってみて、せりふのある役だけがしゃべっているのでは、あの空間って成り立たなくて。直哉としても対1人とか対3人とかじゃなくてみんなに言葉をかけていないといけないと考えます。乗客1人1人に人生があって、そこを無視してしまうと観てくださる皆さんのことも無視しちゃうような感じがして、あぁこれはドラマなんだなと思われてしまいそうで…」と試行錯誤しながら撮影に臨む。

 演じる直哉についても、いろいろ悩みながら向き合っている。「直哉は子どものころお父さんやお母さんのことを好きになりたくて愛されたかった人物。でも、そういう環境にいられなかったからこそ、誰かを信じてしまうことがものすごく怖くなってしまっている。(周囲から人が)いなくなって、離れていくかもしれないし、人に思いを寄せなければ傷つかなくてすむと思ってしまっている」と説明。


 「12歳離れている弟のことを1人で面倒を見てきましたが、あることをきっかけに弟から言われた一言にものすごくショックを受けてしまいます。俺は何をやってきたんだ、なんでこんな人生なんだって…。僕を愛してくれる人は誰なんだ、でも愛することもいやだと思っている人。だからこそ人との関わりを遮断するというか、思い入れを持たないように生きる癖がついちゃっている。ただ嫌なやつじゃなくて、そういう人生があったからなんだと見てもらえたらいいなと思ってます」。

◆共演の赤楚衛二&上白石萌歌は「よどみがなく真っすぐな人」

 「長い1日とかだと、みんな省エネモードになる」という撮影現場の雰囲気は「ものすごくいい」そう。「連日朝~夜、朝~夜とフルでみなさん活動しているので、スタッフさんたちが体調を崩してしまわないかというのが心配」と気遣い、「皆さん締めるときは締めるけど明るい人が多い。ちょっとしたことなんですけど、そういうところがうれしいですね」とも。

 共演の赤楚や上白石とは休憩中にはMBTI診断や心理テストなどで盛り上がっている。「僕は、絶望的なロマンチスト。赤楚くんが陽気なサイコパスで、萌歌ちゃんは明るい少年少女だったかな?(笑)」。

 赤楚とは初共演。
印象を尋ねると「とにかくよどみのない真っすぐな人」との答えが返ってきた。「ほかの作品からも好青年感をすごく感じていたのですが、今回演じられる優斗でもそれが伝わってくるので、あ、この人は根っからそうなのかなって思いました」。しかし「撮影が進むにつれて、ちょっと“ふわぁ~”ってしているところや、“陽気なサイコパス感”がなんとなく分かるなって思うようになりました(笑)。なにかエピソードがあるわけじゃないんですけど、まとうものとして感じられるところが出てきて、どんな子なんだろう?ってより興味が湧いてきています」。

 一方の上白石とは昨年連続テレビ小説『ちむどんどん』で共演し、義兄×義妹を演じた仲。「萌歌ちゃんもよどみがなく、真っすぐ。朝ドラの時からきれいな心を持っている人だろうなというのは思っていましたが、それは変わらず今回も出ていて」と明かし、「素敵だなって思ったのは、深夜すぎに撮影が終わってみんなめっちゃしんどかった時、大体そういう時って終わったら、(疲れた様子で)“お疲れ様でした~”ってなるのが普通ですが、萌歌ちゃんだけ1人で『よし!』ってガッツポーズしていたんですよ」と振り返る。「ここにきてもその明るさを出せるって、現場が変わる1つのアクションだと思うんです。疲れてお疲れ様でした~って帰って次の日またやるのと、『よっしゃー!今日終わったー!』ってなって帰って翌日また撮影するのでは全然違う。こうしたところが、今回演じる紗枝にも生きてくるんだろうなっていうのをすごく感じました」と絶賛した。

◆極限下には「絶対に行きたくない」 電車には苦い思い出も?

 今回の作品では、電車に乗り合わせたことから始まる極限下のサバイバルが描かれるが、「僕はまず絶対に行きたくないです。ストーリーのような状況に置かれたら、周りとは仲良くなるまでしゃべんないし、ずっと黙ってますね」と苦笑い。
電車での思い出を尋ねると、「昔、混んでることで有名な埼京線を使っていたんですよ。もう満員電車が本当に嫌で。揺れたり押されたりするじゃないですか。この中では、抗わずに水みたいになることが重要だなって思って無になることを心がけていました」と笑う。

 出演作品が目白押しで撮影に追われる日々が続くが、気分転換などはどうしているのだろう?「家に入った瞬間はリラックスできるかな。酵素風呂や整骨院に行ったりとかしてリセットするのが一番幸せだなって思う瞬間」。さらに「これ言うとカッコつけていると思われるかもしれないんですけど」と前置きしつつ、「本当に幸せだって思える瞬間は、このドラマを観てもらって、面白いって言ってもらった時しかないだろうなって。僕が普段休もうが休めていなかろうが、参加している作品は全部面白いと思われたいし、そうでないと自分がいる意味はないって思っています」と断言。

 「あとは、みんなが楽しくやれることっていうか、自分だけじゃなく、みんなで最後、このドラマやってよかったねってなることが一番リラックスと幸せを得られることですかね」。そうきっぱり言い切る山田からは、過酷で長い連ドラの撮影に向き合う、座長としての思いがひしひしと伝わってきた。

 金曜ドラマ『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』は、TBS系にて4月21日より毎週金曜22時放送(初回15分拡大)。

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