12thシングル「Make or Break」で新体制へと踏み出した櫻坂46。初の表題曲センターを務める的野美青、2度目のBACKSセンターとなる石森璃花、二期生としてグループを支える井上梨名と武元唯衣が、今の櫻坂46を語った。
【写真】的野美青・石森璃花・井上梨名・武元唯衣 インタビュー撮り下ろしカット
■表題曲センター・的野、BACKSセンター・石森の覚悟
――今作はグループとして新体制となり、変化の多いシングルなので、いろいろとお伺いできたらと思っています。まずはじめに、的野さんに。表題曲「Make or Break」でセンターに決まったときの心境を聞かせてください。
的野:フォーメーション発表のとき、まさか自分の名前が最後に呼ばれるとは思っていなかったので、すごく驚きました。不安や怖さよりも、状況を受け止めきれなかったんです。でも制作が始まっていくうちに、センターとしての景色や見え方が少しずつ分かってきて、実感が湧いてきました。
発表を受けて、兄が連絡をくれたんですけど、「堂々とかつ謙虚な姿勢を心掛けよ」と言われたのが心に残っています。初心を忘れず、覚悟を持って臨もうという気持ちが今は強いです。
――実際に活動が始まって、心境に変化はありましたか?
的野:レッスンでも、自分の前には誰もいなかったり、今までと違う状況が増えたりして、「グループを背負って立ってるんだな」と感じることが増えました。
センターって自分1人で立つものではなくて、メンバーそれぞれの思いを背負って、初めて意味が生まれる場所だと思うんです。
――ブログには「恐れも、弱さも、迷いも抱えたまま」と、思いをつづっていましたね。
的野:以前の私は、完璧な自分じゃないと嫌で、自分を綺麗に見せたいという気持ちが強かったんです。でも、それが逆に自信を失わせる原因にもなっていた気がしました。最近は自信を持とうと考えてはいるんですけど、同時に無理にポジティブでいようとすることも良くないんじゃないかと思っているんです。
怖さや迷いもあるけど、それも含めて自分。ここまで歩んできた自分を信じて、先輩方にも支えられながら、進んでいけたらと思っています。
――続いて、石森さんにお聞きします。9thシングル収録の「愛し合いなさい」に続いて、2度目のBACKSセンターに抜てきされました。決まったときの心境はいかがでしたか?
石森:一番は「びっくりした」という気持ちでした。2回も任せていただけることはうれしいけれど、前回の自分が十分に期待に応えられなかったからなのかな…とも考えてしまって、そう考えたらプレッシャーがすごかったです。でも、きっと期待もしてくださっているからこそだと思うので、みんなと一緒にBACKSを熱く盛り上げていきたいです。
――ブログにも決まったときの心境を書かれていて、動揺もにじんでいましたが、その後、気持ちに変化はありましたか?
石森:正直なところ、大きく気持ちは変わってはいないです。でも、自分が沈んでしまったら、グループにとってもBACKSにとってもいいことではないので。私はBACKSを熱いものにしたいと思っていますし、真ん中に立たせていただく以上は自分が先導しなきゃいけないので、強い気持ちでいようと思っています。
――井上さん、武元さんもBACKSセンターを経験されていますが、2度目のセンターを務める石森さんの姿をどう見ていますか?
井上:本人は葛藤もあると思うんですけど、それでも挑戦する姿は素敵だと思います。9thシングルのときは、三期生がBACKSセンターを務めるのは初めてで、プレッシャーも大きかったと思うので、あのときから成長した璃花ちゃんが、今回また違う一面を見せてくれると思います。
武元:前回センターを務めたときと比べて、今の璃花は別人のように変わったと思います。活動への向き合い方も、堂々とした姿も。これまでの期間に経験を積んで、ちゃんと自分の足で立っている姿を見て、本当に頼もしく感じています。
――井上さん、武元さんの言葉を聞いて、石森さんはどう感じますか?
