加入から約8年、日向坂46からの卒業を決断した二期生の富田鈴花。出版される1st写真集『鈴花サーキット』(光文社)では、オーストラリアの地で自然な表情を浮かべた。
【写真】日向坂46・富田鈴花、1st写真集で初披露した水着&ランジェリー姿
■名前の由来を用いたタイトルに「これしかない!」
――卒業を控える中での1st写真集出版となります。
富田:このタイミングになったのも、これまでのご縁があってこそだったなと思います。元々、写真集への憧れはあっても、被写体としての自信がなかったので一度も口に出していなかったんです。でも、挑戦できたのは周囲で支えてくださったスタッフさんのおかげで、すてきな写真集を作れて撮影中はすごく幸せでした。
――写真集のタイトルは『鈴花サーキット』で、自身の名前の由来「鈴鹿サーキット」にちなむストレートなタイトルに驚きました。
富田:タイトル案をいただいて「これしかない!」と思いました。車関係のタイトルは想像していて、スタッフさんと「サイドブレーキ」とか「駐車」とか、予想していたんです。ラジオ番組でメンバーやリスナーさんが予想してくれたタイトルも車関係でしたし、最初は正直とまどったんですけど、発表後の反応も見て「これでよかった」という気持ちが強くなりました。
――「鈴花」という名前を付けられた両親からは、どんな反応が?
富田:それほど、驚いていなかったです。そもそも、13thシングル「卒業写真だけが知ってる」(2025年1月リリース)の共通カップリング曲として「SUZUKA」がありましたし、「もうちょっとひねってくるかと思った」みたいな反応でした(笑)。
――(笑)。写真集の撮影に向けては、食事制限やトレーニングにも励んだそうですね。
富田:食事制限では、脂質をできるだけ抑えていました。ボールを使う自重トレーニングも、半年ほど通ったんです。体を絞るのではなく「きれいに整える」を目標にして、いいところは残して、やせすぎない体型を目指していました。
――その成果は、初挑戦の水着カットやランジェリーカットに反映されたと思います。
富田:頑張ってきた自分へのご褒美として、撮っていただくことができました。撮影中は、スタッフの皆さんがいい雰囲気を作ってくださって、緊張よりも「きれいに撮ってもらいたい」という気持ちが高まったんです。被写体として、自然に笑うのも苦手でしたけど、結果的には自然な表情のカットをたくさん残せました。
――全編では「ロードムービー」のように、オーストラリアを旅しながら撮影したそうですね。
富田:スタッフの皆さんと、何百kmも車で移動しながら撮影しました。せっかく写真集を作れるなら「楽な道」を行くだけで、完成させたくないと思ったんです。
■卒業発表前後のライブで揺れていた感情
――ここからは、卒業について伺います。ブログでは「自分の力を出し切った」としていましたが、決断の背景には何があったのでしょうか?
富田:後輩のメンバーが、しっかりと日向坂46を背負って頑張っている姿に安心したのが一番です。それを考えたときに、グループでの自分の立ち位置はどこなのかと思って。一期生の先輩方と二期生の私たちは、加入した時期が1年3ヵ月ほどしか変わらないのに、一期生の先輩方はすごく大きな存在だったんです。でも、よくよく考えると、二期生も「約8年やっている」と気づいてからは将来がよぎって、新たに挑戦したいことにも向かって「後悔したくない」と思い、卒業を決めました。
――5月3日の卒業発表直前、4月30日~5月1日にはアンダーライブ「13th Single ひなた坂46 LIVE」がありました。初の座長も務め、グループで“最後の一期生”となった高瀬愛奈さんを見送る公演でしたが、ステージでは、自身の卒業も噛み締めていたんでしょうか?
