歩んできた“あしあと”の先に、そっと浮かび上がる“シルエット”。声優・伊達さゆりが2nd写真集『シルエット』で見せるのは、初めて訪れる異国での撮影で心を解き放ち、素顔のまま笑う姿だ。

1st写真集『あしあと』から約3年。夢を追いかけ、支えてくれた人たちへの想いを胸に、彼女が見つめた“今の自分”と“これから”を語る。

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■“あしあと”の先に見えた“シルエット”

――2nd写真集『シルエット』に込めた想いを教えてください。

伊達:2nd写真集のタイトル『シルエット』には、これまで歩んできた道と、支えてくださる皆さんへの想いを込めました。1st写真集『あしあと』のときも自分でタイトルを考えていて、今回もその“つながり”を感じられるものにしたいと思っていたんです。ずっと前から、どこかで関連性を持たせたいという気持ちがありました。

異国の地での撮影ではありましたが、どんな瞬間も“応援してくださる皆さん”の存在をすごく感じていて。カメラの前に立ちながら、「この瞬間を見てもらいたいな」「届いてほしいな」と思うことが多かったんです。そんな気持ちの中で「シルエット」という言葉が自然と浮かびました。

もうひとつは、『あしあと』とのつながりです。たとえば、自分の目標や夢が“太陽”のようにまぶしく輝いているとしたら、そこへ向かって歩いてきた道には“あしあと”が残っている。でも、うまくいかないこともあって下を向いてしまうときもある。
そんなとき、ふと顔を上げると、応援してくださる皆さんが前で待っていてくれる。その影が地面に伸びていて、それを見て「また前を向こう」と思える……。そんな光景が心に浮かんだんです。

皆さんの“影”や“姿”に励まされて笑顔になれた。そんな気持ちを込めて、この作品を『シルエット』と名づけました。

――ロケ地は香港・マカオということですが、訪れてみていかがでしたか?

伊達:ずっと前から、一度は行ってみたいと思っていた場所だったので、本当に念願の撮影でした。香港は建物がぎゅっと密集していて、そこに人々の“暮らしの熱”のようなものを感じるんです。ただの街並みじゃなくて、命の営みが詰まっているというか……。そうした風景を、自分の目で見てみたかったんです。

マカオは、ヨーロッパのような雰囲気とアジアらしさが混ざり合う独特の世界観に心を奪われました。映像や写真では味わえない湿度や香りがあって、「あぁ、これが現地の空気なんだ」と五感で感じられたのがすごく印象的でした。今でも「すぐにでもまた行きたい」と思うくらい、大好きな場所になりました。


――撮影を通して、現地の方々との印象的な出会いや交流はありましたか?

伊達:観光地で撮影していたときに、現地の方から「一緒に写真を撮っていい?」と声をかけていただいたことがあって。普段の撮影だと、そうした人との交流はあまりないので、とても新鮮でした。現地の方々が本当にフレンドリーで、あたたかく迎えてくれて、「あぁ、これが海外で撮る写真集の楽しさなんだな」と実感しました。そういう出会いも含めて、本当に“特別な撮影”になりました。

■笑顔も、おちゃめも。飾らない“素の自分”

――伊達さんのお気に入りのカットは?

“金魚街”という場所で撮影したカットが特にお気に入りです。その名のとおり、通り沿いに金魚を売るお店がずらっと並んでいて、どのお店にも泳ぐ金魚がぎっしり。日本ではなかなか見られない光景で、現場に着いた瞬間、思わずテンションが上がりました。

写真で見ると、とても幻想的で美しいのに、どこか少し“怪しさ”や“熱気”のようなものも感じられるんです。その独特な空気感がすごく好きで。まるで街全体が呼吸しているような、不思議な魅力のある場所でした。

撮影は少し大変で、天井近くまで何段にも水槽が重なっていたので、私も少し高い場所に上がって撮っているんです。
すると、上のほうから水がポタポタと落ちてきて(笑)。スタッフさんたちがそれをよけながら進行してくださって、本当にチームで作り上げた一枚になりました。

――衣装も彩り豊かで素敵ですね。

伊達:こういう色味のある羽織りものがすごく好きなんです。今回の撮影でも「こういう衣装が着たいです」とお願いして、スタイリストさんに選んでいただきました。普段から着てみたい気持ちはあるんですけど、少し勇気が出なくてなかなか挑戦できなかったんですよね。

でも、実際にこの街並みの中で羽織ってみたら、街並みにも馴染んで、とても映えていて。まるで魔法をかけられたような感覚になりました。色味も本当に自分好みで、撮影中もずっと気分が上がっていました。

――“素の自分”と“表現者としての自分”、今回の写真集ではどちらがより強く出ていると思いますか?

