“読み聞かせ”番組『おやすみ王子』(NHK総合)が、10月21日に4年ぶりに復活。水上恒司、藤岡真威人、犬飼貴丈が、読み聞かせを通して視聴者を心地よい眠りへといざなう。



【写真】『おやすみ王子』藤岡真威人、犬飼貴丈の読み聞かせの様子

 仕事・家事・育児…日々奮闘する女性たちに向けた、“読み聞かせ”の番組『おやすみ王子』が、4年ぶりに復活する。眠れぬ秋の夜、1日の疲れを癒やしてぐっすり眠ってもらおうと“おやすみ王子”たちが物語を読み聞かせる。

 今回のテーマは「秋の果物」。小川洋子、千早茜、窪美澄という3人の芥川賞・直木賞作家たちが番組のために書き下ろした物語を、水上、藤岡、犬飼の3人の個性豊かな“おやすみ王子”たちが不思議な本屋さんを舞台に読み聞かせ。番組本編以外にも、VRや今回初となるARでのコンテンツも展開。秋の夜長、読み聞かせを通して、心地よい眠りへといざなう。

 小川洋子作『桃の種』を読み聞かせする水上は、「ある詩人が言っていた言葉で『詩は詩人がしたためて完全なものではない。詩とは不完全なものである』と仰っていたことが強く印象に残っています。常に最良の正解を見つけようとする完璧主義のような取り組みではなく、今回の朗読は自由に読ませて頂きました。犬飼さん、藤岡さんとは過去に共演させて頂いていたので再会できて嬉しく思いました」とメッセージ。

 千早茜作『木守柿(こもりがき)』を読み聞かせする藤岡は、「千早茜さんの紡ぐ言葉は、どこか懐かしい様な、あたたかい情緒を常に感じさせてくれました。作中に出てくる“ゆかしい”という感情も初めて出会った言葉で、こんな素敵な日本語があるのかと感動したのを覚えています。
『木守柿』とある通り、作中では“柿”の漢字が入った単語が沢山登場します。1つ1つの正しいニュアンスを丁寧に意識しながら、千早さんの描く世界観が少しでも聞き手に届く様、イメージしながら朗読させていただきました」と収録を振り返った。

 窪美澄作『林檎(りんご)』を読み聞かせする犬飼は、「窪美澄先生の今回の作品から感じ取れた『辛いこともいつかは思い出になる』という考え方は、僕が2、3年前に提唱していたことだったので、親近感を感じながら読むことができました。作品に込められた思いが伝わるように、気持ちを込めて丁寧に朗読させていただきました。また、共演した水上さん藤岡さんとのやり取りも楽しかったです」と思いを明かした。

 『おやすみ王子』は、NHK総合にて10月21日23時30分放送。

 出演者、作家のコメント全文は以下の通り。

<コメント全文>

■水上恒司

 ある詩人が言っていた言葉で「詩は詩人がしたためて完全なものではない。詩とは不完全なものである」と仰っていたことが強く印象に残っています。常に最良の正解を見つけようとする完璧主義のような取り組みではなく、今回の朗読は自由に読ませて頂きました。犬飼さん、藤岡さんとは過去に共演させて頂いていたので再会できて嬉しく思いました。犬飼さんとの掛け合いでは互いに文句を言いながらもニコイチの存在であることをお互い認め合っているような空気感を作れたと思います。
真威人君は純粋で澄んでいるのは勿論のことながら、今作の世界観に相応しい何かスケールの大きいものをお持ちの方ですので大変刺激になりました。本編を観て、聴いて頂きたいことは勿論ですがVR編も必見です。私はVR撮影が1番興奮しました。是非よろしくお願いします。

■小川洋子

――テレビに書き下ろして普段と違った点。

 何も違いはありませんでした。普段から無意識に、声にならない声で音読しながら書いているので、私の中には、文字ではなく、声が残っています。声に出した時、自然な響きになるかどうか、をいつも大事にしています。テレビで朗読される、ということにとらわれず、あまりに普段どおりに書いたので、提出したあと少し心配になりました。書き直しにならなくて、ほっとしました。

