日向坂46の三期生・上村ひなのが初主演するドラマ『DIY!!‐どぅー・いっと・ゆあせるふ‐』(MBS/毎週火曜24時59分、TBS/毎週火曜25時28分)が7月4日より放送中だ。本作でのんびりとした性格の高校1年生・結愛せるふを演じる上村は、日向坂46の10thシングル「Am I ready?」(7月26日発売)で表題曲初センターを務めることでも注目を集めている。
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■主人公・結愛せるふとの共通点は「変な空想をしちゃう」
本作は、2022年10月から12月にかけて放送されたオリジナルテレビアニメ『Do It Yourself!! ‐どぅー・いっと・ゆあせるふ』を実写ドラマ化。全国有数の金属加工のまち“新潟県三条市”がアニメに引き続き舞台となり、主人公・せるふをはじめとした個性あふれる女子高生たちが、工具や廃材を活用しながら自らでDIY活動を行う“DIY部”を舞台に、絆を深めていく青春群像劇だ。
――ドラマ初主演が決まった時の心境を聞かせてください。
上村:すごくびっくりしましたが、アニメを見てみたら、私の演じるせるふちゃんはのほほんとした緩やかな雰囲気の女の子で、自分との共通点が多いように感じたのでちょっと安心しました。でもやっぱり「主演」という言葉はすごく重みがあるように感じて、せるふちゃんと二人三脚で頑張りたいなと思いました。
――共通点が多いということは、上村さんにとって演じやすい役でしたか。
上村:まだ演技経験も浅いので、不安な部分はもちろん多かったんですけど、自分の素の中に少し“せるふちゃんらしさ”があるかもしれないなとも感じられました。せるふちゃんは授業中に変な空想をしちゃうような子なんですけど、実は私もそうで、いろいろなことを空想していたようなところがありました(笑)。せるふちゃんは結構ヘンテコなことを言ったりもするんですけど、私も言いそうだなと思ったり(笑)。
――グループでのお仕事と個人でのお仕事で、心持ちの違いはありますか。
上村:グループにいる時は1人きりじゃなく何人かでお仕事をさせていただくことが多いし、メンバーはいつも一緒に過ごしている家族のような存在なので、すごく安心感があるんです。ところが個人としてのお仕事となると、1人で撮影現場に行かせていただくことになるので、緊張感があって、最初はすごく不安でした。でも今回の現場のキャストの皆さんは同世代だったこともあって、すぐに仲良くなることができましたし、スタッフの皆さんもすごく優しい方ばかりの温かい雰囲気の現場だったので、クランクアップまでやり遂げることができました。
■同世代の共演者が刺激に「ドラマの根本的な部分を学ばせていただいた」
――共演する=LOVEの野口衣織さんは上村さんと同じくアイドルグループからの参加という共通点がありますが、どんなお話をされましたか。
上村:本読みの時から「どうやってセリフを覚えます?」と相談しあったりしていて、演技経験が豊富なキャストの皆さんにも野口さんと一緒に「どうやって台本覚えるんですか」と聞きに行ったりしていました。お互いに「どうしましょう」「不安です」と言い合って、不安な気持ちをよく共有させていただいていました。
――セリフを覚えることに不安があったんですね。
上村:ドラマに参加させていただくまで、セリフをどう覚えたらいいのか本当に分からなかったんです。でも参加しているうちに、自分なりの覚え方が分かりました。変わっているんですけど、私の場合は青ペンでセリフに丸をつけると、スッと覚えられるんです。
――青ペン…。赤ペンではだめなんでしょうか。
上村:青ペンなんです。それが私にとっては一番の覚え方でした。
――メンバー以外の同世代の共演者との交流は上村さんにとって刺激になりましたか。
上村:すごくなりました。この作品に参加させていただいて思ったのは、「全員、キャラへの思いがとても強い」ということで、皆さんが原作アニメをすごく研究しながらドラマ撮影に挑んでいる姿が印象的でした。キャラクターの声のトーンと自分の声のトーンを合わせるためにチューニングをしていたり、みんなで聖地巡礼に行ったり。自分の演じる役柄に対して真っすぐ向き合って、自分自身を絡めながら役を作り上げるという、ドラマの根本的な部分を学ばせていただいたなと感じています。
――上村さんはアニメに寄せた役作りをしていったのでしょうか。
上村:最初は「合わせなきゃ」と思って原作のアニメを見て、所々一時停止しながらせるふちゃんの話し方を声に出して、英語を覚えるみたいに練習していたんです。でもそれで本読みに行ったら「アニメに寄せすぎてしまうとドラマとしてはリアリティーがなくなってしまう」ということで、「寄せることを意識するよりも自然体のありのままな方が、せるふちゃんらしさが出るかもしれない」と監督からアドバイスを頂きました。それで、私も「そういう風にドラマを作るんだ」と理解することができたので、自分自身の中に元々ある“せるふちゃんらしさ”のようなものを出せるように、せるふちゃんとの共通点を考えながら役作りをするようになりました。
