ほうれい線すらも謎めいている西島秀俊は、二枚目俳優の中でも稀有な例
主演の佐々木蔵之介は、幅広い世代の女性にとって「よくわからない魅力」のある人だと思う。
「実家が造り酒屋(古風な芸名は、父親が名づけてくれたもの)」ということや、「神戸大卒」ということ、「京都弁」で「話すとすごく面白い」ことなどに加え、「なぜか小型船舶免許1級を取得した」なんてオマケも含めて、女性の好きそうな要素はたくさんある。
でも、なぜか惹かれてしまうのは、そういう言語化しやすい要素よりも、佐々木蔵之介の持つ、どこかしらノーブルなのに得体の知れないところにあるのではないだろうか。
個人的には、劇団出身の佐々木蔵之介を初めて知ったのは、朝ドラ「オードリー」(2000年)での時代劇スター「幹幸太郎」役だった。
初めて見た顔なのに、妙な貫録と豪快さがあって、パッと目をひく表情や、すらりと伸びた背は、ベテランなんだか若手なんだかわからない。わからないけど、いやに気になって仕方ない存在だった。さらに、ドラマ「元カレ」(2003年)では、広末涼子にちょっかいを出す「仕事はできる、遊び人」みたいな役がハマッていたし、ドラマ「離婚弁護士」の「ハンサムなラクダ」(ドラマ内で呼ばれていた)ぶりも良かったし、一方で映画「間宮兄弟」(2006年)での、シャツをしっかりズボンにインするような堅物+多趣味のオタクも、実にキュートだった。
映画「アフタースクール」(2008年)のインチキくさい怪しい探偵役も、ピッタリだった。そんないろんな顔を持つ佐々木蔵之介だが、彼の魅力が存分に発揮されるのは、やっぱり「主役より脇役」だと思う。
それも、「家族思いの父親役」とか「良いお兄さん役」「スマートなイケメン歯科医」とかよりも、どこか胡散臭い役やインチキ臭い役、少し悪い役、つかみにくい役のほうが、吸引力が強い気がする。
また、不思議なのは、「佐々木蔵之介目当てで観るドラマ」より、「観たドラマにたまたま佐々木蔵之介が出ていて、嬉しかった(得をした)」というほうがピッタリなこと。
余談ですが、一つだけあえてダメ出しするなら、ドラマ「下北サンデーズ」内やトーク番組などでよく見るVネックのニットやTシャツはやめてほしいということ。長い首を全部出すよりも、きっちりしたシャツや、インチキくさい派手柄シャツが、よーく似合うと思うから。