ドラマ『ウォーキング・デッド』でメインキャラクターのダリル・ディクソンを演じたノーマン・リーダスが来日。千葉で生活していた過去や、親しみやすい性格で日本でも大人気なノーマンは、現在『ウォーキング・デッド』終了後の世界を描く、ダリルが主人公のスピンオフドラマ『ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソン』に出演中だ。
【動画】お疲れ気味の皆さんへ ノーマン・リーダスから“元気が出る”メッセージ「子ネコをなでましょう」
■ダリルに流れるリックたちのエッセンス
『ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソン』は、巨大共同体であるコモンウェルスを離れたダリルが、目が覚めるとマルセイユの港に漂着していたところから始まる物語。“飢えし者”と呼ばれるウォーカーがはびこるフランスでは、人類再生を信じ慈善活動を行う“希望連合”と武力で全土を制圧する“生者の力”の2つの勢力が台頭しており、ダリルは看病をしてくれた“希望連合”の修道女イザベルに、“救世主”として育てられた少年ローランを連合本部へ護送するよう頼まれる。一方、“生者の力”幹部のコドロンは、ある目的でダリルの行方を追っており…。
――2022年、『ウォーキング・デッド』が12年の歴史に幕を下ろしましたが、改めて思い出を聞かせてください。
ノーマン:『マッドメン』や『ブレイキング・バッド』などAMC製作のドラマはすでに見ていて、フランク・ダラボンが書いた『ウォーキング・デッド』のパイロット版の脚本をロサンゼルスでもらった時、すごくスマートだと思いました。特にアポカリプスを通して戦わなければいけないことや、本当の自分をさらけ出さなければいけないこと、守る家族がいなくなりいろんなキャラクターが共に戦わなければいけないことなどは、本当に巧みだと思いました。
――「いつか死ぬかもしれない」という不安は、正直抱えていましたか?
ノーマン:毎回そうでした。ずっと死ぬのではないかと思いながら過ごしてきて、14年~15年経ちました。
――無事に生き残ったわけですが、10年以上続けてきたダリルの芝居で最初と比べて『ダリル・ディクソン』で変化したことはありますか?
ノーマン:ダリルという男はすべてのシーズンを通して変わりました。最初に撮影したのが、シーズン1で、リック(アンドリュー・リンカーン)がダリルに対して、兄のメルル(マイケル・ルーカー)を手錠でつなぎ、ビルの屋上に拘束していることを打ち明けるシーンなのですが、正直あの時はどう演じればいいのか分からなかった。なのでみんなに背を向けたんですが、振り返ったら12人の俳優が「彼はどうするんだろう?」という目で僕を見ていた。その時、僕は嫌われていて、イライラされているように感じたんです。だから「僕も君たちが嫌いだよ」という気持ちで演じました。
そして年月が進み、さまざまなキャラクターが殺されていく中で、ダリルが物語で学んだことを芝居に取り入れようと思いました。ハーシェル(スコット・ウィルソン)や、リック、シェーン(ジョン・バーンサル)、グレン(スティーヴン・ユァン)…彼らが持っていたものをダリルの意思決定に組み込もうと思ったんです。「ハーシェルならどうしただろう」「リックならどうしたかな」と考えながら芝居を作っていきました。なのでダリルには、シリーズを通して影響を受けた人のエッセンスが入っています。
――ありがとうございます。ノーマンさんは映画やドラマのみならず、バイクを楽しむリアリティー番組『ライド with ノーマン・リーダス』やゲーム『DEATH STRANDING』などにも出演していて唯一無二のキャリアだと感じています。
■「ビアードパパ」に「何?」
ノーマン:『DEATH STRANDING』に関しては、ギレルモ・デル・トロから「小島秀夫という男がいる。電話をかけてくるだろうから、イヤなヤツにならずに『イエス』と答えてくれ」と電話が来ました。サンディエゴで実際に秀夫に会って、iPadでプロジェクトを見せてくれた。「この人は天才だ」と思った。あのスケールのゲームの撮影をするのも新鮮でした。彼は本当に素晴らしい人です。
映画とテレビドラマでは、キャラクターに対する見方が大きく違うと思っています。映画は1時間半ほどキャラクターを見続けて、ある程度時間が経つと考えることから離れると思うんですけど、テレビドラマの場合は、視聴者が毎週ソファに座って、キャラクターが成熟していく過程をリアルタイムで見ることができるので、視聴者とキャラクター、製作者の絆が生まれてくる。どの仕事もそれぞれで異なり、満足しています。
――以前来日した際に「ビアードパパ」が好きだと言っていました。あの映像は切り取られてミーム化するほど人気だったのですが、今回の来日で楽しみにしている食べ物はありますか?
ノーマン:何? 分からないな…。僕が好きと言っていましたか!? その動画を見せてくれますか? おいしいんですか?
――シュークリームなんですけど、覚えていませんか…?
ノーマン:(動画を見ながら)僕だ! 大阪に行ったらみんなこれをくれるのかな。
――(笑)。さて日本では4月に新生活が始まるのですが、5月はその疲れがドッと出てくる時期でもあります。ノーマンさんからファンの皆さんに元気が出る方法を最後に教えてください。
ノーマン:音楽を大音量で聞くことかな。音楽を聞きながらシャワーで歌うんです。あと子ネコも好きです。疲れを乗り越えるためには、イヤホンを着けて音楽を大音量で流し、子ネコをなでましょう。
(取材・文:阿部桜子 写真:クランクイン!編集部)
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