東京・世田谷パブリックシアターほかにて11月から上演される舞台『シッダールタ』より、草なぎ剛(主演)、杉野遥亮、瀧内公美、鈴木仁、中沢元紀、松澤一之、有川マコト、ノゾエ征爾、池岡亮介、山本直寛、斉藤悠、ワタナベケイスケ、中山義紘の出演が発表された。

【写真】なんだかご利益ありそう 草なぎ剛の“シッダールタ”姿

 原作小説『シッダールタ』は、ノーベル文学賞受賞作家であるヘルマン・ヘッセの最高傑作。

ヘッセは、20世紀前半の激動のヨーロッパを生きた作家であり、2つの世界大戦に衝撃を受けインドを訪れたことをきっかけに東洋思想と出会う。そして自我を探求し思索を深め、古代インドを舞台に宗教家が悟りに至るまでの姿を同作に描いた。

 そんな『シッダールタ』の壮大な世界を、連続テレビ小説『らんまん』にて令和5年度文化庁芸術選奨新人賞を受賞した劇作家・長田育恵と、演出家・白井晃の初タッグにより舞台化。パワーバランスが崩れ極めて不安定な現在の世界情勢の中で、人類の命題へと挑む。宗教とは何か、他者とは何か、そして個のアイデンティティとは何か。平和主義を唱えたヘッセが「シッダールタ」で何を伝えようとしたかを考えていく。音楽は、世界の名だたるアーティストと創作を共にし活躍を続ける作曲家・三宅純。

 主演は草なぎ剛。演出の白井とは2018年の『バリーターク』、2020年・2021年(再演)の『アルトゥロ・ウイの興隆』に続いて3作目のタッグとなり、実在する宗教家で仏陀(釈迦と言われる仏教の始祖ブッダ)と同じ名を持つ青年シッダールタと、「現代を生きるヘッセ」に重なるひとりの男を演じる。

 シッダールタの生涯の友となるゴーヴィンダ役は杉野遥亮。シッダールタと深い関係で結ばれるカマラー役には瀧内公美。確かな実力を持つ2人が、シッダールタの旅に寄り添う。


 そのほか、男の友人デーミアン役に鈴木仁、シッダールタの息子役に中沢元紀、シッダールタの父役に松澤一之。シッダールタに商売を教える商人カーマスワーミ役に有川マコト。古代インドの大河の渡し守ヴァズデーヴァ役にノゾエ征爾。さらに池岡亮介、山本直寛、斉藤悠、ワタナベケイスケ、中山義紘ら実力派俳優たちが集結。唯一無二の振付を体現していくダンサーたちも加わり、壮大な『シッダールタ』の世界を立ち上げる。

 白井は「今、紛争にまみれた混沌としたこの世界の中で、どう自分を生かしていけば良いのか。その問いに対する応えが『シッダールタ』の中に潜んでいると思います。国家とは、宗教とは、他者とは? そして、人にとって最大の謎である、自分自身という存在とは。この模索の道を、劇作家の長田さんと共に思考し、道を切り拓こうと思います」とコメント。

 草なぎは「今作は『人間とは何か』『地球とは何か』『宇宙とは何か』というような、未知なる壮大なテーマを持った作品で、ひとりの人間としてこの壮大なテーマに立ち向かっていくことにドキドキした気持ちです。自分自身の全力で取り組まないと薄っぺらいものになってしまうと思うので、筋肉を鍛えて(笑)頑張りたいです」と抱負を語る。

 杉野は「舞台にまた挑戦したいと思っていたところにお話をいただいて、『シッダールタ』の哲学的な部分に興味もあったので、即決でお返事しました。
以前ドラマでご一緒させていただいた草彅さんはスーパーマンのような憧れの先輩。『次は舞台で共演できるといいね』と声をかけてくださったのがこんなに早く叶うとは思っていなかったので、すごく嬉しいです」と喜びをにじませた。

 瀧内は「私の演じるカマラーは、煩悩や欲望を削いでいこうとする主人公に対し母性と愛欲を与え、“人間として生きていくこと”の喜びを教える女性で、非常に刺激的で魅力的な存在。人間が誰しも『また欲しい』と思ってしまうような存在をどう体現し、演技で見せていけるのかを白井さんと一緒に作っていきたいです」と役への思いを語った。