富田:そう感じられた方が多かったとは思うんですけど、自分の卒業よりも、純粋にライブの成功を願っていました。私は、毎回のライブを「これが最後かもしれない」と思ってやってきたんです。「13th Single ひなた坂46 LIVE」でも変わらずに、座長として、出演した9人で「一番最高のライブを作りたい」と意気込んでいました。公演の冒頭で披露したラップは久々で、原点回帰の気持ちもあったんですけど、自分で作ったリリックに沿ってスタッフさんが「こういう映像にしようか」と提案してくださったり、打ち合わせの時間も充実していたし、楽しかったです。
――そして、2日後にはブログで卒業を発表。その後、5月28~29日には二期生が筆頭となり、三期生の高橋未来虹さんがキャプテンとなった新体制の初陣「BRAND NEW LIVE 2025 『OVER THE RAINBOW』」がありました。
富田:これからグループが新たに走り出すタイミングでしたし、卒業を発表してしまったのが、すごくもどかしかったです。メンバーにもきっと負担をかけてしまったんですけど、一緒に踊れる時間を噛み締めているのは、隣のメンバーからも伝わってきて。センターをいただいたアンダー曲「あの娘にグイグイ」のパフォーマンスでは、明るい曲なのに、卒業を控える切なさも心に深く響きました。
※高橋未来虹の高は正式には「はしごだか」
■五期生からの手紙で感じた絆「時間の長さではなく濃さ」
――6月27日には「14thシングル『Love yourself!』発売記念配信ミニライブ」内で、自身の卒業セレモニーを実施。富田さんにとって、大きな区切りになったと思います。
富田:卒業を決めてから分かったんですけど、卒業前は気持ちの作り方が難しいんです。活動が残っている中での卒業セレモニーで、しかも、配信なのでおひさま(ファンの愛称)の皆さんが目の前にいない環境では、メンバーも難しかったのかなとも思います。でも、ミニライブの直前には、メンバーと気持ちを確かめ合うことができました。全員に手紙を渡したら、五期生の坂井新奈ちゃんが後日「本当はあの日に渡したかったんですけど」と言って、鉛筆で思いを何度も書き直した手紙を返してくれたんです。五期生は加入(2025年3月)から間もないのに、まっすぐでピュアで、真っ白な心で思いを伝えてくれたのがうれしかったし、人との絆は「時間の長さじゃなく濃さ」だと思いました。
――坂井さんをはじめ、後輩の皆さんは「かわいい妹」と卒業セレモニーなどで表現していました。自身の卒業後、後輩のメンバーに期待するものは何ですか?
富田:期によって、外側から見たグループのイメージ、内側から見たグループのイメージが違うと思います。四期生はテレビで私たちを知って加入してきた子たちが多く、突き抜けて明るいんです。五期生は二期生と雰囲気が似ていて、これからいろいろと悩んだとしても、私たちのような強い気持ちで壁を乗り越えてくれるだろうと思っています。三期生は活動年数が長くなってきて、いろいろなことを考える時期だとも思いますけど、一番「日向坂46の血」を濃く持っているメンバーがそろっているので期待しています。みんな、先輩の前でも気にせず、もっと自分に素直になってグループで活動していってほしいです。
――共に歩んできた同期については「生まれ変わってもまた二期生がいい」と、語っていました。
富田:当初はメンバーが9人いて、活動を通して、関係性が明らかに変わったのは二期生だけだったと思うんです。グループを一番に考えているメンバーが近くにいたからこそ、私も「強みを前面に出して1人でも頑張らなきゃ」と励めたし、この先でやりたいことを見つけられたのも、同期がそれぞれ個人で頑張っている“外仕事”に刺激を受けたのがあったんです。卒業後、新たなお仕事が決まったら同期には真っ先に報告します。
――メンバーへの思いも巡らせながら、1つ1つ、日向坂46の富田さんとして“最後の仕事”が終わりつつあります。特に、卒業発表前後にあった4~6月にかけての“ライブラッシュ”を振り返り、もう、悔いはないですか?
富田:7本ぐらい、あったのかな…(笑)。
(取材・文:カネコシュウヘイ 写真:小川遼)
日向坂46・富田鈴花1st写真集『鈴花サーキット』は、光文社より8月5日発売(一部地域では発売日が異なる場合あり)。価格は2600円(税込)。