草なぎ剛が主演するドラマ『終幕のロンド ―もう二度と、会えないあなたに―』(カンテレ・フジテレビ系)が、10月13日にスタート。本作は『僕の生きる道』(2003)などの “僕シリーズ”や『罠の戦争』(2023)など“戦争シリーズ”に携わった制作陣とともにおくるオリジナル作品。

草なぎはシングルファーザーの遺品整理人役に挑戦する。草なぎが遺品整理を通して描かれる人間ドラマの魅力、気心の知れたチームで再び座長として過ごす現場の様子、自身の物の整理などについて語ってくれた。

【写真】柔らかな笑みを浮かべる草なぎ剛 撮り下ろしカットギャラリー

■“僕”“戦争”シリーズの制作陣が集結! 草なぎ「現場の空気感が変わらなくて、安心しながらできています」

――本作の主演が発表されてからの周囲の反応はいかがでしたか?

草なぎ:(香取)慎吾ちゃんとラジオをやっていた時に、「今回は大人のラブがあるの?」って感じで食いついてました。(稲垣)吾郎さんからは何も言われてません。僕がドラマをやるって知ってるといいけど(笑)。

――(笑)。『終幕のロンド』というタイトルを聞いた時の印象は?

草なぎ:僕、ファンミーティングの時に『終幕のロンドン』って言っちゃったんです(笑)。

――(笑)。

草なぎ:どなたかがSNSでそのことをあげていて、それを見つけたプロデューサーから指摘されました(笑)。音楽用語である『ロンド』を用いていて、センスを感じさせる言葉ですよね。どんどん次の物語が読みたくなってくる脚本なんです。だから、やっぱりこの作品は『終幕のロンド』なんだと感じて、気に入っています。
「終幕」という言葉も、幕が下りた瞬間からまた次が始まる…ロンドは始まるので、そんなドラマになったらいいなと思います。自分の終幕を意識することから、また新しい人生が始まると思うんです。だから、改めてすごくいいタイトルだなと思います。

――脚本を読まれてみていかがでしたか?

草なぎ:“戦争シリーズ”のようなパンチのある作品とは対照的で、自分が出演したドラマ作品のなかでも、また新しい一歩を踏み出せるような大人な作品だと思いました。新しさを感じるなかで戸惑いもありつつ、でもそれを楽しみながらできています。じんわりと温もりが後から効いてくるような、そんなドラマですね。遺品整理って身近なものだけど、みんながそんなに意識していないことでもあって…そういったところに隠された人間ドラマがあるんだなと、この脚本を読んで感じました。

――今回、“僕シリーズ”“戦争シリーズ”の制作陣が集結し、草なぎさん自身も「ホームに帰ってきた」とおっしゃられていましたが、現場の様子はいかがですか?

草なぎ:みんなと仲良くなりすぎて、ちゃんと距離取らないといけないなと思うくらい(笑)、気心が知れている方たちばかりなので、みんなで助け合いながら、毎日、和気あいあいとやっています。チームで動いている感じや、現場に流れている空気感が、本当にいつもと変わらなくて、安心しながらできています。

■「毎回驚かされています」 遺品から明かされる故人の思いが感動的!

――草なぎさんが演じる主人公・鳥飼樹(いつき)はどのようなキャラクターですか?

草なぎ:樹はすごくおせっかいなところがありますね(苦笑)。今の時代と逆行しているところもあるかもしれませんが、人のことを思って突き進んでいくところがあるなと思っています。それと、とても余白がある役だなと思いました。
僕自身、この人はこういう人だと定義することってないと思っているんです。自分自身ですらわからないところが僕はあるし、人ってそういうものでいいんじゃないかなって思うんです。だから、自分自身も含め、人それぞれいろいろな感情があるものだからと捉えて、ドラマの世界観のなかで視聴者の方がグッときたり、楽しんでもらえたりするようなポイントを探して役作りしながら演じています。そして、キャストの皆さんとお芝居をする中で湧き上がってくるものを出していければ、すごく魅力的になるんじゃないかなと思っています。

――樹は親身になってくれそうなところがあるので、ベテラン社員・矢作海斗(塩野瑛久)に急かされる一幕もありますね。

草なぎ:そうそうそう。依頼人が「処分しろ」と言ってるのに、樹は食い下がるんです。樹は“見逃さない男”(笑)。そんな樹の気づきがきっかけでストーリーがどんどん面白くなっていくんです。

――遺品整理人を演じる上で新鮮に感じる部分は?

