7月14日から公開されている、監督・宮崎駿のスタジオジブリ最新作『君たちはどう生きるか』。事前の宣伝をほぼしないという異例の状況の中だったが、公開1週目の興行収入は見事1位に。
【写真】『君たちはどう生きるか』主題歌を担当した米津玄師
■「我々はずっと何を観てたのか?」
「#君たちはどう生きるか」のハッシュタグを追っていてまず目につくのは、「戸惑い」の声だ。第二次世界大戦中を生きる主人公の少年・眞人が、アオサギにいざなわれて異世界に迷い込み、ペリカンやら巨大なオウムやら、かわいい白いフワフワした何かなどと交流(?)していく本作。これだけ読んでも、未見の方は訳が分からないと思う。いや、すでに見ていても「?」かもしれない。
そんな怒涛の“宮崎駿ワールド”に、「我々はずっと何を観てたのか? という感想が一番しっくりくる」「情報の少なさも相まって、映画を観たのか、夢を見たのかと、摩訶不思議な体験」「混沌としたストーリーテリングにひたすら困惑した2時間だった。『私は好き』とか『もう一回見る』とか『オススメだよ』とか口が裂けても言えない」と、戸惑いや混乱ともとれる声が目立っていた。
■スタッフ陣は「伝説級の化け物たちの百鬼夜行」
しかし、戸惑いの声と同じくらい「圧巻」「圧倒」などといった声も。本作は、エンドロールまですごい。
SNSでは「不思議なものでエンドロールで目頭が熱くなるものがあった。無音でもそうなってたと思うが米津玄師の『地球儀』がそれを増長させた」「特に原画スタッフが作画オタじゃなくても知ってるような伝説級の化け物たちの百鬼夜行で口あんぐりだった。アニメの歴史に名を刻む…というより、歴史そのものみたいな作品なので、そういう意味でも本当に必見」といった熱い思いも。
■「『ババアの集大成』みたいになってた」
ジブリ作品には、『風の谷のナウシカ』の大ババ様や『千と千尋の神隠し』の湯婆婆、『ハウルの動く城』の荒地の魔女といった、魅力的な“おばあちゃんキャラ”がたくさん登場する。SNSで「今回は特にすごいというか『ババアの集大成』みたいになってた」という声が上がったように、今回も、というか、今まで以上に“おばあちゃん”をたくさん見ることができる。
この“おばあちゃん”はほんの一例で、実は本作には、これまでのジブリ作品のエッセンスのようなものがふんだんに入っている。ジブリ映画に1本でもお気に入りの作品があるなら、「あっ」となるシーンが見つかるだろう。
「圧巻だった、その一言に尽きる。宮崎駿の思いをどのように解釈し受け継いでいくのか、それだけが大事だと思う。美しい終幕、、、この映画の余韻と、映画館で観れた幸せを噛みしめる」「宮崎駿作品と人生歩んできた人ほど『君たちはどう生きるか』と刺さるのでは」などと、これまでジブリを愛してきた観客にとって本作は“集大成”であり“未来”を感じさせた。
作中に登場するたくさんのモチーフや、その幕引きについて、公開から1週間で多くの考察も広がっている。まだ『君たちはどう生きるか』の“正解”のようなものは誰にも分かっていない。『君たちはどう生きるか』旋風が今後どうなっていくのか、数年後に振り返ったときにどのような作品になっているのか、それもまだ分からない。今はとにかく、SNSに書き込まれたこんな声に尽きるだろう。
「80超えたジジィの作る映画とは思えないくらいワクワクした」
映画『君たちはどう生きるか』は公開中。(文:小島萌寧)
※宮崎駿の「崎」は「たつさき」が正式表記。
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