上野樹里が主演を務め、ドラマ・映画で大ヒットを記録した『のだめカンタービレ』。2023年にミュージカル化されると、和田唱が手掛けた音楽と原作から抜け出てきたような魅力的なキャストの熱演により大好評を集めた。
【写真】三浦宏規、美しさと色気あふれる撮りおろしショット
◆上野樹里&竹中直人が“千秋先輩”にしてくれた
2023年にミュージカル化された『のだめカンタービレ』のシンフォニックコンサートとなる本公演。ミュージカル版から続投となるキャストやクリエイティブチームに新たなメンバーも加わり、東京公演の演奏は東京フィルハーモニー交響楽団が担当するなどパワーアップ。台湾での公演も決まるなど、今回も大きな話題を呼ぶことは間違いない。三浦はミュージカルに続いて、物語のキーパーソン・千秋真一を演じる。
――今回、シンフォニックコンサートとしての上演が決まった時のお気持ちをお聞かせください。
三浦:プロデューサーの方が確かに、「フルコンサートの公演をやったら素敵ですよね」と話していたのを聞いた記憶はあるんですけど、本当にやるんだ!と思いました。
でもシンフォニックコンサートをやるしかないような作品じゃないですか。素敵な音楽にあふれた作品ですし、そもそもの題材がクラシックですし。歌もクラシックもフルオケで聴ける、バレエもフルオケで観れる、なんだこの豪華さは!っていうくらい、いろいろそろったコンサートになる気がしています。
――2023年の初演ミュージカルについても伺いたいのですが、千秋先輩として出演が決まった時の心境はいかがでしたか?
三浦:どうだったろう…。
ただ、自分で言うのもおこがましいのですが、割と千秋先輩と近しい感覚を持っていたような気もします。母やマネージャーにも「あんた、そっくりじゃない」って言われたり…。
――具体的にはどういうところでしょう?
三浦:なんでしょうね…。……態度?(笑) あそこまで人にきつく言ったことないとショックもありましたけど、確かに自分にはバレエっていうものがあって、それに圧倒的に自信があるし、誰にも負けないと思っている。そういう態度が大きい感じですかね。僕に近しい周りの人からしたら、「そうかもね」っていう感覚だったのかもしれないです(笑)。
――初演で一番思い出に残っていることはどんなことでしょう。
三浦:(ドラマ版で千秋を演じた)玉木宏さんが観劇にいらして、「頑張ってるね」と言ってくださったあの瞬間というのは、1つ肩の荷が下りたというか。やっぱり僕の中の千秋先輩として玉木さんがいますし、真似をしようと思ったことは一回もなくて自分なりにやろうと思ってはいましたけど、大丈夫かな?という気持ちもあったんです。でも玉木さんが「いいじゃん!」と言ってくださったことで、ちょっとだけ楽になりました。
――上野樹里さん、竹中直人さんとのご共演はいかがでしたか?
三浦:おふたりには感謝しかありません。役者としても人としてもまだまだ経験の少ない子どものような自分が相手で、10何年前から作品を作り上げてきたあのおふたりにはやりづらいことも多かったと思うんです。ましてや千秋みたいな人物って、演じる自分が作るより、周りに作ってもらうことが大事なキャラクターなんですね。というのは、トップに立つ人や威厳がある人の役は、自分で威厳を出そうとしたらダサくなってしまうし、周りがその人をどう見ているかでお芝居の中での立ち位置が見えてくるんです。
そんな中、あのおふたりはお芝居の中でも、舞台を下りてからでも、俳優としても人間としてもリスペクトを持ってずっと接してくださったんですよ。すごく普通に接してくださったので、こっちが何かやらなきゃと肩ひじ張らなくても、千秋として見えるようにしてくださった。本当にありがたいことだと感謝しています。
◆東フィル相手に夢だった指揮者デビュー!「一番のご褒美になる」
――今回のシンフォニックコンサートは、フルオーケストラをバックに歌い演じることになります。
三浦:『のだめ』の曲をフルオケでというのはどんな感じになるんだろう…。ミュージカルでは上演時間の関係で短くなっていた曲も今回フルサイズでお届けしますし、和田唱さんが書き下ろされた新曲もあります。和田さんはギター1本で曲を書かれるのですが、ギター1本から生まれた曲がフルオーケストラで演奏されて、和田さんも感動しちゃうんだろうな。クラシックも含めて、音楽としても十分に楽しんでいただける公演になることは間違いないです。
――東京ガーデンシアターという大きな劇場での上演も、どんな仕上がりになるのか楽しみです。
三浦:映像も使うと聞いていますし、新しい試みもありつつ、素晴らしいピアニストの方にも参加していただくので、いろんなシーンで満足感を味わっていただけると思います。僕、MCみたいなこともするんですよ。
――え!? 先日、一部楽曲で指揮者として登場すると発表がありましたが、MCもですか!