石森:うれしいです。でもそれは、先輩方を見て育っているからだと思っています。背中を見せてくださっているからこそ、吸収できたことが多いんです。先輩方のおかげで今の自分があるので、本当に感謝しています。
■新体制のグループ「初心を忘れちゃいけない」
――前作11枚目シングルをもって、最後の一期生である小池美波さんが卒業。今作では四期生9名が加わり、新体制でのシングルとなりました。井上さん、武元さんは活動歴の最も長い二期生として、今のグループに対してどのように感じていますか?
井上:先輩がいてくれたからこそ、成り立っていたことがたくさんあるので、ちゃんと受け継いでいきたいなと思います。昔から応援してくださっている方にも今の櫻坂を好きでいてもらいたいし、最近ファンになってくださった方にも好きになってもらいたい。その両方を叶えたいという気持ちがあります。
グループが変わるときって、ファンの方の気持ちも変化するのが自然だと思うんです。でも、そこを一緒に歩んでいけたらいいなって、最近特に思うようになりました。
武元:今このタイミングだからこそ、私たちが一番、初心を忘れちゃいけないと日々感じています。この「Make or Break」は2025年に入ってから3作目のリリースになりますけど、こんな頻度でリリースできること、MVが撮れること、アートワークが作られること、全部が当たり前ではないと思っています。
ドームやスタジアムでライブができる今の状況も、多くの方の支えがあってこそのものなんですよね。だからこそ、もう一度原点に立ち返って、1つ1つの作品や楽曲に、丁寧に向き合っていかなきゃと、自分自身にも言い聞かせています。
――三期生の的野さん、石森さんは、四期生という初めての後輩ができました。
的野:私は人生で初めて後輩ができたんです。自分も後輩として入ってきたときに、先輩方から教えていただいたことが本当にたくさんあって、技術的なことだけじゃなくて、先輩としてのあるべき姿を見せてくださいました。
だから私も三期生として、学んだことを四期生に渡していきたいです。今の櫻坂のいい雰囲気をこの先も保ち続けていくには、私たち三期生も先輩として引っ張っていかなきゃいけないなと思っています。二期生さんが築いてくださったものを、今度は私たちが受け継いで渡していく番だから、かっこいい背中を見せられる先輩でありたいです。
石森:私は何かを変えようというより、今まで通り、むしろ変わらずにやっていきたいなって思っています。四期生が入ってきたから何かをするとか、気にかけるっていうのも、もちろん時には必要ですけど、入ってきてくれたからには仲間なので、変わらずに接したいし、自分も変に構えずに一緒に活動していけたらなと思います。
■井上&武元は四期生とご飯に行ける?
――公式YouTubeで公開されている四期生ドキュメンタリーでは、先輩メンバーと四期生が初対面するシーンが収められていましたね。第一印象はいかがでしたか?
井上:まだこんなにかわいい子が世の中にいるんだって思いました。「何人いるんだろう?」って(笑)。
武元:みんなハキハキしていて、初対面で泣いちゃう子が連鎖する“涙リレー”も起きなかったし、本当にしっかりしてるなって感じました。
――ちなみに、井上さんと武元さんは「後輩となかなかご飯に行けないタイプ」と、よく番組などで話していますが、四期生とは行けそうですか?
武元:三期生と行くのにも2年かかりましたからね。
井上:何かきっかけがないと、なかなか踏み出せないんだよね。
武元:でも誘ってもらえれば、いつでも行きますし、ごちそうします(笑)。ただ、自分からはちょっと誘えない…。連絡をもらえたら喜んで行きます。
井上:逆に三期ちゃんの方が、そういうの得意そうな気がするよね。
武元:そう、四期生には、三期生が誘ってくれるだろうなって期待してます(笑)。
石森:最近、その気持ちがやっとわかってきたんです。四期生が入ってくるって考えたときに、「自分が誘う立場になるのか」って思ったんですけど、後輩を誘うって、めちゃくちゃ勇気がいることなんですね。
武元:そう、分かってくれた?(笑)
石森:だから私自身、もっと後輩として先輩を誘っていこうって思いました。
武元:それは助かるかも(笑)。
――もう1つ、石森さんといえば、的野さんのことが大好きだとよく話していますが、四期生が加入してもその思いは変わらないですか?