伊達:“素の自分”だと思います。1st写真集のときも「等身大の自分を撮りたい」と思っていたんですが、当時はデビューしたばかりで、自分でもまだ“素の自分”がよく分かっていませんでした。今振り返ると、少しぎこちなくて、それが初々しさにもつながっていたのかなと思います。


一方で今回は、行きたかった海外での撮影ということもあり、心からリラックスして臨めました。どういう笑顔や表情が自分らしいのかを感じながら、自然体でカメラの前に立てた気がします。

少しおちゃめな表情やふざけたポーズもたくさんあって(笑)、そういう部分も含めて“本当の私”が写っていると思います。1stでは見せきれなかった自然な自分を、ようやく表現できた気がします。

――写真集を通して、どんな“伊達さゆり像”を感じてほしいですか?

伊達:今回の写真集では、ロマンチックな場所や大人っぽい衣装も多いんですが、撮影中の私はずっと“楽しい”気持ちでいっぱいでした。

最近は「楽しい」という言葉をとても大切にしていて。たとえ少し落ち込むことがあっても、「これ、楽しいな」「好きだな」と思える瞬間があるだけで、前を向ける気がするんです。だから撮影でも、その“楽しさ”を忘れずにいたいと思っていました。

大人っぽく決めているカットの中にも、自然と笑顔がにじんでいると思います。そんな“ハッピーな空気”を少しでも感じてもらえたら嬉しいです。

■“楽しい”をつなげていく。笑顔の連鎖をこれからも

――2021年に声優デビューした伊達さんですが、これまでの活動を振り返って「ここは変わったな」と思う部分や、成長を感じる部分はありますか?

伊達:デビューした当時は、「声優になりたい」という思いだけで突き進んでいました。
右も左も分からない中で、たくさんの方に支えていただきながら、少しずつ経験を積んでこれたなと感じています。

今年で5周年を迎えるんですが、ようやく心が落ち着いてきたように思います。よく“社会人3年目くらいで少し余裕が出てくる”と言われますが、今まさにそんな時期なのかもしれません。

成長した部分を挙げるとすれば、技術よりも“気持ちの面”です。以前は「自分らしさって何だろう」と悩むことも多かったのですが、応援してくださる皆さんが「そのままでいいよ」と言ってくださって。その言葉にすごく救われました。

そこから、無理に何かを作ろうとせず、“自分らしくいること”を大切にできるようになりました。今回の写真集で見せている自然な笑顔や楽しさも、そんな心の変化から生まれたものだと思います。

――ファンの皆さんとのつながりが、伊達さんの支えになっているのですね。

伊達:本当にそう思います。自分の声を聞いて「笑顔になれた」「前向きになれた」と言ってもらえることが、何よりもうれしい瞬間です。そうした言葉に出会うたびに、“また頑張ろう”という気持ちが自然と湧いてきます。
応援してくださる皆さんの存在が、私の原動力です。

――また、最近では地元・宮城県に関わるお仕事も増えていますよね。

伊達:そうなんです。先日も仕事で帰省した際に、街で「テレビで見たよ」と声をかけていただいて。地元で放送されている番組をきっかけに知ってくださったそうで、改めて、宮城の皆さんとのつながりを実感できたとてもうれしい出来事でした。

――最後に、これからの目標や発信していきたいことを教えてください。

伊達:少し先ほどのお話にも通じるんですが、これからは“楽しい”という気持ちをいろんな形で届けていけたらいいなと思っています。

自分自身の心を「楽しい」と感じるところまで持っていくのも、実はすごく難しいことで。それを誰かに感じてもらうとなると、もっと難しいことだと思うんです。でも、だからこそ挑戦しがいがあるというか。

私自身、これまでたくさんの人に“楽しませてもらってきた側”なので、今度は自分がその楽しさを少しでも届けられるようになりたいです。見てくださる方の中に、ほんの少しでも、“明るい気持ち”や“前向きな感情”が増えるような、そんな活動をしていけたらと思っています。

(取材・文・写真:吉野庫之介)

 伊達さゆり 2nd写真集『シルエット』は、11月6日発売。

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