物語も佳境を迎え、ますます視聴者の注目を集めているのが連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合)。『アンパンマン』の産みの親でもある漫画家で絵本作家のやなせたかしさんと妻の小松暢さんをモデルに、2人の半生を描く本作には、実在の人物をモデルにしたキャラクターが多数登場。
【写真】そのモデルとは? 藤堂日向、眞栄田郷敦らが演じるキャラたち
■六原永輔(藤堂日向)→永六輔さん
若手俳優、藤堂日向が演じた気鋭の演出家・六原永輔は第98回に初登場。ミュージカル『見上げてごらん夜の星を』の舞台美術を嵩に依頼すべく、柳井家を訪れると、出迎えたのぶ(今田美桜)、蘭子(河合優実)、メイコ(原菜乃華)の三姉妹を見て、朗らかな口調で「いや~お美しい! お美しい、お美しい、お美しいの三拍子!」と笑顔で絶賛。かと思うと稽古場を訪れた嵩には初対面にも関わらず「あなたも! このミュージカルに一切を捨てて取り組んでください!」と迫力満点に詰め寄る。
そんなクセの強い永輔のモデルとなったのは、坂本九さんが歌い国際的な大ヒット曲となった「上を向いて歩こう」の作詞者としても知られる永六輔さん。テレビ草創期を放送作家として支えた永さんはNHKの音楽バラエティ番組『夢であいましょう』などの人気番組を多数手がけたほか作家としても活躍。1994年の「大往生」は200万部を超える大ベストセラーとなった。またラジオパーソナリティとしても知られている。
■手嶌治虫(眞栄田郷敦)→手塚治虫さん
“漫画の神様”と評され、日本におけるテレビアニメの先駆者としても知られている手塚治虫さん。彼をモデルにしているキャラクターが眞栄田郷敦演じる手嶌治虫だ。第83回と第89回では、嵩が手嶌の作品を目にして衝撃を受ける姿が描かれていて、第95回でついに嵩と手嶌が対面。これをきっかけに嵩は務めていた百貨店を退職することになる。
手嶌のモデルとなった手塚さんは、新聞連載の漫画『マアチャンの日記帳』でデビュー。『新寶島』がベストセラーとなると、以降は『鉄腕アトム』『リボンの騎士』『ブラック・ジャック』『火の鳥』など数多くのヒット作を世に送り出した。また日本初の30分枠のテレビアニメ『鉄腕アトム』(フジテレビ系)を制作。その後、手塚さんは製作総指揮を務めた長編アニメ映画『千夜一夜物語』で、美術・キャラクターデザインの担当者としてやなせさんを抜てき。この映画の大ヒットがきっかけとなり、やなせさんは短編アニメ映画『やさしいライオン』で監督、脚本を務めることになる。(文:スズキヒロシ)