草なぎ:遺品の中から故人が実は言えなかったことや誤解してたことが解き明かされていくところが、すごく感動的でグッときますね。それが、このドラマの良さだなと思いながら、毎回驚かされています。

――本作では恋パートが描かれますが、草なぎさんが思う見どころは?

草なぎ:SNSでのやりとりじゃなくて、公園で待ち合わせをするとか…そうした昭和感漂うシチュエーションをあえてやっているのが、キュンとするんじゃないかな。
ドラマで描かれる世界は時代によって変わっていって、全てリアルを求めているわけでもないと思うんです。パラレルワールドだから何でもありだと思うし、それを僕はいつも妄想したりしながら、撮影しているんです。そこから作品としての着地を楽しみながら目指しています。視聴者の方が感じたものが全てだし、もしかしたらツッコミどころがあるかもしれないけど、それはそれで楽しくて面白いんじゃないかなと僕は思っています。

■草なぎが生前整理に意欲! 「自分にとっても説得力のあるドラマです」

――本作は「遺品整理」がより身近に感じられるような作品だと思いますが、草なぎさん自身、影響はありますか?

草なぎ:あるある。このドラマがきっかけで、初めて自分の持ち物について考えるきっかけになりました。僕はヴィンテージ品ばっかり持っているから、持ち物だけでものすごい量なんですよ(笑)。ドラマが終わったら、自分の持ち物をちょっと一回整理して全部書き出してやってみようかなと思うんです。どうしようかなぁ…考えちゃうね(笑)。博物館級のものがいっぱいあるし、量も多いから考えないとなぁ。

このドラマを通じて、やっぱり大切なものは次の時代に受け継がれていくものだし、そうしないといけないものだなと感じるんです。自分にとっても説得力のあるドラマですね。
次の世代の人を考えることも、ものを大切に扱っていくことも大事だし、改めて自分の持ち物に向き合おうと思っています。

――ご自身だったら何を遺しますか?

草なぎ:そうですね…使ってないものもいっぱいあって、使う人がいたらあげる方がいいだろうし。けど、やっぱり自分が出演してきた作品が残るのかな。大げさかもしれないけど、僕にとっては自分の遺伝子が刻まれているもののように思うんですよね。だからこそ、作品に携われる環境は幸せだなと思います。

――改めて、生と死について考えさせられる作品だとも思いますが、草なぎさん自身、そうした意識についてどう感じていますか?

草なぎ:誰もが死ぬということを、若い時よりは今の年齢での感覚で意識はしていると思います。それを意識することで、日頃の生き方が変わってくるかなと思ったりしました。遺品整理を題材にしたこのドラマが、ネガティブな面ではなく、ポジティブな面で「死」というものに向き合うことができるような作品になればいいなと思います。

――視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。

草なぎ:遺品整理は誰しもが関わっていくことなので、視聴者の皆さんのなかには、身に詰まされる思いがある人がいたり、これから意識する人も出てきたりすると思うんです。なので、リアルで身近なテーマなんじゃないかなと思います。そんな遺品整理を通した人間ドラマのなかに、恋も描かれていて…と、今までに感じたことのないような作品になっているので楽しんでいただけると思います。
皆さんが幸せや明日に新しい一歩を踏み出していく気持ちが湧いてくるような、そんなドラマにしたいです。

(取材・文:齊藤恵 写真:高野広美)

 ドラマ『終幕のロンド ―もう二度と、会えないあなたに―』は、カンテレ・フジテレビ系にて10月13日より毎週月曜22時放送(初回15分拡大)。

※草なぎ剛の「なぎ」は、「弓へんに前+刀」が正式表記

編集部おすすめ