――今回、主演を経験したことで、今後も演技のお仕事をしたいという思いは強まりましたか。
上村:まだまだ難しいなと感じる部分はすごく多いんですが、それと同時にやりがいというか、緊張感や責任感を、少し楽しく感じられるようになった部分もあるんです。そうやって少しずつ自分の成長を感じられることがすごくうれしいので、これからもちょっとずついろいろなことにチャレンジして、自分自身を成長させていけたらいいなと思います。
■アイドルとして過ごした5年 悩みや葛藤も「経験できて良かった」
――上村さんがオーディションに合格してから5年となります。上村さんにとってこの5年間はどんな期間でしたか。
上村:振り返るとあっという間だったなと感じますが、いろいろ悩んだり、葛藤もあったりした5年間でした。そういう葛藤なども含め、改めて振り返ってみると「経験できて良かったな」と思います。14歳で加入し、今は19歳になりました。10代のこの期間をアイドルとして過ごすことができるというのは、なかなかない経験だと思うんです。その分、普通の青春を送れなかったというところもあるかもしれませんが、私はそれを全然苦に思わなくて、アイドル活動ができていて本当に良かった、幸せな5年間だったなと思います。
――現在19歳の上村さんが、10代のうちにやっておきたいことはありますか。
上村:20代になると一気に“大人”という感じがしてくると思うので、自立しなければいけないなと思っているんです。お料理やお掃除などをしっかりして、10代のうちに自立した大人になっておきたいです。
――20代の上村さんはばっちり料理ができるんですね。
上村:そうですね。家事ばっちりのお姉さんキャラになって、「姉貴」って呼ばれたいと思います。
――楽しみですね(笑)。
■初主演に初センター 「今までの自分だったら不安で泣いてしまっていた」
――今回はドラマで初主演。グループでも10枚目シングルで表題曲初センターを務められていますね。
上村:ドラマをやるということが分かっていた時に知らされたので、今までで一番大きな“越えなきゃいけない壁”みたいなものが2つも同時に目の前に来て、すごく不安な気持ちでいっぱいでした。けど、だからこそ「もうやるしかない」と思うことができたんです。今までの私だったら、きっと涙していたと思うんですけど、一切泣くこともなく向き合うことができたので、逆に良かったのかもしれません。たくさん「頑張らなきゃ」と思えることを今の機会に頂けて、ありがたいなと思います。
――元々人前に出たり、中心に立つようなことは好きだったのですか。
上村:アイドルになった当初も「人に見られることが苦手です」と言ったくらい、本当にできる限り視線を集めたくないタイプでした。お母さんの友達と会うような時には、お母さんの後ろに隠れたりしているような子だったので、まさかそんな自分が今、センターに立たせていただいてるなんて、数年前は思いもしませんでした。今までの自分だったら不安で泣いてしまっていたようなところですが、今は笑顔でこの期間を過ごすことができているので、そういう部分で自分の成長を初めて感じられました。
――歴代のセンターは意識しますか。
上村:日向坂46は、デビューシングルの「キュン」から4作連続で小坂菜緒さんがセンターを務められていたんですが、その時、私も実は4作連続で3列目の真ん中の、センターがよく見えるポジションに立たせていただいていたんです。ずっと菜緒さんの背中を見ていて、「いつかセンターになれるように私も頑張らなくちゃいけないな」と毎日のように思っていました。でも私はやっぱりまだまだ新人で、分からないことだらけで、思うようにできなくて。私はそんなすてきなセンターになれている自信はないですけど、菜緒さんや他のメンバーの皆さんの背中からすごく学ばせていただいて、「自分のままでいいんだ」と思えるようになれたのは、自分にとってすごく成長だったかなと思います。
――特に「成長できたな」と思えたのはどんな時ですか。
上村:こうして10枚目シングルのセンターということに向き合えたのは、今回のドラマの存在がすごく大きいんです。1人で長期間撮影に行ったり、初めてドラマの主演をやらせていただいたりしたことと、せるふちゃんという人柄に出会えたことで、私自身も自分自身をちょっとずつ認めてあげられるようになってきたような気がします。本当に出会えたことに感謝です。
――では最後に、今作のどんなところに注目してほしいか、読者へメッセージをお願いします。
上村:せるふちゃんは私と同じようにできないことが多くて、「私はいつもダメだ」と考え込んでしまうことがあるんですけど、そういう時にいつも部長が格言のような言葉をくださるんです。そうすると、実はせるふちゃんの中の上村ひなのもめちゃくちゃ感動していて。「失敗したっていい」と言ってくれたことが私にもすごく響いたので、部長の名言にはぜひ注目していただきたいです。
(取材・文・写真:山田健史)
ドラマ『DIY!!‐どぅー・いっと・ゆあせるふ‐』は、MBSにて毎週火曜24時59分、TBSにて毎週火曜25時28分放送。