石森:変わらないです。加入してからけっこう経ちますけど、ずっと好きです。本当に変わらず。もう、スタッフさんも先輩方も、みんな知ってると思います(笑)。
的野:うれしいです。ずっとかわいがってくれていて、私は逆に「ずっとじゃないかもしれない」って思っちゃうんです。だから私からは行けないときもあるんですけど、心の中ではすごくうれしいですし、私も同じ気持ちです(笑)。
■最大規模のドーム5days公演「思いを全て背負ってステージへ」
――現在は全国ツアー「5th TOUR 2025 “Addiction”」の真っ最中で、前半の6公演を終えました。これまでの手応えをどう感じていますか?
的野:今回は、今までのツアーとは違う挑戦的な構成になっていて、勢いのあるライブというか、観てくださっている方を巻き込むような一体感を大切にした構成になっています。私たちだけでなく、会場全体で1つのパフォーマンスを作っているような感覚があるんです。そんな雰囲気も含めて、皆さんに楽しんでいただけたらと思っています。
武元:毎公演、「Buddiesの皆さんと一緒にライブを作ってるんだな」と強く実感しています。今回のツアーは、私たちだけでは成り立たなかったと感じていて。Buddiesの皆さんの熱量や声援、すべてが一体となって、ライブが完成していますね。
これまでさまざまなライブを経験してきましたけど、年々、私たちの熱量も、Buddiesの皆さんの思いもどんどん大きくなっていて、最近ではもう“対決”に近いくらいの勢いで(笑)。私たちも負けられない気持ちでぶつかっています。
――ツアー後半では、7月に東京ドーム3days、8月に京セラドーム大阪2daysが控えています。最後にドームライブへ懸ける思いを聞かせてください。
井上:東京ドーム3days、初の京セラドーム大阪2daysという規模で、そこに立てるアーティストは、本当に数少ないと思います。だからこそ、一緒に頑張ってきたメンバーやスタッフさん、Buddiesの皆さんの思いを全て背負って、ステージに立ちたいです。
演出面でも想像を超えるものを届けられると思いますし、私たち自身のパフォーマンスもそれに負けないくらいの熱量で、期待を超えていけたらと思っています。
武元:ドームという大きな場所でライブを成功させることは、私たち自身にとっても大きな自信になります。その自信を持って立っているときこそ、最大限の力が出せると思うんです。
今の櫻坂は、「自信しかない」と言える状態にあるので、あとはそれを信じて、思いきり咲き切った姿を届けたいです。
石森:ドームって本当に大きくて、アリーナツアーのようにBuddiesの皆さんと距離が近いわけではないので、どう楽しんでいただけるかをすごく考えます。
上の方の離れた席でも「来てよかった」と思っていただけるライブにするのは難しいことですけど、だからこそ、どこの席にいても楽しんでいただけるようなライブを届けたいです。
的野:ライブって、グループの世界観や雰囲気が凝縮される場だと思うんです。でも「そのグループらしさ」があるって、当たり前のようで当たり前じゃなくて。
先輩方やBuddiesの皆さんが、たくさんの積み重ねで築いてくださったものが、今の櫻坂にはあります。だからこそ、その場所に立つ意味をかみしめたいです。
ドームという場所は、きっと一生の記憶に残る経験になると思うので、ただ気持ちを爆発させるだけでなく、もっと先の景色を見たいですし、そこから学びたいとも思っています。そして、今までの櫻坂のイメージを壊していけるくらい、もっと幅広く、層の厚いグループになっていきたいです。
(取材・文:堀タツヤ 写真:小川遼)