「美少女戦士セーラームーン」シリーズ最終章となる<シャドウ・ギャラクティカ>編を描いた劇場版「美少女戦士セーラームーンCosmos」の前編が6月9日、後編が6月30日に公開となる。新たなる敵シャドウ・ギャラクティカの出現によって、次々と仲間が狙われ、突如現れた新たなセーラー戦士・セーラースターライツを含めたセーラー戦士たちが最後の戦いに身を投じていく本作。
【写真】自信みなぎる表情! 三石琴乃×水樹奈々×井上麻里奈、撮り下ろしソロカット
■念願の「美少女戦士セーラームーン」の一員に!
――水樹さん、井上さんはもともと原作のファンだったとお聞きしました。本作に関わることになったときは、どんなお気持ちでしたか?
井上:私はどうしても「美少女戦士セーラームーン」の一員になりたくて、「美少女戦士セーラームーンCrystal」が始まってから、何度かオーディションを受けているんです。ただ、結果は振るわず、落ちたという報告を聞くたびに号泣していました。そうして「もうセーラームーンの世界に関わることはないかも」と諦めかけていたころ、今回のオーディションの話をいただいて。「きっと自分には決まらないだろう」と思いながらも、「これが本当の最後だろうから」という思いですべてをぶつけました。
それだけに合格の連絡をいただいたときは、信じられなかったです。台本の香盤表に自分の名前が載っているのを見て、ようやく自分がセーラー戦士の一員になれたと感じて、胸が熱くなりました。
水樹:私も麻里奈ちゃんと同じく、オーディションを受けたことがあって。あのときは見慣れていたはずのスタジオが別世界に見えました。結果は残念ながら落ちてしまいましたが、それから数年が経ち、火球皇女役にお声掛けいただけて。
それに火球皇女は、大好きな先輩・玉川紗己子さんが以前のシリーズでは演じられていて。本当に私で良いのだろうかと震えました。火球皇女はとても愛に満ちたキャラクター。大切な世界と大好きな人達を守りたいという真っ直ぐな想いを、全力で演じたいと思いました。
■月野うさぎは完璧じゃないからこそ、可能性に溢れている
――三石さんはシリーズを通してセーラームーン/月野うさぎを演じてこられました。本作は「美少女戦士セーラームーン」シリーズ最終章ということですが、うさぎの成長をどう感じていますか?
三石:うさぎちゃんは、確かに色々な試練を乗り越えてきました。ただ、素の部分ではあまり成長していないと感じていて。ピンチになったり誰かを失ってしまったりしたときは泣いて、周りに助けられていたという印象もあります。今回は自分の力を、ここまで来た私のことを信じるっていう気持ちで前に進んで行くんですよ。いよいよ未来を任せられるプリンセスになったのでは、という印象を受けました。
――変わらない部分があるのも、うさぎの魅力かもしれないですね。
井上:うさぎちゃんはプリンセスを守る戦士たち、まもちゃん(地場衛)など、たくさんの人から愛を受けてきました。そのすべてがうさぎちゃんの愛となって、みんなに帰っていくんだと、本作を通じて感じたんです。そんな愛の塊であるうさぎちゃんは、もう銀河の母だなと思いました。愛の深さ・広さが彼女の強さであり、魅力じゃないかな。
水樹:うさぎちゃんの魅力は完璧じゃないところだと思います。完璧じゃないからこそ、底知れぬ可能性に溢れていて。一生懸命な彼女を見ていると胸を打たれるし、共感するし、この人になら任せられると思えるし、逆にほっとけないと思うこともあるし。その気持ちが連鎖して色々な人を呼び寄せて、強くなっていく。一人で強くなった訳じゃないというのも、うさぎちゃんの魅力だと感じています。
■アフレコ秘話~「メイクアップ」を何度も挑戦/林原めぐみから“ゆず”のプレゼント
――アフレコはいかがでしたか?
