今年3月に特別企画として2度放送されたドラマ『介護スナックベルサイユ』が、東海テレビ・フジテレビ系にて連ドラ化することが決定。主演は宮崎美子、原因は自分にある。
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「介護スナックベルサイユ」はどこにでもあるスナックのようにみえるが、介護士資格をもつスタッフが常駐するなど立派な介護現場だ。訪れる客の大半が要介護認定を受けているため、点滴をうったり、血圧を測ったり、リハビリをする客もいる。ビールは誤嚥を防ぐため、とろみ剤を混ぜて提供することもある。中でも注目は、上杉まりえ(宮崎美子)が、仕入れから担当している特製ワイン「SEE YOU IN MY DREAMS」。飲めるのは生涯でたった一度、それもお1人さま一杯だけ。飲めば、会いたい人に会える“魔法のワイン”で、訪れる客を“人生最期の夢”へと誘っていく。夢を堪能した後には、それを象徴する料理が振る舞われ…。これが、道先案内のフルコースだ。
「介護スナックベルサイユ」を訪れる客の生き様も魅力にあふれている。大衆演劇一座の役者、といっても脇役専門で、馬の後ろ脚をやらせたら右に出る者はいなかったという男性や、服飾デザイナーとして成功し都内のタワーマンションに1人で暮らす女性、権力の歪みを指摘し続けた大手新聞社の女性記者などで、ベルサイユを訪れてワインを注文、これまで誰にも話せなかった内に秘めた想いをせつせつと語り出すー。
原作・脚本は、今作も清水有生が担当。NHK連続テレビ小説『すずらん』『あぐり』の他、土ドラ枠では『さくらの親子丼』シリーズなど数多くのヒット作を手がけている。年を重ねることで変わっていく考え方や心の機微を丁寧に描いていく。出生の秘密、憧れのスポットライト、命をつないだ1本の電話、校則にがんじがらめになった教師、ライバルとの再会…1杯のワインでよみがえる、とっておきの物語。そこに込められた人生の先輩からの大切なメッセージ。観る人をファンタジーの世界へ誘う“令和のグリム童話”ともいえるのかもしれない。
ヒロインの上杉まりえを演じる宮崎美子は、今年デビュー45周年。連ドラ主演は24年ぶり、スナックのママ役は初挑戦だ。宮崎は「前作は、高齢者の皆さんにとって懐かしいと感じるような昭和の雰囲気を残したスナックをお借りして撮影しました。
「介護スナックベルサイユ」を訪れる客の送迎を担当するドライバー、神代大輝を演じる杢代和人は、ダンスボーカルユニット・原因は自分にある。メンバーとして活躍する一方、俳優としては『仮面ライダーギーツ』(テレビ朝日系)でブレイク、以来次々と話題作に出演の注目株だ。杢代は視聴者へ向け「人生の最期に誰に会いたいか、そしてその人とどんな会話を交わすのかという物語は、僕の同世代をはじめ、年齢に関係なく感じるものがあると思います。このドラマを通して、人生を振り返ることの大切さや人と人との繋がりを大事にしながら日々をしっかり生きていくことの大切さを伝えていきたいと思っています」とコメントした。
ドラマ『介護スナックベルサイユ』は、東海テレビ・フジテレビ系にて毎週土曜23時40分放送。初回放送日は10月11日。
※コメント全文は以下の通り。
<コメント全文>
■宮崎美子
――今年3月の特別企画が連続ドラマに! そして今作では主演を演じます。まりえさんに変化はありますか?
「介護スナックベルサイユみたいな場所があったら元気になれるよね」など3月の放送後にいろんな声をいただいて、関心をもって下さる方が大勢いらっしゃいました。連続ドラマ化されてじっくりと描かれるのが楽しみです。主演を演じること自体は、そんなに意識はしていません。
――「介護スナック」とはどんな空間で、どんな魅力があるのでしょうか?
「介護」を掲げているスナックは実際にあり、介護士の資格をもったスタッフがお客さまのお手伝いをするそうです。ベルサイユも同様で、介護の場としていろんな目配りをしています。ベルサイユに行けば友達にも会えるし、頑張ってお店に行こうと思えるだけで、高齢者の方も元気になれると思います。まさに安心して楽しめて、元気になって帰っていただける場所ですね。ご家族にとっても、大事な場所になると思います。
――「介護スナックベルサイユ」に客として訪れるとしたら、どんな願いを叶えたいですか?