■ストーリー

ひとりの男(草なぎ剛)が、世界の混沌の中で自身を見失い佇んでいる。友人のデーミアン(鈴木仁)は行動を促すが、彼は歩き出す道を見出せない。同僚のエヴァ(瀧内公美)の支えを受けながら思索の森に足を踏み入れ、やがて彼はシッダールタとなる。

古代インドに生まれたシッダールタ(草なぎ)は、最高位のバラモン階級の子として生きている。その生活に疑問を抱き、より深い叡智(えいち)を求めて、家を飛び出す。シッダールタについてきたのは、彼に魅了されている青年ゴーヴィンダ(杉野遥亮)ただひとりだった。

しかしシッダールタは、修行の意味に疑問を抱き、修行の道を突き進むゴーヴィンダとも袂(たもと)を分かち、俗世に下野する。やがてシッダールタは、美貌と知性と教養で確固たる地位を築いた高級娼婦・カマラー(瀧内)と出会い、性愛による快楽を体験する。
さらには商売で富を得ることで、所有欲を満たす経験を覚えるが、それでも本質が満たされることはなく苦悩する。

やがて彼は川で渡し守のヴァズデーヴァ(ノゾエ征爾)と出会い、彼の世界観に導かれていく。川の流れの中、シッダールタは別れたカマラー、自らの息子(中沢元紀)、かつて袂を分かったゴーヴィンダらと再会を果たし、自らにさらに深く問いかける。

出会いと別れを繰り返し、この世界に絶望し、人生に迷っていたシッダールタが、悟りの境地にたどり着いた時に見えた景色とは。その音とは―。

 舞台『シッダールタ』は、東京・世田谷パブリックシアターにて11月15日~12月27日、兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて2026年1月上演。

※コメント全文は以下の通り。

<コメント全文>

■草なぎ剛(シッダールタ/ひとりの男役)

今作は「人間とは何か」「地球とは何か」「宇宙とは何か」というような、未知なる壮大なテーマを持った作品で、ひとりの人間としてこの壮大なテーマに立ち向かっていくことにドキドキした気持ちです。自分自身の全力で取り組まないと薄っぺらいものになってしまうと思うので、筋肉を鍛えて(笑)頑張りたいです。

白井さんはいつも僕の可能性を広げてくれる、とても情熱的で素敵な方。今までご一緒させていただいた作品はどれも自分の人生のターニングポイントになってきたので、今回もそんな作品になると期待に胸を膨らませています。迷いやプレッシャーもありますが、未だかつて観たことのない、壮大な舞台をお届けいたします!

■杉野遥亮(ゴーヴィンダ役)

僕は今作が2回目の舞台出演になるので、わからないことばかりではありますが、白井さんの指導を受けながら、自分らしくいろいろなものを吸収できたらと思っています。
長い時間をかけてじっくりひとつのことに向き合い、追及していくのが楽しみですし、舞台の魅力を見つけていくのも楽しみです。舞台にまた挑戦したいと思っていたところにお話をいただいて、「シッダールタ」の哲学的な部分に興味もあったので、即決でお返事しました。

以前ドラマでご一緒させていただいた草なぎさんはスーパーマンのような憧れの先輩。「次は舞台で共演できるといいね」と声をかけてくださったのがこんなに早く叶うとは思っていなかったので、すごく嬉しいです。まだどんな作品になるのかはわかりませんが、その空間を皆さんと一緒に楽しみたいと思います。

■瀧内公美(エヴァ/カマラー役)

原作の小説を読んで、迷いながらも自分の在り方を肯定し、背中を押してくれる作品だなと思いました。人生の岐路に悩みはつきものですが、その問いが自己を見つめる何かのきっかけになるのではないかと思います。

演出の白井さんは的確にイメージを伝えてくださるので、お稽古でもそのイメージを大切にしていきたいです。どういう塩梅で何を表現し、見えてくるものや見せないものは何なのか、皆さんと一緒にクリエイションしていきたいなと思っています。

私の演じるカマラーは、煩悩や欲望を削いでいこうとする主人公に対し母性と愛欲を与え、“人間として生きていくこと”の喜びを教える女性で、非常に刺激的で魅力的な存在。人間が誰しも「また欲しい」と思ってしまうような存在をどう体現し、演技で見せていけるのかを白井さんと一緒に作っていきたいです。難しい作品とは思わず、迷いの多い人生の中で一つの光を見つけられる手掛かりになれたらいいなと思います。

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