集英社のマンガ誌アプリ「少年ジャンプ+」で連載中、累計発行部数1800万部を突破した松本直也氏の人気作『怪獣8号』。数々のマンガ賞に輝いた話題作のアニメ第2期が、7月19日よりスタートする。
第2期では、主人公・日比野カフカと四ノ宮キコルが鳴海弦率いる“第1部隊”に加わり、物語は新たな局面を迎える。このたび、日比野カフカ/怪獣8号役・福西勝也、四ノ宮キコル役・ファイルーズあい、鳴海弦役・内山昂輝にインタビューを敢行。第2期の見どころや、演じるキャラクターとの共通点などをたっぷりと語ってもらった。
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■不安ばかりの第1期、今は「一切感じていません」「ほとんどがワクワク」
――2024年に放送・配信された第1期は、日本国内外で大きな反響を呼びました。満を持しての第2期となりますが、今の心境は?
福西:第1期の頃を思い返してみると「大丈夫かな?」「ちゃんとできているかな?」と不安ばかりでした。その頃と比べると、今の心境はけっこう違います! 今は、不安はほとんど感じていません。
ファイルーズ:マイク前で堂々としているもんね。
福西:うん! 色んなしがらみが消えた気がします。
ファイルーズ:第1期の最初の収録は、肩が耳につくんじゃないかってくらい上がっていたんですよ(笑)。
福西:あの時は本当に肩こりがひどかった(笑)。
ファイルーズ:「もっとチルすればいいのにな~」と思っていました(笑)。
福西:初主演作の初期の収録よ!? それは無理な話ですよねぇ(笑)。
内山:緊張するよね(笑)。
福西:ただ、毎回お芝居に渾身の一撃をぶつけているところは、第1期の頃から変わっていません。そこはカフカと一緒です。悪い緊張が消えたという感じですかね。第1期の頃のように、何故だかわからないけど涙が出てきちゃう……みたいなことはなくなりました(笑)。不安とワクワクが半々だったのが、今はほとんどがワクワクに変わりました。
ファイルーズ:エックスで全世界リアルタイム配信されていたこともあって、この『怪獣8号』は他の作品以上に反響を肌で感じる機会が多かったです。どれだけ多くの人に愛されているかが伝わって来て、改めてこの作品に携われたことを光栄に思いました。
特に私が素晴らしいと思ったのが、OP/EDテーマ。映像ももちろんですが、日本のアニメに洋楽アーティストが主題歌を書き下ろすなんて、前代未聞ですよね! それ以外にも1つ1つのトピックに“『怪獣8号』であることの意味”みたいなものが必ず理由付けされていて、そのこだわりが多くの人を夢中にさせるポイントだったんじゃないかと思います。
――そんな『怪獣8号』に、内山さんは第2期より本格参戦となります。出演が決まった時のお気持ちは?
内山:とにかく頑張るしかないな、と(笑)。
福西:そうですよね(笑)。でも、内山さんも私たちと同じ時期のオーディションだったんですよ。
――そうなんですか!? じゃあ第1期中はずっと出番を待ち続けていたんですね。
内山:実はそうなんですよね(笑)。第1期の最終話で初登場となったので、収録時は他のキャストさんたちが「最終回かぁ」としみじみした雰囲気を出しているのに、僕だけ「まだ何もやってないのに……」と思っていました(笑)。
――演じる鳴海弦の印象は?
内山:掴みどころがあるようでないですよね。表情の変化が激しく、任務に対しての真剣さも伝わってくるものの、生活力に関しては「皆無」と言ってもいいくらいヤバくて(笑)。キコルにお金を無心するシーンもあったりして、面白いキャラクターだと思います。
■ファイルーズあい、内山昂輝のキャラクターとの共通点
――福西さんが第1期の頃にキャラクターに対する印象を語ったインタビューを見てみると、「共感」という言葉が何度も登場していました。ファイルーズさんと内山さんは、演じるキャラクターに共感する部分はありますか?
ファイルーズ:めっ(かなり溜めて)っちゃくちゃあります! 私もかなりの完璧主義だったんですよ。家の中も常にキレイだし、本棚も系統ごとに並べるし、絵を描いていて少しはみ出しただけで描き直したり……。
そんな中、自分自身にもいろいろな心境の変化があって、完璧主義を手放したいと思い始めたんです。
その際に完璧主義を手放すためのステップが書かれた本を読んだのですが、キコルと共通している部分が多いことに気づきました。「完璧じゃなきゃいけない」と自分にプレッシャーをかけて、そのせいで自分を認められなくなり、他者に承認を求めてしまったり。
でも、実際は完璧な人間なんていないんです。完璧を追い求めても、行き着く先はどこでもないんですよ。存在しないものを追いかけるから、苦しみ続けることになる。それを踏まえて第1期を見返すと、キコルのことを抱きしめて「完璧じゃなくても、あなたはそのままで、ありのままが1番ステキなんだよ」と伝えてあげたくなっちゃいました。
――内山さんはいかがでしょうか?
