池松壮亮が主演するNHKスペシャル終戦80年ドラマ『シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~』より、メインビジュアル、題字&音楽が解禁。追加キャストとして、仲野太賀、岩田剛典、中村蒼、三浦貴大、二階堂ふみ、杉田雷麟、別所哲也、北村有起哉、中野英雄、松田龍平、奥田瑛二、國村隼、佐藤隆太、江口洋介、佐藤浩市が解禁された。



【写真】仲野太賀&中野英雄が親子出演! 松田龍平が昭和天皇役 ドラマ『シミュレーション』キャスト陣

 本作は、猪瀬直樹のロングセラー・ノンフィクション『昭和16年夏の敗戦』を原案に、命をめぐる“頭脳と心の闘い”を描く人間ドラマ。主人公・宇治田洋一(研究員)役に池松壮亮を迎え、石井裕也監督が初めて戦争ドラマに挑む。

 真珠湾攻撃の8ヵ月前の1941年4月、首相直属の“総力戦研究所”に日本中から集められた若きエリートたち。模擬内閣を作り、出身官庁や企業から機密情報を集め、日本がアメリカと戦った場合のあらゆる可能性をシミュレートしていく。そして“圧倒的な敗北”の結論を手にした若者たちは、開戦へ突き進む軍や本物の内閣と対峙する。

 主人公の産業組合中央金庫(現・農林中金)調査課長・宇治田洋一を演じる池松壮亮のほか、新たなキャストが発表。

 模擬内閣で「内閣総理大臣」に指名される宇治田(池松)とともに総力戦研究所に参加する研究員たちには、仲野太賀、岩田剛典、中村蒼、三浦貴大。

 仲野太賀が演じるのは、宇治田と同じ民間出身で、同盟通信社政治部記者・樺島茂雄。模擬内閣では「内閣書記官長兼情報局総裁」を担当。はじめは宇治田の消極的態度を批判的に見るが、次第に彼の苦悩を理解し、戦友のような絆を感じていく。

 岩田は、海軍少佐・村井和正を演じる。海軍大学校を首席で卒業。
模擬内閣では「海軍大臣」を担当。アメリカとの国力の差を前に、日本が誇る「無敵の連合艦隊」も燃料の不足から長期戦に耐えられないと冷静に判断。「勝てない」と意を決して訴える。

 中村は、陸軍少佐・高城源一を演じる。模擬内閣では「陸軍大臣」を担当する。欧米列強に支配されるアジアで、いずれ植民地にされる前に日本は先に動くべきだと開戦を強硬に主張。だが宇治田の分析に驚がくし、現実を見定め始める。

 三浦は、企画院物価局事務官・峯岸草一を演じる。模擬内閣では「企画院総裁」。“金で世界は動く”が持論。日本が南方の石油を武力で確保しても、工業力に勝るアメリカと敵対し窮地に陥ると説く。軍ににらまれる危険を覚悟で発言する。


 二階堂ふみは、宇治田洋一の妹・宇治田小百合を演じる。夫は日中戦争で戦死した。娘の初子と実家に戻り、兄の洋一、弟の英二と4人で暮らす。両親は赴任した満州で軍と対立し謎の死を遂げた。以来、権力に抗する兄を、心配しつつ敬い支える。

 杉田雷麟が演じるのは、宇治田洋一と小百合の弟・宇治田英二。宇治田洋一と小百合の弟。作家志望で、兄とは異なり楽天的な性格。長らく経済的に兄に支えられてきたが、ようやく出版社への就職が決まった。その矢先、予想だにしなかった展開を迎える。

 別所哲也は、宇治田の上司で産業組合中央金庫・理事の井川忠雄を演じる。宇治田が勤める産業組合中央金庫の理事。
戦争回避のため渡米して、和平交渉の土台作りに尽力する。近衛首相や陸軍首脳にも近く、総力戦研究所設立に伴い、頭脳明せきな宇治田を研究員に推薦した。