三浦:司会進行、芝居、歌手、指揮…。あぁ、どうやってやるんだろう…。台本見てびっくりしましたもん。全体としてもそうですけど、僕としてもすごく盛りだくさん。井上芳雄さんのようにMCもやって歌も歌ってと千秋がやる感じです(笑)。芳雄さんといろいろなところでご一緒して学ばせていただいていてよかったなと思いました。
親に言ったら、「息子が頑張るから観ておかなきゃ! もう1公演増やそう」とチケット追加していました(笑)。
――指揮の特訓も結構前から積まれているとお聞きしました。
三浦:毎日譜面とにらめっこして、何回も繰り返し聴いています。
今回のコンサートに関してはご褒美的な感覚もあるんですけど、最終的には指揮が一番のご褒美になると思うんです。指揮者というのはずっと夢見てきたことだし、生まれ変わったら何になりたいですか?って聞かれたら「指揮者になりたい!」って言ってたくらいなんで。
でも本当に難しい! 音楽大学でも指揮科が一番大変だって言うじゃないですか。やばいところに足を踏み入れちゃったなーと思います。この苦しみが本番では快感に変わっていると信じていますが、今はそんなことを言っていられないくらい難しい!(笑)
◆ミュージカル進出から10年「たくさんの人に後押しされ、とても運がよかった」
――今年、三浦さんはミュージカルデビューから10周年。この10年を振り返るとどんな日々でしたか?
三浦:そうなんですか! 本当に運がいいなって思います。たくさんの人に後押しされてきたなって感じますね。いろんな人が僕の可能性を信じてくれて、別に圧倒的な何かを持っていたわけじゃないんですけど、みんなが階段を作ってくれて、そこを這いずり上がってきた感じなので…。いろんな人が目をかけてくれたし、ルートを用意してくれたから、ギリギリで滑落することなくつかまって、這い上がるように上ってきた感じです。本当に周りに感謝しなきゃいけないです。
――昨年は、舞台『千と千尋の神隠し』でロンドン公演も経験されました。
三浦:向こうでは、余計なことを考えることなく舞台に集中する日々を過ごしました。とにかく作品を目の前にいる人たちに向けて届ける、終わったら美味いものを喰う、寝る、起きる。そしてまた舞台に立つという本当は一番やらなきゃいけないような、一番理想的な生き方をした気がしています。
――現在26歳。20代のうちにやっておきたいことはありますか?
三浦:免許取りたい~!(笑) 申し込みだけして1回も行けていないんですよ。
……そういうことじゃなくお仕事のことですよね(笑)。僕、やりたいと思ったら全部「やりたい!」と言っていて、ありがたいことに全部叶えていただいているんですよね。今人生に不満がないんです。これからも面白いことが目白押しなので、楽しみにしていてください!って言いたいですし、どんどん新しいことにチャレンジしていきたいです。
――30代になられるころには、新しい帝劇もできているころですね。
三浦:(同席するプロデューサーに向かい)立たせてくださいねー(笑)。どんな形でも携わりたいですよね。
――お忙しい毎日だと思いますが、プライベートでの楽しみや癒やしはありますか?
三浦:それがないんですよね。野球やファッション、料理など趣味はありますけど、一番楽しいのって仕事をしている時なんです。こんなにいい作品にたくさん出させていただいていますし、大変なこともあるけれど負担とは思っていない。息も詰まっていないし全く苦痛じゃないんです。
――最後に、今回のコンサートを楽しみにしている皆さんにメッセージをお願いいたします。
三浦:『のだめ』ミュージカルを観ている人も観ていない人も、どんな人が観ても、すごく満足感が高いコンサートになると思います。いまできるエンタメを全部やるんじゃないか?と感じるような、豪華なコンサートになると感じています。お芝居を観に来る感覚というよりは、みんな一緒に楽しめるような作品になると思うので、僕らもすごく楽しみにしていますし、どんなふうになるか想像がつかないと思うのですが、本当にすごいことになる予感がしています。ぜひ楽しみに待っていていただけたらと思います!
(取材・文:近藤ユウヒ 写真:米玉利朋子[G.P.FLAG Inc.])
ミュージカル『のだめカンタービレ』シンフォニックコンサート!は、9月6日・7日台湾・Taipei Music Center にて、9月13日~15日東京ガーデンシアターにて上演。