エマ・ストーンとヨルゴス・ランティモス監督が3度目のタッグを組んだ映画『憐れみの3章』。本作にて、ランティモス監督と再タッグを組んだのはエマだけではない。

天才監督の世界観を愛し支えるハリウッドの実力者たちを紹介したい。

【写真】ランティモス監督のもとに再集結! 名優たちの出演シーン切り取る場面写真

 天才の名を欲しいままにするランティモス監督が描く世界には、そのビジョンを具現化する映画界屈指の表現者たちが欠かせない。『女王陛下のお気に入り』、『哀れなるものたち』でタッグを組んできたエマ・ストーンは、ランティモス監督と共にその名を映画界に刻み、いま最も才能のある映画人のひとりとして世界中を魅了している。しかし本作では、ストーンのみならず『哀れなるものたち』からウィレム・デフォー、マーガレット・クアリーが、そして『女王陛下のお気に入り』からジョー・アルウィンが再びランティモス監督のもとへと集結した。

 伝説的名優から注目の新星まで、ランティモス監督の唯一無二の才能に魅了された折り紙つきの表現者たちが集まる本作で、彼らはこれまでにない、3つの物語で別々のキャラクターを演じるという最高難度のチャレンジに挑み、そして新たな新境地を切り拓いている。そんな彼らが口をそろえて語るのは、ランティモス監督への絶大な信頼だ。

■『哀れなるものたち』から続投! ウィレム・デフォー

 ウィレム・デフォーは、2つとない個性と確かな実力を兼ね揃え、『プラトーン』(86)、『シャドウ・オブ・ヴァンパイア』(01)、『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』(18)、『永遠の門 ゴッホの見た未来』(19)で4度のアカデミー賞(R)ノミネートを経験。『今そこにある危機』(94)、『アメリカン・サイコ』(00)、『スパイダーマン』(02)といった名だたるタイトルをはじめ150本以上の映画に出演する、現代映画史において伝説的なキャリアを持つ。

 『哀れなるものたち』ではストーン演じる<生まれたての女性>ベラを生み出した孤独な科学者かつ天才外科医のゴッドウィン・バクスター役を務め、奇想天外ながらもカタルシス溢れるエンディングへ向かう物語に大きな存在感を添えた。今なお芸術的探究心を熱く燃やすデフォーは本作でも存分に発揮されるランティモス監督のみが持つ唯一無二の才能を賞賛。「この物語はヨルゴスの独特な世界であり、彼には私たちが普段見ることのできないものを見ているように思わせる才能があります。そしてそこには魔法が存在します」と、愛と支配をめぐる大胆不敵な3つの物語を生み出したランティモス監督の魅力を明かしている。


 デフォーは、第1章でジェシー・プレモンス演じるロバートをあらゆる意味で支配し、コントロールしようとする上司のレイモンドを、第2章で海難事故から奇跡の生還を果たしたエマ・ストーン演じるリズの父を、そして第3章では、エマ・ストーン演じるエミリー、ジェシー・プレモンス演じるアンドリューが帰依するカルト集団のリーダー・オミを演じている。映画界を代表する名優は本作でどのように3つの異なるストーリーを彩るのか。その圧倒的な演技力で魅せる3つのキャラクターはトラウマ級の衝撃を与えてくれるかも?

マーガレット・クアリー&ジョー・アルウィンも再集結!

■『哀れなるものたち』以上の重要役に マーガレット・クアリー

 マーガレット・クアリーは、Netflix映画『Death Note/デスノート』(17)のヒロイン役や、クエンティン・タランティーノ監督作の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(19)で注目を集め、Netflixドラマ『メイドの手帖』(21)ではゴールデングローブ賞にノミネート。本作でも共演するジョー・アルウィンとともに主演を務めた『Stars at Noon(原題)』(22・日本未公開)はカンヌ国際映画祭グランプリ受賞と、目覚ましい活躍を見せる。『哀れなるものたち』ではストーン演じるベラ同様、<生まれたての女性>として蘇生されたフェリシティを演じた彼女は、本作で前作以上の重要な役に大抜てきされている。

 クアリーは、第1章の中で、デフォーが演じるレイモンドの側にいるミステリアスな女性ヴィヴィアンを、第2章で、ストーンとプレモンスが演じる夫婦の友人マーサを演じているほか、第3章では、特殊能力を持つ可能性を秘めた、カルト集団が探し求める人物の、双子のルースとレベッカを演じている。3つのストーリーで3役を演じるだけでも至難の技だが、クアリーはまさかの4役を演じ分けたのだ。

 そんな彼女に対しランティモス監督は、「私たちは何年も友人であり、次に何をやりたいか話し合っていて、この映画がその機会を与えてくれました。彼女は素晴らしい女優で、とても具体的なアプローチができます。」とその実力を絶賛。クアリー自身も、「この現場の雰囲気で珍しいことのひとつは、他の作品では自分の役が終わるとみな帰ってしまうものなのですが、この現場では全員が残っているのです。作品へのリスペクトがあり、みんなその場に残りたいのです。それがこの映画を他の映画とは違うものにしているのです」とランティモス監督が描く独創的世界に続けて出演できた喜びを明かしている。
新星ながらも確かな演技力で賞賛を集めるクアリーの4役演じ分けは本作でしか観られない。

■『女王陛下のお気に入り』から再集結! ジョー・アルウィン

 イギリスの名門校で演技を学んだジョー・アルウィンは、俳優デビュー作である『ビリー・リンの永遠の一日』(16)で主演に抜てき。クリステン・スチュワートやヴィン・ディーゼルといった名だたる俳優たちと並び見せた見事な演技が高い評価を得て、その2年後に、のちにアカデミー賞(R)受賞作となった『女王陛下のお気に入り』にストーン演じるアビゲイルの結婚相手となる政治家マシャム役として出演。同年にマーゴット・ロビー出演の『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』やブッカー賞受賞小説原作の『ベロニカとの記憶』といった話題作に立て続けに出演したことで、その年のカンヌ国際映画祭で前途有望な新進気鋭の若い俳優に贈られるショパール・トロフィーを受賞しその存在を世界に知らしめた。本作の出演はランティモス監督からの熱望で実現している。

 『女王陛下のお気に入り』で「彼の作る世界は突拍子もないけどすばらしい」とランティモス監督を讃えたアルウィンは、再び監督ならではの世界観へ身を投じるにあたり、「脚本を読んで、彼の初期の作品に戻ったような感じがしました。より現代的な世界で、彼は現実と戯れているのです。それは現実であり、かつ現実でないのです」と、ランティモス監督だけが持つ独自の感性に触れる喜びを口にしている。

 ランティモス監督が『女王陛下のお気に入り』とは対照的なキャラクターを与えたと語る役柄は、第1章でプレモンス演じるロバートの自宅に訪れる収集品鑑定人を、第2章では、プレモンスとママドゥ・アティエ演じる警官2名によって、とある事件に巻き込まれる青年・ジェリーを、第3章では、ストーン演じるエミリーの元夫・ジョセフの3役だ。映画界生え抜きの新星俳優がどのようにキャラクターを演じ切ったのか。ぜひその姿をスクリーンで確かめてほしい。

 映画『憐れみの3章』は、9月27日より全国公開。

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