 北村有起哉は、内閣総理大臣・近衛文麿を演じる。近衛首相の直属機関として設立された総力戦研究所が開戦後をシミュレートする一方、近衛は首脳会談での和平交渉を模索。しかし、統帥部や世論を抑えきれず、昭和16年10月に総辞職し、政権を手放す。

 松田龍平が演じるのは、昭和天皇。日米開戦当時、40歳。日中戦争が泥沼化するなか、欧米列強も敵にまわす主戦論を憂慮し和平交渉による戦争回避を求めた。だが「南方資源獲得で日本有利」との東條新内閣の説得で最終的に開戦を容認する。

 奥田瑛二は、天皇最側近の内大臣として首相指名に影響力を持つ木戸幸一を演じる。近衛内閣が総辞職して皇族が首相候補になったとき、「万一最悪の事態になれば皇室が国民の恨みを買う」と反対して、代わりに東條英機を首相に推挙した。

 総力戦研究所・幹部を演じるのは、國村隼、佐藤隆太。


 國村は総力戦研究所の所長となる陸軍少将・板倉大道。若きエリートたちの頭脳をアメリカとの戦況予測に使うべく研究を開始させる。だが、軍上層部の思惑とは異なる研究結果が出始めると、自由な議論の“最大の壁”となっていく。

 佐藤隆太は陸軍中佐・瀬古明を演じる。機密情報を駆使し戦況や内外情勢の近未来を予測する特殊研究を考案。上官の板倉や東條に忠誠を示し、模擬内閣に厳しく接する一方、懸命に国の未来を探る若者たちを、誰よりも深く理解して見守る。

 陸軍省・幹部を演じるのは、中野英雄、江口洋介、佐藤浩市。

 中野英雄は陸軍少将・武藤章を演じる。軍務局長として陸軍省の軍略・政略の実務責任者だった。国力差から対米戦争は不利と考えて、外交による和平交渉を支援した。しかし、陸軍内で勢いづく開戦強硬派との衝突は避けざるを得ず…。

 江口が演じるのは、陸軍中佐・西村良穂。
陸軍省軍務局高級課員。総力戦研究所を作ったメンバーの一人であり、宇治田と内密に通ずる。次第に開戦に踏み切らざるを得なくなる東條の孤独に側近として寄り添いながらも、戦争回避を模索する。

 そして、佐藤浩市は陸軍大臣のち総理大臣となった東條英機を演じる。開戦強硬派だったが首相就任後は天皇の意向で和平交渉を模索。開戦を求めて激化する世論や軍部と、天皇への忠誠のはざまで苦悩する。誰よりもシミュレーションに関心をもっていたが…。

 題字は、『HANA‐BI』、大河ドラマ『八重の桜』などを手掛けた赤松陽構造が担当。若者たちの情熱とも、闘いの血ともとれる印象的な赤い筆文字の題字を描いた。赤松は「とても良質な反戦ドラマだと思います。題字を書くときに心がけていることは、映像をイメージし自由な発想で書くように心がけています。『シミュレーション』ではあの時代の閉塞感や若者たちの葛藤を想い、筆字でも書道の型にとらわれず、すり切れた筆を使って書きました。
このドラマは今の時代に共通する空気を感じました。今の若者たちに是非見て欲しいです」とコメント。

 音楽は、『レッドクリフ』『新聞記者』連続テレビ小説『あぐり』、大河ドラマ『葵・徳川三代』『義経』などの音楽を手がけた岩代太郎。岩代は「戦争を知らない世代の日本人として、この番組に参加できたことを誇りに思います。今回のサウンドトラックでは、『パッサカリア』という音楽技法を多用しました。現在に至るまで、『戦争』から何も学べない人類に向けてのメッセージを、音楽的に表現する上で、最適な音楽コンセプトが『パッサカリア』だと撮影期間中に確信したからです。どうか番組内でも耳を傾けていただければ幸いです」とメッセージを寄せた。

 NHKスペシャル『シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~』は、NHK総合にて前・後編で8月16・17日各21時に2夜連続放送。

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