夏ドラマの放送がスタートし、多くの作品で第1話が出そろった。ドラマ枠が増えている中、どのドラマを観ようか迷っている人も多いのではないだろうか。

そこで今回は、クランクイン!が事前に実施した「夏ドラマ」期待度ランキングTOP10の中から、読者が選ぶ“期待度が高いドラマ”トップ3に輝いた作品の第1話を徹底レビューする。

【写真】2話以降も見続けたい「夏ドラマ」ランキング 10位~1位に輝いた作品

■期待度第3位『トリリオンゲーム』 ハルとガクは夏ドラマの名バディ誕生の予感

 世界一のワガママ男のハル(天王寺陽/目黒蓮)がパソコンオタクの気弱なガク(平学/佐野勇斗)とタッグを組んで1兆ドル(トリリオンダラー)を手に入れようと成り上がる、前代未聞のノンストップ・エンターテインメント『トリリオンゲーム』(TBS系/毎週金曜22時)。

 『silent』(フジテレビ系)で話題をさらったSnow Manの目黒蓮が主演し、『おとなりに銀河』(NHK総合)で好演を見せた佐野勇斗と映画『東京リベンジャーズ』シリーズでヒロインを務める今田美桜が共演する。「夏ドラマ」期待度ランキングで3位という好発進は、やはりキャストの勢いも理由の1つだろう。SNSでも「トリリオンゲームのメインキャスト強くない?」、「20代若手人気俳優が集まった顔面偏差値100のドラマ」などキャスト陣が発表された時点でかなりの期待を集めていた。

 第1話で印象的だったのは、目黒蓮の圧巻の演技だ。『silent』の佐倉想とは大きくイメージを変え、快活で華やかなオーラに満ち溢れたハルを演じる。長い手足をふんだんに使い、自信と美しさを兼ね備えたハルの異次元ぶりを堂々と表現することで、目黒の新たな芝居の魅力が開花。うそにまみれ、時には“ズル”さえ巧妙に使いながら上へ上へと邁進(まいしん)する姿に、まるでハルの手のひらで転がされるかのように気持ちよく作品に没入してしまう。佐野勇斗演じるガクが程よい塩梅でツッコミ役となっており、2人は早くも夏ドラマの「名バディ」に。第1話からフルスロットルでトリリオンダラーへの道を走り出すハルとガクから目が離せない。

■期待度同率第1位『こっち向いてよ向井くん』 向井くんを通して恋のあれこれを考えさせられる

 「夏ドラマ」期待度ランキングで1位に輝いたのは、10年ぶりに恋愛をする“恋愛迷子”な向井くん(赤楚衛二)の不器用な恋を通して、恋や愛の本質に迫る『こっち向いてよ向井くん』(日本テレビ系/毎週水曜22時)だ。


 春クールでも『風間公親ー教場0ー』(フジテレビ系)、『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』(TBS系)の2作でメインキャストを務めた赤楚衛二が、夏クールではゴールデン・プライム帯連続ドラマ初主演に。『こっち向いてよ向井くん』での赤楚は、子犬のような愛らしさと、大人の男の表情を使い分け、見事に向井くんが持つ独特の魅力を表現する。本作で描かれるのは、恋愛で完璧に相手をリードできる器用な男性ではなく、「ちょっと違う」と感じさせてしまうような“恋愛迷子”ぶりがキーとなる役であることから、これまで以上にコメディタッチの芝居や情けない芝居が求められる。

 だが赤楚は、持ち前の表現力で第1話から向井くんの本質をはっきりとらえ、見事に体現していた。赤楚の踊る「恋するフォーチュンクッキー」など思わずクスリと笑えるシーンも。視聴者からは「赤楚君が向井くん過ぎる!」「赤楚くんのラブコメは繊細さがあって惹き込まれちゃう」の声が上がっていた。

 また、向井くんの視点で恋を描く前半パートと、相手の女性の視点で“恋の答え合わせ”をする2部構成になっているところは、恋愛ドラマとしては新しい。加えて、波瑠演じる洸稀が女性の立場や気持ちを代弁する名言がずっしりと胸に刺さる。向井くんの恋愛模様を応援しながら、一緒に愛や恋のあれこれを考えさせられる作品になっているだろう。

■期待度同率第1位『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』 ネットでは早くも考察合戦がスタート

 同率1位を獲得したのは、松岡茉優が主演を務め、芦田愛菜が共演する『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(日本テレビ系/毎週土曜22時)。松岡演じる科学教師・九条は卒業式の日に“担任生徒の誰か”の手によって4階の吹き抜け廊下から突き落とされてしまう。その瞬間、始業式の日の教室にタイムスリップ。
生徒にも、自分自身にも向き合い、覚悟を持って1年を生きる九条の姿を描いた作品だ。

 注目を集めるのは、松岡の存在感に加えて7年ぶりの民放連続ドラマ出演となる芦田愛菜の存在だろう。第1話から早くも、芦田演じるいじめられっ子の優等生・鵜久森叶には大きな見せ場があった。作品への関心を惹(ひ)きつけるためにも重要となる1話で、長台詞と泣きの芝居で魅せた芦田の肝の座った芝居に心揺さぶられる。SNSなどでは「松岡茉優の怒りの目力は健在」、「芦田愛菜さんの泣きの演技が素晴らしかった」などと改めて2人の演技力を賞賛する声が溢れた。

 加えて、忘れてはならないのは、生徒役のネクストブレイクな俳優陣の存在だ。「こども店長」で一世を風靡(ふうび)した加藤清史郎や、『君の花になる』(TBS系)に出演した山下幸輝など、この先さらに活躍の舞台を増やしそうな若き才能が3年D組に集まっている。彼らに秘められた輝きは見逃せない。

 ネットでは早くも、タイトルの“■”に込められた意味や九条を突き落とした犯人の考察が始まっており、今後の盛り上がりが予想される。(文:Nana Numoto)

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