――視聴者へのメッセージ。

 私の作品を聴いて下さった方々が、そのあと眠りにつき、どんな夢を見るのだろうか。
それを考えるととてもわくわくします。その夢を1つ1つ小説にしてみたい、という妄想にかられています。自分の小説と、視聴者のみなさまの眠りが結びつく。既にこのこと自体が物語のようです。魅惑的な番組に参加できて幸運です。もう今から、王子さまの朗読が楽しみで待ちきれません。

■藤岡真威人

 千早茜さんの紡ぐ言葉は、どこか懐かしい様な、あたたかい情緒を常に感じさせてくれました。作中に出てくる「ゆかしい」という感情も初めて出会った言葉で、こんな素敵な日本語があるのかと感動したのを覚えています。『木守柿』とある通り、作中では「柿」の漢字が入った単語が沢山登場します。1つ1つの正しいニュアンスを丁寧に意識しながら、千早さんの描く世界観が少しでも聞き手に届く様、イメージしながら朗読させていただきました。改めて凄く貴重な経験でした。犬飼さんは初共演だったのですが、大人の余裕があって役にぴったりの方でした。
裏話的な話で言うと、会話の中で発する一言が面白くて、常に現場に笑いが起きていました(笑)。水上さんは二度目の共演で、久しぶりに現場でお会いできたのが嬉しかったです! 眠れない時、疲れた時、落ち着きたい時。ゆったりした気持ちでおやすみ王子を見て、少しでも皆さんの日々の疲れを癒やす手助けとなれば幸いです。

■千早茜

――テレビに書き下ろして普段と違った点。

 漢字は象形文字もふくまれるので、目で読む物語はなるべく場面に合うような字を選んでいます。今回は朗読。耳で聴く物語ということなので、古のやわらかい音のことばを入れてみました。

――視聴者へのメッセージ。

 いただいたお題が「柿」だったので、すこし悩んで作りました。眠りにつく前にあの鮮やかな色が残りますように。自分が書いた物語を、王子に読んでいただくのは初めてです。誰より私自身が楽しみにしている気がします。


■犬飼貴丈

 窪美澄先生の今回の作品から感じ取れた「辛いこともいつかは思い出になる」という考え方は、僕が2、3年前に提唱していたことだったので、親近感を感じながら読むことができました。作品に込められた思いが伝わるように、気持ちを込めて丁寧に朗読させていただきました。また、共演した水上さん藤岡さんとのやり取りも楽しかったです。普段は年齢が僕より上の方達と仕事をすることが多いので、年下のお2人と共演できたことはとても新鮮で、新たな気持ちで取り組むことができました。書き下ろし小説以外の番組の見どころがセットです。本屋さんのセットがすごく素敵だなぁと思ったので、セットにもご注目ください。

■窪美澄

――テレビに書き下ろして普段と違った点。

 小説は文字だけの情報ではありますが、「ん?」と思うところがあれば、自分のスピードでページを戻ったりすることもできますよね。テレビではそうもいきませんので、なるべくわかりやすい言葉を使うようにして、長い文章を避け、誤解が生まれないような表現を心がけました。それでも、書き手の私から、こういう感想を持ってほしい、という気持ちはなく、テレビを見た方が、さまざまな感想を抱いてくださればうれしいと思っています。

――視聴者へのメッセージ。

 編集者の方には男女問わず、小さなお子さんを抱えながら仕事をされている方がいて、「子どもが急に熱を出して……」という話をよく聞きます。
そんな話を聞くと、「いったい明日の仕事はどうしたらいいんだろう!?」と途方にくれていた子育て中の自分を思い出します。このお話を聞きながら、お子さんを看病している方もいるかもしれません。子育てに関わっているすべての方に「でも、大丈夫だからね」と伝えたい気持ちがこの作品になりました。

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