13thシングル「Unhappy birthday構文」をリリースする櫻坂46。三期生の村井優が初の表題曲センターを務め、同じく三期生の谷口愛季が初めてBACKSセンターに挑む。

そして、今作をもってグループを卒業するのは二期生の井上梨名。新たな挑戦と別れが交錯する本作に、それぞれがどんな思いを抱いたのか。3人が胸の内を語った。

【写真】卒業を控える井上梨名と笑顔を見せる村井優&谷口愛季の3ショット

■“うさぎねこ”山下瞳月からのアドバイス

――今回は村井さん、谷口さんにはセンターへの思いを、井上さんには卒業についてお聞きできればと思います。まずは村井さん、初の表題曲センターに決まったときの心境を教えてください。

村井:驚きや不安もあったんですけど、それ以上に「頑張りたい」という気持ちの方が大きかったです。いつも支えてくださっている先輩方や同期のメンバーがいるからこそ、そう思えて。もっと櫻坂46を大きくしていきたいという思いが一番にありました。

――表題曲センターとして臨んだレコーディングやMV撮影はいかがでしたか。

村井:センターという立場は、孤独を感じる瞬間もあるのかなと思っていたんですけど、実際には全く違っていました。MV撮影のときには、私が1人で撮影するシーンの前に、メンバーが駆け寄ってきて「頑張ってね」と抱きついてくれたんです。その瞬間に、改めて「1人じゃないんだ」と思えましたし、櫻坂46って本当に温かいグループだなと感じました。


――フォーメーション発表時には、同じくフロントを務める同期の山下瞳月さんとの愛称“うさぎねこ”が話題になっていました。山下さんとはどんな話をしましたか?

村井:発表のあとに「頑張りたい」という気持ちを私から伝えたら、瞳月も「一緒に頑張ろう」と言ってくれて。MV撮影の前にも「1人じゃない、みんなが周りにいるよ」と明るく声をかけてくれました。瞳月がいてくれるだけで、すごく安心できます。

――山下さんは表題曲センターを2度経験していますが、アドバイスもありましたか?

村井:「Unhappy birthday構文」は怒りや絶望といったネガティブな感情を表現する部分もある楽曲で、曲に深く入り込みすぎると、自分まで暗くなってしまうこともあります。そうならないように、瞳月からは「休憩中はメンバーと話したりして、気持ちを切り替えた方がいいよ」とアドバイスをもらいました。瞳月がセンターを務めた「I want tomorrow to come」も世界観に入り込みやすい曲なので、その経験から伝えてくれたんだと思います。その言葉のおかげで、曲の主人公と自分を分けて捉えられることができて、とてもありがたかったです。

■悔しい気持ちは「すぐに消えた」

――谷口さんは、今回初めてBACKSメンバーとしての活動になり、BACKSセンターを務めます。決まったときはどう思いましたか?

谷口:悔しいという気持ちよりも、BACKS LIVE!!に参加できることへのワクワクした気持ちの方が大きかったです。BACKS LIVE!!は全体ライブとは違う空気感があって、メンバーもBuddies(櫻坂46ファン)の皆さんも、熱量がすごいんです。そこに自分も加わることができるのが純粋に楽しみでした。
それに、井上さんにとって最後のシングルでもあるので、「絶対にいい曲にしたい」という気持ちも強かったです。

――ブログでは「悔しい気持ちは0ではなかったけど、それ以上にわくわくする気持ちが今は大きい」とつづっていましたが、やはり葛藤もあったのでしょうか。

谷口:「もっと頑張ればよかったのかな」「どう頑張ればよかったんだろう」と考えた瞬間もありました。でも、BACKS LIVE!!という新しい景色を見られると思ったら、そうした気持ちはすぐに消えました。今は楽しみな気持ちしかないです。

――井上さんは7thシングルで、村井さんは10thシングルでBACKSセンターを経験していますが、自身の経験を踏まえて、谷口さんへはどんな言葉を送りますか?

井上:とにかく楽しんでほしいです。私がセンターを務めたときは、選抜制が初めて導入されたシングルだったこともあって、思い詰めることも多かったんです。もちろん楽しかったこともあるんですけど、プレッシャーの方が大きくて。でも回を重ねるごとに、BACKS LIVE!!って“思いが溢れる場”であると同時に、“楽しさが溢れる場”にも変わってきていると思うんです。だからこそ、愛季ちゃんにも、愛季ちゃんの良さが伝わるよう、楽しんでほしいと思います。

村井:私が10枚目シングルのBACKS LIVE!!に参加したときは、練習期間が短くて、全員で合わせる時間があまり取れませんでした。それでもメンバーと話をしながら、自分たちでライブを作っていく過程が本当に楽しくて。
どんな状況でも、メンバーと積極的に関わることで、自分次第でいくらでもいいライブが作れると思うんです。だから、いろんなメンバーと話して、楽しみながら作り上げてほしいなと思います。愛季のBACKSセンターのライブが本当に楽しみです。

――井上さん、村井さんの言葉を聞いて、谷口さんはいかがですか?

谷口:たくさんメンバーと話して、意見を交わしたいです。メンバーからも楽しかったと思ってもらえるよう、BACKSセンターとして頑張ります!

■卒業を決断した理由「飛び立つのなら、今だ」

――ここからは井上さんにお話を伺いたいと思います。今回は二期生曲「青空が見えるまで」も収録されています。

井上:まずはびっくりしました。メンバーそれぞれうれしかったと思うんですけど、二期生はあまり気持ちを表に出すタイプではなくて。でもうれしかったです。

――今回のシングルをもって卒業されますが、井上さんがパーソナリティーを務める『櫻坂46 こちら有楽町星空放送局』(ニッポン放送)では、卒業発表をしたときの同期の様子についても話していましたね。伝えたときは、どんな反応でしたか?

