Snow Manの渡辺翔太が単独で映画初主演を務めたホラー『事故物件ゾク 恐い間取り』が、7月25日より公開される。お笑い芸人・松原タニシのノンフィクションシリーズを、ホラー映画の名手・中田秀夫監督が映画化した本作は、亀梨和也主演で興行収入23億円超を叩き出した『事故物件 恐い間取り』のシリーズ最新作だ。

今作の主人公である“事故物件住みますタレント”の桑田ヤヒロを演じた渡辺と、ヤヒロが出会う3軒目の「降霊するシェアハウス」の住人を演じた加藤諒、原作者のタニシが再会! コワ~く完成した本編とは打って変わって、和気あいあいの鼎談を繰り広げた。

【写真】クールな表情で魅せる渡辺翔太 撮り下ろしフォト

■ホラー映画の主演に抜擢! メンバーは心配

――渡辺さんは怖がりだと聞きました。ホラー映画の主演が決まったとき、Snow Manのメンバーは心配していませんでした?

渡辺:してました、してました。「本当のビビりができるのか?」って。でも中田監督が、(観客は)お化けだけじゃなくて、お化けを見た人のリアクションによって怖がるからって。ビビっている姿も怖がらせる要素として大事だからと。主演ということにもプレッシャーはありましたけど、ホラー映画へ出演させていただく機会ってあまりないですし、すごいチャンスなので、自分のお仕事の幅を広げようと思いました。

加藤:前作が亀梨さん主演で、その後継にもなるわけじゃないですか。緊張しちゃわなかったですかあ?

渡辺・松原:!! (自然に場を回し始める加藤に爆笑)。

渡辺:それこそ亀梨さんが前作やられてすごくヒットして、後輩としては先輩が作ってくれたレールにしっかり乗っていくべきだと思いました。

――亀梨さんから何かアドバイスはありましたか?

渡辺:今回の主演が決まったときにご報告させていただいて、そのときにお話したんですけど、タニシさんが現場に来ると、具合が悪くなるって。だから「気を付けてね」と。
亀梨さんは車のエンジンが撮影中かからなくなったと聞きました。

タニシ:そうなの? 具合悪くなったりとか、あったんだ。

加藤:ありました! 

(※加藤は前作・今作と別のキャラクターとして連続出演。)

渡辺:でも、今回の本編のセリフに「なんでもお化けのせいにするな」というのがあるんです。なので、撮影中に何か起きても、「ホラーの撮影だからだ」とすぐに怪奇現象と結びつけるんじゃなくて「これはたまたまなんだ」と、恐怖から逃げるようにしていました(笑)。

――タニシさんは今回、渡辺さんにシリーズ最新作の主演が決まっていかがでしたか?

タニシ:めちゃくちゃよかったです。

渡辺:ありがとうございます。

タニシ:怪談イベントっていうのがあるんですけど、そういうのに来る方って、みなさん「次は、どんな怖い話をしてくるの?」って身構えて来てるんです。ハードルが上がると、どんなに怖い話でも怖くならなくて。逆に、そこに怖がる人がいると、「あれ、怖いかも」となるんです。だからリアクションって大事なんです。

渡辺:うれしい。


タニシ:渡辺さんの、本当に怖がっているような、素なのか、演技なのか分からない感じは、お客さんも一緒になって感情移入して、その現場にいる感じになると思います。僕、怖かったですもん。渡辺さんが怖がってるから。

渡辺:わー、うれしい! 1軒目のアパートとか2軒目の旅館とか、雰囲気のあるロケーションだったので、実際、結構怖かったですね。

■「しょっぴーの目の前でファンクラブに入りました」(加藤) 「霊って仲間に入ろうとするんですよ」(松原)

――渡辺さんと加藤さんは『おそ松さん』(2022)以来の共演ですね。

加藤:そうです、もう3年以上前ですよー! 怖いねぇ。

渡辺:あはは。諒くんがいるとホラーの現場でも明るくなります。

加藤:えー、よくないじゃないですか(笑)。

渡辺:よかったですよ。和やかで。

加藤:なんかね、クレープの差し入れがあって、食べるか食べないかってお話したりとかね♪ あと、しょっぴーの目の前でSnow Manのファンクラブに入っちゃったりとかして。
ねー!

渡辺:はい(ニコニコ)。

加藤:だからバレンタインデーにしょっぴーにチョコレートを贈るやつ、やったよ。それでホワイトデーにボイスメモみたいなのが送られてきたよ!

渡辺:届きました? 

加藤:うん。届いた!

渡辺:あははは! ホントに明るくしてくれました。

――とはいえ、現場では怖いこともありました?

加藤:怖かったよね~。

渡辺:(笑)。

加藤:タニシさんが現場に来られてたんですけど、タニシさんって霊に取り憑かれてるらしいです。

タニシ:自覚はないですよ。

加藤:タニシさんに取り憑いている霊を全部取り払っちゃうと、タニシさん魂を持ってかれちゃうらしいんです。だから何体か残しておかないといけないんです。今日、何体か聞いたら90体って!

――90体!?

タニシ:本当か知らないですよ。霊能者的な人が、左に90体で右に2体憑いてるって言ってました。


――え、バランスおかしくないですか!?

