秋元真夏が、32歳の誕生日を迎える8月20日、乃木坂46卒業後初となる書籍『淡淡(あわあわ)』を発売する。自然体の写真とともにつづられる初のエッセイには、生い立ちや家族との関係、卒業後の心境の変化など、これまで語られなかった内面が描かれている。

「自分の出していない部分をこじ開けるような気持ちで書きました」と語る秋元に、本作に込めた思いを聞いた。

【写真】「少しむちっとした」体型で撮影 秋元真夏の水着カット

■エッセイに初挑戦「きれいなことだけを書いても意味がない」

――乃木坂46を卒業してから初の書籍です。

秋元:過去に写真集を3冊出していて、そのときはアイドルとしての作品だったので、パーソナルな部分を見せるというよりは、笑顔や表情を楽しんでいただく内容でした。でも今回はグループを卒業して30代にも入って、新たな転機ということで、あまり作り込みすぎず、今の自分を自然体で撮っていただきました。

撮影チームも3冊目の卒業記念写真集と同じメンバーだったので、緊張することもなく、気心の知れた中で撮影できて、より“素”の部分を出せたと思います。

――写真集ではなく、フォトブックという形にした理由は?

秋元:1年間にわたっていろんな場所を旅しながら撮影したので、旅先で感じたことを残してみようと思って、エッセイを書くことにしました。その流れで、自分の生い立ちや家族のことも書いています。普段テレビでは、自分自身のことを話す機会は少ないんですけど、「実はこういう人間なんです」と、興味を持ってくださる方に届けられたらと思って。共感していただけたり、「こんな風に考えてるんだ」と、知っていただけたらうれしいです。だからこそ、エッセイ部分はちゃんと伝わるように、言葉を選びながら丁寧に書きました。

――すごく素直に書かれていて、すてきな文章でした。執筆には苦労しましたか?

秋元:ありがとうございます。
でも、本当はもっとかっこいい文章を書きたかったんです(笑)。自分を“できる人”に見せたいという気持ちもあって。ただ、きれいなことだけを書いても意味がないなと思って、これまで自分の出していない部分をこじ開けるような気持ちで書きました。

――「エッセイ部分を減らしませんか?」と編集の方に言いそうになったとも書かれていましたね。

秋元:本当に言いそうになっていました(笑)。「インタビュー形式にしてもらえませんか?」ってお願いしようかな…って。自分で書くことから逃げようとも考えたんですけど、それだと3冊の写真集を出して、新たにフォトブックという形を選んだ意味がなくなってしまうので、どうにか最後まで自分の言葉で書いてみました。

■ダイエットはしないで「少しむちっとした」体型で

――撮影は夏の沖縄・石垣島と西表島、秋の岐阜・郡上八幡、冬の秋田と、季節ごとに異なる土地で行なったんですよね。

秋元:最初の撮影が石垣島と西表島だったんですけど、沖縄は昔から大好きで、落ち着く場所なんです。「撮影するなら沖縄がいいな」と思っていたので、その希望が叶いました。西表島には初めて行ったんですけど、自然の中に飛び込んだような感覚で、ありのままの自分でいられる場所でした。

郡上八幡では、「郡上おどり」に参加して浴衣姿で撮影したり、人混みの中で写真を撮ったり。
今まであまりそういうロケーションで撮ったことがなかったので新鮮でした。

秋田では、雪が降るタイミングに合わせて撮影しました。これまでの写真集では海での撮影が多かったので、東北や雪景色での撮影は初めての試みでしたね。

――西表島では水着カットも撮影。「今までの写真集の時は気にしてダイエットしたけど、たぶんこの時は痩せるどころか、好き放題食べて少しむちっとしていたかも」と書いていました。

秋元:都合のいい言い方をすれば「ありのままをお届けしました」ってことになるんですけど、本音を言うと、ただ単に食べるのが好きで止められなかったんです(笑)。

事前にダイエットする時間はあったんですけど、アイドル時代は、ダイエットをしすぎて「ちょっと痩せすぎたかな」と思うこともあって。だから今回は、「あえて絞らない」という選択をしてみたんです。それに健康的に見えたらいいなっていう思いもありました。

――では、普段よりも増量気味で。

秋元:沖縄での撮影はまさにそうでしたね。そのときはあまり自覚がなかったんですけど、後からオフショットを見返したときに「えっ、こんなところにお肉が?」って(笑)。
たぶんあの頃は、今より何kgか増えていたと思います。

――秋田では割烹着姿で料理をするシーンもありました。インスタグラムでは「#割烹まなつ」として、手料理を披露していることもあって、秋元さんらしい1枚です。

秋元:料理のシーンではエプロンという案もあったんですけど、試しに割烹着を着てみたら、スタッフの皆さんが「これしかない!」って(笑)。普段から着ているわけではないんですけど、なぜかしっくりきちゃって。いつか和食のお店をやりたいという夢もあるので、雰囲気的にも合っていたかなと思います。

■結婚観&理想のパートナーは?

