シム・ウンギョンが主演する三宅唱監督最新作『旅と日々』の公開日が11月7日と決まった。併せて、30秒予告とティザービジュアル、場面写真3点が到着し、追加キャストとして河合優実、高田万作の出演が発表された。
【動画】観る者を日常と非日常が交錯する旅路へと誘う『旅と日々』30秒予告編
本作は、脚本家の李(シム・ウンギョン)が旅先でのべん造(堤真一)との出会いをきっかけに、人生と向き合っていく過程を李本人がつづっていく物語。ひっそりと身を寄せ合う登場人物たちが、やさしさと愛おしさあふれるまなざしで描かれていく。
30秒の予告編は、「行き詰まった脚本家が旅に出た」というコピーから始まる。たどり着いた宿で、宿主であるべん造に「幸せな気分さ、なる話はどうだや?」と問いかけられる李。眼鏡を曇らせながら、うどんを満足そうに頬張る李。雪の中でうっとりするように周囲の音に耳を澄ませる李。行動のひとつひとつに人間味あふれる李のキャラクターの魅力が詰まっている。
さらに「なしてこんなとこ来たの?」と尋ねられると「なんとなくです」と答える李に呼応するように、夏の海で「なんにもしたくなくて」と答える渚(河合優実)の姿が映し出される。河合演じる、独特の存在感でビーチにたたずむ渚が、ストーリーにどう絡んでくるのか。
そんな雪深い山奥と夏の海辺の風景が行き交う映像、そして「毎日が旅の途中だ」というコピーそのままに、日常と非日常が交錯する旅路へと思わず引き込まれる。予告編全体を包み込む音楽を担当したのは、今や三宅作品には欠かせないHi'Spec。李が旅先で出会う風景や人々、そしてその中で紡がれる物語に、どこか懐かしくも新たな感覚を与えている。
ティザービジュアルでは、雪景色の中にたたずむ李と、なにやら木桶をのぞき込むべん造、海辺を歩く渚が、いずれも遠景から配置されたレイアウトとなっている。どこまでも続きそうな雪景色と、青く広い空と海の中におかれた人物の姿が印象的で、「旅」という作品のテーマが色濃く反映された仕上がりとなった。クレジットにてつげ義春作品には欠かせない佐野史郎の出演が明かされ、続いて過去三宅唱監督作品にも出演してきた斉藤陽一郎、松浦慎一郎、足立智充、梅舟惟永ら実力派俳優陣が名を連ねている。
新たに出演が明かされた河合優実は「『きみの鳥はうたえる』が大好きで、いつかご一緒したかった」と語り、完成した映画に対しても「傑作だ、と思いました」と激賞。さらに、「全てのカットが、本当に美しいものを撮っている、または、本当に畏れながら撮っている、という感じがして、そういう意味での嘘のなさに、感動しました」と三宅監督の仕事に最大級の敬意を示している。
また、今回、予告編で後ろ姿しか明かされていない「夏男」の役で出演した高田万作は、本作を「自分の転機になる作品だと確信していた」とコメント。「ただそこに立って、風を受けながら、場所に身を委ねる。旅なんてそれだけで十分だと思える映画でした。言葉に囚われていた主人公が、この旅を通して少しずつほどけていく様な感覚が、皆さんにも伝わればいいなと思います」と素直な感想を語った。
新たに解禁された場面写真は、脚本家として執筆活動に一心に取り組む李、どこかおかしみのある李とべん造が囲炉裏を囲む姿、そして夏の海で風を受ける渚と夏男の姿の3点。
映画『旅と日々』は、11月7日より全国公開。
※高田万作の「高」は「はしごだか」が正式表記
※コメント全文は以下の通り。
<コメント全文>
■河合優実
――本作のお話をもらったとき、率直にどのように思いましたか?
『きみの鳥はうたえる』が大好きで、いつか三宅監督とご一緒したいと思い続けていたので、すごく嬉しかったです。
――脚本を読んで、どう思いましたか?
ふたつの原作を、夏と冬でメタ的に構成しなおすことに驚きがあり、とても面白いと思いました。また、三宅監督が何か新しいことに挑戦している印象があったので、一緒に映画を作ることが楽しみな脚本だと思いました。
――三宅監督との仕事は如何でしたか?
最初に、「監督と演者というより、一緒に作っていく人として接します」と言ってくださったのですが、それがすごく嬉しかったです。三宅さんは気さくで話しやすい方ですが、環境づくりはとにかく丁寧で、素晴らしい現場でした。
――完成した映画を観て
傑作だ、と思いました。ほんのささやかな物語の中に、無数の感慨があります。全てのカットが、本当に美しいものを撮っている、または、本当に畏れながら撮っている、という感じがして、そういう意味での嘘のなさに、感動しました。皆さんの素晴らしい仕事の結集だと思います。自分がこの映画の中に残っていることが嬉しいです。
■高田万作
――本作のお話をもらったとき、率直にどのように思いましたか?
オーディションの話を頂いた時から、三宅唱監督作品という事もあり「絶対にやりたい」と思っていましたし、自分にとって必ず転機になる作品だと確信していました。合格の連絡をもらった時は、プレッシャーもありましたが、それ以上に早く現場に入りたい気持ちが強かったです。
――脚本を読んで、どう思いましたか?
原作の、「海辺の叙景」の少し怖くて、でも目を離せないあの感覚が、脚本に上手く落とし込まれているなと思いました。読みながら、この先2人はどんな結末を迎えてしまうんだろうと、少しゾワゾワした気分になりました。
――三宅監督との仕事は如何でしたか?
監督自身が、現場をすごく楽しまれてるなと思いました。いつも笑顔で、スタッフの方と楽しそうに試行錯誤されてる姿が、すごく印象的でした。演技指導に関しても、監督の言葉ひとつひとつが信頼に満ちていて、難しい演技にも安心して挑戦することができました。
――完成した映画を観て
ただそこに立って、風を受けながら、場所に身を委ねる。旅なんてそれだけで十分だと思える映画でした。言葉に囚われていた主人公が、この旅を通して少しずつほどけていく様な感覚が、皆さんにも伝わればいいなと思います。素敵な作品に関わることが出来て光栄でした。
編集部おすすめ