三石:私はまもちゃん(CV=野島健児)、ちびうさちゃん(CV=福圓美里)、セーラーギャラクシア様(CV=林原めぐみ)と一緒に録ることが多かったです。まもちゃんとは「チュー」のシーンがあったので、アフレコ時に幸せを感じていました(笑)。ちびうさちゃんは本作では今まで以上に戦士としての自覚が出ていて。
――なるほど。
三石:ただ、収録が始まる前にめぐちゃん(林原)が、「琴ちゃん(三石)、これあげる」ってゆずをくれたんですよ。金木犀の香りではなく、ゆずの素敵な香りを感じながら収録していました(笑)。
――心温まるエピソードです! 井上さんは「セーラースターライツ/スリーライツ」の3人で収録したとお聞きしました。
井上:そうなんです。まずは私自身が思っていた星野を演じて、そこから音響監督さんに指示していただき、他ふたりとのバランスも探り調整しながらアフレコを進めていました。印象的だったのが初めての「メイクアップ」。スリーライツを演じる役者の世代が少し違う分、「美少女戦士セーラームーン」の認知度の違いもあって。私と(セーラースターメイカー/大気光役の早見)沙織ちゃんは「メイクアップといったらこれ」という音声が脳内で再生されるのですが、(セーラースターヒーラー/夜天光役の佐倉)綾音は「美少女戦士セーラームーン」を通って来なかった世代なので、そういうイメージが湧かなかったみたいで。そんな話をしながら、みんなで雰囲気をすり合わせていきました。
――気持ちを合わせるうえでも、やはり一緒に収録することは大事なんですね。
井上:大事です。「メイクアップ」の合わせセリフは3人揃っていても、何度もテイクを重ねました。その場で気持ちを共有する・すり合わせることは大切なことですね。
――以前のインタビューで三石さんも「できるだけキャストが集まって収録したい」とお話されていました。
三石:やっぱり相手の言葉を受けて喋ると、相乗効果が出るんです。相手がポンッと出てきたら私は下から、逆に弱く来たら私は強く出すなど、お芝居の面白さを自分でも演出できるんです。そういうところがこの仕事の醍醐味だと思っているので、私は一緒に収録推奨派ですね。
水樹:私は残念ながら今回、一人での収録でした。寂しかったです……! 前編はまだ誰の声も入っていない状態での収録だったので、音響監督さんと相談しながらキャラクターを構築しました。後編はセーラースターライツの声が入っている状態だったので、より熱が入りました。やはりみんなの声を聞いてお芝居ができると、気持ちの入り方は変わります。
■「えっへん!」と、自慢したくなるような仕上がりになっています
――最後に、本作の見どころ・作品への思いを改めてお話いただければと思います。
水樹:最初に台本をいただいたとき、セーラームーンは何でこんなにも過酷な運命を何度も突き付けられるんだろうと涙しました。それでも諦めずに前を向いて、全力で立ち向かっていく姿を見て胸が熱くなりましたし、やっぱりうさぎちゃんが大好きだなと改めて感じました。大切な人たちのために戦う、うさぎちゃんやセーラー戦士たちの勇姿をぜひ劇場で見守っていただければと思います。
井上:自分が大好きで読んでいた漫画の最後がついに映像化されるんだという思いでいっぱいです! 「セーラースターライツ」は、「自分たちのプリンセスを探す」という目的で、ひたすらに自分たちの熱い思いを歌や力に変えます。そういった真摯な姿は美しく、そして切なくもあるんですよね。そんな彼らの活躍にも、ぜひ期待していただきたいです。
三石:完成品を見たとき、大きな喜びを感じました。限られた尺のなかで様々なキャラクターたちの想いが色濃く表現されたいい映像になっているのではないかと思い、今は「えっへん!」と、ちょっと自慢したくなるような気持ちでいます(笑)。また要所要所で90年代「美少女戦士セーラームーン」のリスペクトを感じるシーンがあるのも注目ポイントですね。高橋(和也)監督に感謝です。
――私は小学生の頃に90年代の「美少女戦士セーラームーン」を見ていました。男性の私でも、毎週楽しみにしていた記憶があります。
三石:でも、当時はあまり周りには大きな声で言えなかったでしょ?
――確かに、思い返すとそうだったかもしれません。
三石:当時は女の子向けアニメを大人が見る、男の子が見ていると言えない時代だった気がします。でも徐々にそれが抑えきれなくなり爆発して、一気に社会現象になったんですよね。本作も年齢・性別問わずに、みんなで愛を爆発させて欲しいと思います。
(取材・文:M.TOKU 写真:小川遼)
劇場版「美少女戦士セーラームーンCosmos」は、≪前編≫が6月9日、≪後編≫が6月30日より全国公開。