渡辺:(苦笑)。

――じゃあ、タニシさんは現場にも霊を連れて?

タニシ:僕は撮影した動画を持ってきていただけですよ。

加藤:一度、降霊術で(渡辺、加藤、金田昇の3人で)コックリさんのコインを動かしている時に、「誰が誘導してる?」って確認したら、金田くんもしょっぴーも、「え、全然誘導してないんだけど……」ってなって「え? ガチですか?」ってなったことがあったよね。

渡辺:その撮影のとき、タニシさんいました。

タニシ:あぁ、そうでしたね。

加藤:あれは怖かったよね。

渡辺:たしかにあれは怖かった。

タニシ:霊って仲間に入ろうとするんですよ。関わろうとしてはるんです。映画に出たいんじゃない?

渡辺:へえ~!

加藤:お化け的にもね。

タニシ:だから、コックリさんのときに「今だ!」って思ったんじゃない。

渡辺・加藤:(笑)。


■「まだ売れたい。でも近道はしない」(渡辺)

――霊も映画に出たかったんだろうということですが、前作も今作も、「売れたい!」という思いの強いキャラクターが主人公です。売れっ子のお三方ですが、そうした気持ちは共感できますか?

加藤:もともとタニシさんは、売れるために事故物件に住むようになったんですよね?

タニシ:そうですね。番組企画でしたから。なんの仕事もないときに、やってみようかって。

渡辺:本当に売れるためのきっかけだったんですか?

タニシ:そうです。第1作目の主人公のヤマメがそうだったのと同じですね。映画で「ここもちゃんと入れるんやな」と思ったシーンがあって、ヤマメもヤヒロも、退去するときにちょっと手を合わせるんですよね。あれって大事な気がするんです。ただ売れたいんじゃなくて「ご協力ありがとうございました」みたいな気持ちが出てる。退去時の礼儀ですよね。

――成仏のために手を合わせているだけじゃなくて、「ご協力ありがとうございました」の意味があるんですね。


タニシ:はい。

――渡辺さんは、超売れっ子ですが。

渡辺:いえ、今でこそそう言っていただけますけど、いまでも「まだ売れたいな」と思っています。

加藤:貪欲!

渡辺:貪欲さはあるかもしれないです。天井を見ないようにしているというか。

加藤:ハングリー精神?

渡辺:そうなんですかね。「まだいけるだろう、まだいけるだろう」と思ってました。

加藤:うーん、どこまでいっちゃうんでしょう。

――それはずっと変わらない気持ちでしょうか。

渡辺:そうですね。でも先読みしすぎず、地に足をつけて、目の前のことを1個1個やっていきたいです。できているかわからないけど、真面目でいることが、大事かなと。だから遠くを見ずに割と目の前のことを見ています。着実にやってステップアップしていく。近道しないように。

加藤:読者の方へのアドバイスにもなりますねっ。

――自分にあえて戒めを与えたり、感じる時もありますか?

渡辺:「自分にはできなそうだな」と想像だけで思い込んで、オファーをお断りしてしまった番組とかは、1回やっておけばよかったなと感じます。“なんでもやる”という考え方は大事ですよね。

タニシ:でもこの『事故物件ゾク 恐い間取り』は選んでくださったんですね。

渡辺:これはもう、まさかの自分で主演映画ができるなんて。ワクワクでした。

――加藤さんは。

加藤:全然無名のときに、いろんな番組のホームページのリクエスト欄に「出て欲しい人」で自分の名前をめっちゃ書き込んでました。「見た目とギャップのあるキレキレダンス」踊りますとか書いて(笑)。

タニシ:すごい。努力のあとや。

加藤:あと、SNSで好きな監督をフォローして、その監督がツイートした瞬間に「いいね」を押しまくって、それこそ中田監督とかも大好きだったので、めっちゃ「いいね」押しまくってました。ただ一回、入江悠監督と今泉力哉監督と二宮健監督が、「加藤諒が『いいね』押しまくってきて怖い」って会話してて。

タニシ:バレた。

渡辺:(苦笑)。

加藤:もちろんその会話にも「いいね」しましたよ!

タニシ:止まらない「いいね」。

渡辺:自分で自分をしっかりプロモーションしてたってことですよね。

加藤:そうです、そうです。

渡辺:僕は逆にそういうのは下手で、他の人に「どうぞどうぞ」っていう感じだったんですよね。

――今もですか?

渡辺:今も譲っちゃうところはありますね。

――今回単独初主演を務めて、意識改革はありましたか?

渡辺:完成披露試写会やイベントをさせていただく中で、真ん中にいるのはくすぐったかったです。「オレばっかり喋ってていいのかな」と思っちゃったり。

加藤:ええ~!

渡辺:「でも主演かぁ。もうちょっと堂々としててもいいのかな」とか。

加藤:でもそれがしょっぴーのいいところだから。ねっ。

渡辺:ありがとうございます! 

タニシ:その感じが、ヤヒロにも出てますね。売れたいんだけど、なんか他人を優先するという、なんかね、いいやつ。

渡辺:いいやつです、はい。我ながら(笑)。

(取材・文:MOCHIZUKI 写真:小川遼)

 映画『事故物件ゾク 恐い間取り』は公開中。

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