井上:あっさりしていました(笑)。

――発表のあと、皆さんすぐに帰ってしまったとか。


井上:そうなんです(笑)。ほとんどのメンバーには事前に話していなかったので、発表を聞いて、みんなびっくりしすぎて何も言えなかったみたいで。それですぐ帰ったらしいんですけど、それも二期生らしいなって(笑)。

後から言われたんですけど、メンバーの前で発表するとき、気恥ずかしさもあって、ほんの10秒くらいで「卒業することにしました」ってサラッと言って、一瞬で終わってたらしいんです。だから知らなかった子はびっくりして、考える暇もなく帰っちゃったっていう(笑)。「でも、二期生ってそういう感じだよね」って思いました。

――事前に話していたメンバーもいたんですよね。

井上:武元(唯衣)、松田(里奈)、田村(保乃)には伝えていました。武元と松田とはよくご飯に行くので、その流れで話して「寂しくなるね」っていう感じで。ただ、考えている時点で相談することはなくて、決めてから伝えました。田村とはよく旅行に行くんですけど、旅先では深い話もするので、そのときに話しました。

――卒業を考えるきっかけとなった出来事があったのでしょうか?

井上:昔はネガティブだったり、落ち込んだりすることも多かったんですけど、ここ最近はグループでの活動もですし、レギュラー番組やラジオ、外番組に出演する中で、自分のことを少しずつ認められるようになってきたんです。
もちろんグループは大好きで、ずっと一緒に活動したい気持ちもあります。でも、「誰にでも卒業のタイミングは来る」と考えたときに、「自分は今なんじゃないか」と感じたんです。やり残したことはないと思えた瞬間があって、そのときに「いつか飛び立つのなら、今だ」と決めました。

――村井さん、谷口さんにお聞きしたいのですが、お2人にとって井上さんはどんな存在でしたか?

村井:お話ししていないときでも安心感がある先輩で、そばにいてくださるだけでホッとできました。どんなときでも明るく話しかけてくださって、落ち着くというか、場の空気がやわらぐんです。

谷口:私は加入当初から“滑舌”がイジられるという、共通点があって(笑)。いのり(井上)さんの明るさや、『サクラミーツ』(テレビ朝日系)での対応力にもいつも助けられてきました。どんな場面でも拾ってくださる安心感があって、心強い先輩です。

――今の言葉を聞いて、井上さんはいかがでしょう。お2人との印象深い出来事はありますか?

井上:愛季ちゃんはしっかりしていて、まっすぐ活動に向き合う子なんですけど、後輩らしいかわいさもあって。『こち星』で私が「かき氷を食べたい」と話したら、ブースの外で聞いていた愛季ちゃんが収録終わりに、「行きませんか?」と誘ってくれたんです。一緒に食べに行った帰り際に「また行こうね」と言ったら、めっちゃ笑顔で「グッジョブ!」のポーズをしてくれて(笑)。
本当にかわいかったです。

優ちゃんは雰囲気がほわほわしていて、櫻坂46に癒やしを与えてくれる存在ですけど、パフォーマンスになるとスイッチが入って、別人みたいに変わるんです。そんなギャップが魅力ですけど、優ちゃんも後輩力が高くて。いつか一緒にお昼ご飯に行ったときには、元気もりもりで食べてて、「まだ食べられます!」くらいの勢いでした(笑)。どんなに頼もしい2人でも、後輩としてはいつまでもかわいいなって思います。

――後輩となかなかご飯に行けないという井上さんから貴重なお話をお聞きできました(笑)。12月16日、17日に開催される『Buddies感謝祭 2025 EX』の17日公演では井上さんの卒業セレモニーも開催されますが、どんなステージにしたいですか?

井上:自分にとってもファンの皆さんにとっても、思い出のある曲を披露できたらと思います。今まで7年間、本当にいろいろなお仕事を経験させていただいたので、私らしさを届けられるステージにしたいと思っています。

■充実の2025年「一緒に夢を叶える瞬間を作れた」

――今作は2025年最後のシングルになりました。今年はシングル、アルバムのリリースに加えて、東京ドーム3days、京セラドーム大阪2daysを含むツアー「5th TOUR 2025 “Addiction”」や海外ライブなど、充実した1年になったと思いますが、振り返っていかがですか?

村井:海外ライブやフェス、ツアーでは東京ドームと京セラドーム大阪にも立たせていただいて、グループとして本当に大きくなったと感じる1年でした。私たちもBuddiesの皆さんも、同じくらいの熱量で活動してこられたと思います。残りの期間も感謝の気持ちを込めて、最後までいい1年にできたらいいなと思います。

谷口:東京ドーム、京セラドーム大阪でライブをさせてもらったこともですし、個人的にはCM出演(マクドナルド)もあって、新しい経験をさせていただく機会が多い1年でした。今年の最後には、BACKSセンターを務めさせていただくことにもなって、これまでにない挑戦も多かったです。それぞれをしっかり楽しみながら吸収して、今後のパフォーマンスに活かしていけたらと思います。

井上:ツアーなど、いろんな場所でBuddiesの皆さんと一緒に夢を叶える瞬間を作れたことがすごくうれしかったです。節目のライブでは少し寂しくなるのかなと思っていたんですけど、実際はその一瞬一瞬を心から楽しんでいる自分がいました。この1年でこれだけたくさんのことを叶えてきた櫻坂46なので、来年はもっとすごい年になるんだろうなって、今からワクワクしています。そのとき私はBuddiesとして、客席でめっちゃペンライトを振っているんだろうなって、もうすでにその姿が目に浮かんでいます(笑)。それくらい、楽しい1年でした。

(取材・文:堀タツヤ 写真:小川遼)

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