2026年3月に上演される音楽劇『コーカサスの白墨の輪』より、木下晴香、平間壮一、眞島秀和らメインキャストが発表された。

【写真】生田絵梨花、昆夏美&木下晴香と今回限りの三重唱「大事な思い出になりました」

 本作はブレヒトがナチスの弾圧を恐れ、アメリカでの亡命生活を送っている中で、未来への希望を込めて書かれた戯曲で、演劇界の金字塔とも呼ばれている。



 本作では、30代にして読売演劇賞・演出賞を幾度も受賞し、演劇界の寵児として注目を集める劇作家・演出家の瀬戸山美咲が、遠い昔の物語として描かれた原作を大胆にも未来の世界の物語として再構成。

 戦争の混乱の中、置き去りにされた1人の赤ん坊を巡って行われる生みの親と育ての親の親権を争う裁判。周囲の人物をも巻き込み、希望と絶望が混在する中、下される判決とは―。瀬戸山は、時代設定を未来に置き換え、私たちの生活に根を下ろし始めている人工知能などの題材も織り込み、ブレヒトの大作を現代的かつ独創的に描き上げる。また、本作のためのオリジナルの楽曲を全編にちりばめた音楽劇として上演する。

 内乱のさなか、置き去りにされた太守夫妻の子を自分の子として育てる料理女・グルシェ役を数々のミュージカル作品で活躍し、NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』など映像作品にも活躍の場を広げている木下晴香が演じる。

 グルシェの婚約者で戦地に赴く兵士・シモン役には、話題のミュージカル作品に多く出演し、今年10月にはPARCO PRODUCE 2025 音楽劇『MONDAYS』に出演予定の平間壮一。

 料理女・グルシェのもとに自分の子どもを連れ戻しにやってくる太守夫人・ナテラ役は、現在上演中のミュージカル『Once』でヒロインのガール役にも抜てきされるなど活躍が目覚ましいsaraが演じる。

 そして迫りくる追っ手や餓えを耐えしのぎ、必死に子どもを守るグルシェを支えるスリカ役には、今年12月からミュージカル『十二国記 ‐月の影 影の海‐』への出演も控える加藤梨里香。

 物語を確かな歌唱力で語り上げる“旅一座の歌手”役には、宝塚歌劇団 雪組トップスターとして活躍し、退団後も数多くの作品に出演し、菊田一夫演劇賞、読売演劇大賞優秀女優賞など数々の受賞歴を持つ一路真輝

 反乱によって偶然にも裁判官となり、生みの親と育ての親、どちらが真実の母親かをグルシェと太守夫人に対して判決を下すこととなるアズダク役には眞島秀和と豪華キャストが勢ぞろいした。

 音楽劇『コーカサスの白墨の輪』は、東京・世田谷パブリックシアターにて2026年3月上演(※兵庫、岡山、佐賀、愛知公演あり)。


 上演台本・演出を手掛ける瀬戸山美咲のコメント全文は以下の通り。

<コメント全文>

■上演台本・演出:瀬戸山美咲

 人間とは何か、を考えたいと思います。人間は戦争をします。動物も縄張り争いをしますが、人間のように計画的な戦争は起こしません。人間が戦争をやめられないのは、言葉があるからだと私は思います。言葉があるから人間は生存の不安を実際以上に大きく感じてしまうし、言葉があるから他者を煽動してしまうし、兵器をつくって戦争を実行に移せてしまう。ひとたび戦争が起きれば、終わらせるのは困難であり、火を鎮めたところで燻り続ける。そんなことはわかっているはずなのに、繰り返してしまう。現在の世界は暴力的・排外的な方向に加速しているように見えますが、すべては古代からつながっていると思います。

 では、未来でも人間はこのままなのでしょうか。ブレヒトの『コーカサスの白墨の輪』は、第二次世界大戦末期の時代から過去の戦争を振り返る構造になっています。過去の歴史に学ぶことを描くと同時に、人間の変わらなさを描いているようにも見えます。
今回は、遥か先の未来から、今より少し先の未来を振り返る形で上演します。果たして、人間は今より「マシ」な存在になれるのか。人間の可能性を探る旅を始めます。

編集部おすすめ