ウェス・アンダーソン監督の最新作でベニチオ・デル・トロが主演する映画『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』より、疎遠な父娘の再会と“試用期間”のはじまりを切り取った本編映像が解禁された。
【動画】「お試しで」託される 疎遠な父の莫大な財産『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』本編映像
今作では『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』(2021)にも出演したベニチオ・デル・トロを主演に迎え、ケイト・ウィンスレットの娘で俳優のミア・スレアプレトン、『バービー』(2023)でアランを演じたマイケル・セラ、アカデミー賞ノミネート俳優リズ・アーメッドらウェス組初参戦のキャスト、そしてウェス作品常連となるトム・ハンクス、スカーレット・ヨハンソン、ブライアン・クランストン、マチュー・アマルリック、ジェフリー・ライト、ルパート・フレンド、ホープ・デイヴィス、そして物語の重要なカギを握る人物にベネディクト・カンバーバッチが競演する。
物語は、ベニチオ・デル・トロ演じるヨーロッパの富豪ザ・ザ・コルダが、疎遠となっていた娘で修道女のリーズル(ミア・スレアプレトン)を後継人に任命したところから始まる。画策していたビジネスの危機的状況を打開すべく“大独立国フェニキア”を旅する間にさまざまな事件(特にザ・ザ・コルダ自身の暗殺計画も含む)に巻き込まれていく、というクライム・ファミリー・コメディー。物語後半では、カンバーバッチ演じるヌバルおじさんとザ・ザ・コルダの決死のバトルも繰り広げられる。
本年度カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品、7月30日よりスタートしたUS先行公開では、劇場あたり平均9万5,00ドル=約1355万円(1ドル=142.6円)と、今年の限定公開作でトップの館アベレージを取得。その後の拡大公開で興行収入ランキングベスト10入りを果たした。
解禁となった本編映像は、ザ・ザが疎遠だった一人娘を後継者に任命するシーン。ザ・ザは修道院にいる娘のリーズル(ミア・スレアプレトン)を邸宅に呼び出すと、「お前は唯一の相続人だ 相続は近いかも」と話す。6度目の暗殺から生き延びたものの、命の危険を身に染みて感じたザ・ザは、死後の財産をリーズルに託すため「お試しで」管理をするよう伝える。
しかし、数年ぶりの再会となる父に突如財産を託すと告げられたリーズルは困惑。ザ・ザにはリーズルのほかに9人の養子の息子たちがいるのに、なぜ疎遠だった自分を後継者に据えるのか? その思惑を尋ねるが、ザ・ザは答えない。さらに問い詰めるリーズルに黙秘を決め込むザ・ザ。父と娘の間になんとも気まずい空気が流れる─。
この“試用期間”のはじまりによって、リーズルはザ・ザとともに「フェニキア計画」実現のため、資金集めの旅に出ることになる。
アンダーソン監督は「ザ・ザは自分のビジネス的目的を果たしてもらうという戦略上の理由から、娘と再び関わることを選択します。しかし物語の中で情勢の変化や新たな敵に悩まされ、身の危険を感じ続けるうちに、いつの間にか戦略的考えが父親でありたいという願望に置き換わるんです」とザ・ザの内面の変化について語る。
ザ・ザを演じたデル・トロは、リーズルとの関係を育む中で、ザ・ザ自身がより良い人間に変わっていくと話す。「リーズルは時折、父にさまざまな気づきを与え、自分の欠点にも目を向けさせます。やくざな一面や人間臭さは最後まで消えないかもしれないが、最終的には、彼が心の奥底で希求していたものが叶う。つまり、彼はセカンドチャンスを望んでいるのです。長年、娘をないがしろにしてきたことについて、どこかで赦しを求めている。そして娘は、そんな父にそのセカンドチャンスを与えるのです」
映画『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』は、9月19日より全国公開。