最期に会いたい人は? とか最期に食べたいものは何か? などいろいろ浮かんできて、決められないんですよね。でもね、小さい頃に両親に連れて行ってもらったレストランのハンバーグが食べたいかな。「新世界グリル」という店なんですけどね。子供にとってハンバーグって、夢のようでしたから。
――視聴者のみなさんにメッセージをお願いします。
ドラマをご覧になりながら、「自分だったらどんな人に会ってどんな話をしたいかな?」というふうに落とし込んでいただけると、味わい深いのではないかと思います。結局それは、自分が一番大事にしているものが何かということに繋がるので、そういうことを自然に考える時間、ひとときになればいいなと思っています。
■杢代和人
――オファーを受けた時の気持ちを教えて下さい。
夢のようなスナックだなと。僕は21歳ですが、こういう場所があったら本当に楽しいだろうなと思いました。出演が決まった時はとても嬉しかったです。僕が出演することで、同世代の方々にこの作品を届けられるように頑張りたいなと思いました。
――神代大輝は、どんな役どころ?
ごく普通の大学生ですが、お金のトラブルを抱えてしまい、普段しないようなアルバイトに手を出してしまいます。台本を読んだ時は僕もびっくりしたのですが、知らず知らずのうちに巻き込まれてしまい、気づいたら大ごとになっていたというのは実際にあり得ることだなと思って。いまどきの若者像もリアルにお伝えしたいと思っています。
――宮崎さんと初共演! どんなお気持ちですか?
宮崎さんは、僕が小さい頃からテレビで拝見していた方なので、まさか共演させていただけるとは思ってもみませんでした。
――「介護スナックベルサイユ」に客として訪れるとしたら、どんな願いを叶えたいですか?
もう会えない人と会いたいと思います。僕は中学生のころから芸能活動を始めたのですが、忙しくなって毎年帰省できなくなった矢先に、祖母が亡くなって…。もし会えるならもう一回祖母に会って、大きくなったよということを伝えたいと思います。
――視聴者のみなさんにメッセージをお願いします。
「介護スナックベルサイユ」は、心温まる場所だと思っています。人生の最期に誰に会いたいか、そしてその人とどんな会話を交わすのかという物語は、僕の同世代をはじめ、年齢に関係なく感じるものがあると思います。このドラマを通して、人生を振り返ることの大切さや人と人との繋がりを大事にしながら日々をしっかり生きていくことの大切さを伝えていきたいと思っています。
■プロデューサーコメント
東海テレビ 河角直樹
“最期に会いたい人”と会い、“人生の真実”を知ることのできる場所。「介護スナックベルサイユ」が再び開店です。魔法のワインに誘われた悲喜こもごものヒューマン・ファンタジーの制作に、再び携われることを大変嬉しく思います。連続ドラマとなることでより多くの人物が訪れ、そこで繰り広げられる様々な人生模様には、視聴者の皆様が身近に感じ、過去の経験と重なるようなこともきっとあると思います。
制作にあたってデイサービスなど介護施設を取材すると、それぞれの人に即した様々な介護の形がありました。そこにはカジノやパチンコのような、およそ介護のイメージとは異なる施策まであります。介護を介護と感じさせず、より充実した日々を送って欲しいと工夫を重ねる施設の方々の努力には、頭が下がる思いでした。
ドラマ自体はファンタジーでも、ベースに流れる感情には、介護の現場で働く皆様のリアリティをしっかり反映させていこうと思います。
私自身も同年代の友人と飲むと、身内の介護と自らの病気の話題ばかりの歳となりました(だったら飲むなという話ですが)。そんな生活の実感をこめて、「最期まで前向きに歳をとろう!」という思いを、ドラマを通じて視聴者の皆様と共有できれば幸いです。
東海テレビ 鵜澤龍臣
スナックという空間は魔法を持っています。肩書きや年齢を超えて人が集い、語って、泣いて、笑って、気がつけば心が軽くなる。そこに“介護”というテーマが重なることで、「老い」を「怖いもの」ではなく、「人生を生き抜いてきた証」と思ってほしい…。ベルサイユのスタッフたちは、そんな思いで、お客様をおもてなししていきます。
このドラマはお年寄りの「最期に会いたい人」と「思い出の料理」に寄り添いながら、きれい事だけで収まらない人間模様を描く、完全オリジナルのファンタジー。ドラマの中では、お客様の過ごした店でのひとときが、現実なのか幻想だったのかはわかりません。ただ一つ言えることは、誰もが晴れやかな顔で店を後にしていくということ。“人生100年時代”、家族や自分自身のこととして、誰もが向き合うこととなる、「介護」や「終末期医療」について、あらゆる世代の皆さんが、考えるきっかけになるように。さらに、年齢を重ねていくことそのものにも希望を感じてもらえるようなドラマに、少しでも近づけられればと思っています。