内山:あまりないかもしれないです。
ファイルーズ:鬼のようにエゴサしないですか?
福西:内山さんがエゴサしてたらちょっとイヤだなぁ(笑)。
内山:しないしない(笑)。ゲームもあまりやらないし、最強でもないし。
福西:いや、最強感はかなり感じますよ!
ファイルーズ:確かに! 内山さんは実力者じゃないですか。でも「実力ありまっせ!」って顔をしないところが、初登場の時の鳴海っぽいと思います。
ミステリアスな感じ。初登場の時だけですけど(笑)。
福西:でも、良かった。「(共通点が)いっぱいあります」って言われたら逆に怖いですもん(笑)。
――鳴海率いる第1部隊にカフカ、キコルが加わったところからスタートする第2期。3人のシーンが多いと思うのですが、掛け合ってみていかがですか?
福西:実は、3人での掛け合いはほぼないんですよね。ただ、戦闘シーンが多いので、一緒に描写されるシーンは多いです。その戦闘を通して3人の間で何が育まれているかというと、“目標と対峙する覚悟”だと思うんです。目標が同じ人が隣にいると、具体的な会話を交わさなくても、自然と絆も生まれる気がします。
ファイルーズ:掛け合いは少ないですが、鳴海の登場によって、キコルが新しい表情を見せることも多くなりました。キコルは長官の娘ということもあり、防衛隊のしきたりや上下関係に強い意識を持っていて、上官に対する口の利き方もかなり気を遣っていました。それが鳴海に出会ったことで、口調が荒くなったり、また非常にコミカルな表情もするようになるんです。
それがストーリーの新しいスパイスにもなっていると感じました。
――内山さんから見て、カフカとキコルが加わった第1部隊のチーム感はどうでしょうか。
内山:率いている鳴海自身はもちろん、個人のパワーがそれぞれ特徴的なので、チーム感を聞かれるとなかなか難しいですね(笑)。その一方で鳴海がきりっとみんなに指示を出すシーンも描かれているので、福西さんが言ったように任務の中で自然と絆が生まれて、信頼関係も出来ていくのかなと思っています。
――第2期を楽しみにしている方へ見どころ・メッセージをお願いします。
内山:キャスト・スタッフ全員が、強い熱意をもってこの作品づくりに取り組んでいます。スタッフの方々には明確な「作りたいもの」のビジョンがあり、僕たち声優陣も自分なりに演技を組み立てて、それをすり合わせながら一緒に形にしていく。そんな丁寧なコミュニケーションの中で、第2期は生まれています。早く皆さんにこの作品を届けたいという思いでいっぱいです。
鳴海が率いる第1部隊には、どんなキャラクターがいて、どんな戦い方を見せてくれるのか。そして、彼らと関わることで、カフカやキコルとどんなケミストリーが生まれていくのか。ぜひ注目してほしいです。
ファイルーズ:第2期では、“生きるか死ぬか”が日常にある世界なのだと、改めて突きつけられました。張りつめた緊張感の中で、それでも前を向き、必死に戦うキャラクターたち。その心の揺れや変化にも、ぜひ目を向けてください。
カフカやキコル、鳴海たちが、怪獣に立ち向かいながらも自分自身と向き合っていく姿を、どうか応援していただけたら嬉しいです。
福西:第1期ではほぼ一貫してカフカが作劇の中心にいましたが、第2期では新キャラの登場もあって、私自身、演じていない場面も増えました。でもその分、スタッフの皆さんの作業や会話を間近で見学させてもらう機会が増えたんです。
監督や松本先生が、「どうすれば『怪獣8号』をもっと魅力的にできるか」を真剣に語り合い、何度も議論を重ねる姿に、胸が熱くなりました。リテイクも、決して芝居が足りないからではなく、「もっとより良くなるはず」と信じているからこそ。それだけの想いが注がれた第2期を、ぜひ感じ取ってほしいです。本作に携わるスタッフみんなの熱量が、きっと画面越しにも伝わると思います。
(取材・文:米田果織 写真:吉野庫之介)
テレビアニメ『怪獣8号』第2期は、7月19日よりテレ東系列ほかにて毎週土曜23時放送。エックスにて全世界リアルタイム配信。
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