――ここからは最近の活動についても聞かせてください。乃木坂46卒業から約2年半が経ちましたが、グループを離れての生活には慣れましたか?

秋元:ようやく慣れてきましたね。最初の頃は楽屋で1人なのをどうしたらいいのか分からなかったり、悩んだときに「誰に相談すればいいんだろう」と戸惑ったりすることもありました。でも最近は、そうしたことも自分の中で解決できるようになってきましたし、1人の時間を有意義に使えるようにもなってきました。環境にも少しずつなじんできたと思います。

――慣れるまでにはある程度の時間が必要でしたか?

秋元:そうですね。
1年くらいは「ツアーに出たい」「踊りたい」「歌番組に出たい」という気持ちがあって、乃木坂46時代の映像を見返すこともよくありました。でもその後、新しく出演させていただいたレギュラー番組の現場で仲間ができて、徐々に“ホーム”のような安心できる場所ができたことで、今はすごく楽しめています。

――乃木坂46のメンバーには卒業後、ソロで活動している方がたくさんいますが、その中でも秋元さんは、グループ時代とのギャップが少ない印象を受けます。

秋元:そう言ってもらえるのはすごくうれしいです。アイドル時代の自分がすごく好きだったので、「イメージをガラッと変えたい」とは思っていないんです。例えば、「ズッキュン!は、もうやってません」みたいな切り離し方はしたくなくて。今までの自分を引き継ぎながら、その時々に合わせて形を変えつつ進んでいけたらと思っています。

――いろいろな仕事に取り組む中で、「これは向いている」「これは向いていない」と感じるようになったことはありますか?

秋元:前は「全部向いてます! 全部好きです!」って言わなきゃいけないと思っていたんですけど、今は自分の中で冷静に判断できるようになってきました。でも、「向いてないからやらない」「好きじゃないからやらない」ではなくて、そういうときは準備をしっかりして、臨もうという考え方に変わってきました。

向いているというか、すごく楽しめるのは、『よるのブランチ』や『ヒルナンデス!』のように、毎週同じメンバーと会えるホーム的な現場です。そういう場所ができると安心できますし、信頼関係も築けて、相談もしやすくなります。そういう空間で過ごすのは、自分にとってすごく心地よく感じていますね。


――エッセイでは結婚観についても触れられていました。グループ在籍中は「将来はママタレ(ママタレント)になりたい」と話していたこともありましたが、現在はどんな将来像を描いていますか?

秋元:そこはあまり変わってないですね。いつまでにとは考えてはいないんですけど、いずれ結婚して、出産ができたとしたら、自分のライフスタイルを発信していきたいと思っています。同世代の主婦の方やお子さんを持つ方々と、思いを共有できる存在になれたらうれしいなって。常に身近な存在でいたいです。

――理想のパートナーについても書かれていましたが、改めてどんな人が理想ですか?

秋元:すごくシンプルなんですけど、思いやりがあって、きちんと話し合いのできる人が理想です。何かトラブルが起きたときに、逃げたりせずにちゃんと会話をして、解決に向かって一緒に歩んでいけるような人。私の両親は結婚して33年目くらいなんですけど、今も仲良しで、そういう関係性にすごく憧れています。

――思いが込められたエッセイも、自然体な姿の写真も収められた1冊になりました。

秋元:これだけ長い時間をかけて、自分でも深く関わらせていただいたのは初めてだったので、本当に楽しかったです。文章を書いたり、写真を選んだり、大変なこともあったんですけど、その分、大好きと胸を張って言える1冊になりました。今の32歳の私がしっかり詰め込まれていて、まさに名刺代わりのようなフォトブックになったと思います。


(取材・文:堀タツヤ 写真:山田健史)

 秋元真夏フォトブック『淡淡(あわあわ)』は幻冬舎より8月20日発売。価格は2970円(税込)

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