11月12日にリリースされた前島亜美の2ndシングル「不器用に 君のとなり」。昨年ソロアーティストとしてデビューした彼女は、デビュー当時のインタビューで「歌がうまくなりたい」と語っていた。
【動画】前島亜美「不器用に 君のとなり」-Music Video-
■見えない理想を追いかけて「このままじゃダメなんだ」という気持ちが強かった
――4月に1stワンマンライブが開催されました。少し時間が経ちましたが、改めて振り返ってみての感想を教えてください。
前島:もう半年近くが経ったんですね……! でも、振り返ってみても反省はあっても後悔がない、そのときのすべてを出せた1stライブになったと思います。アーティスト活動のビジョンが広がったライブでもあったので、自分にとってずっと忘れないであろう1日になりました。
――ファンの方々からの反響はいかがでしたか?
前島:ライブが始まる前はすごく不安で、緊張もしていたんです。ただ、開演前にペンライトの光を見たときに、「大丈夫だよ」ってみなさんが受け入れてくれているような気がして。まだリリースして日が経っていないなかでも、ペンライトの色を曲ごとに変えたり、コールを完璧にしてきてくださったりして、すごく嬉しかったです。私よりもみなさんが曲を育ててくれているなと感じました。すごく心強かったです。
――ライブのなかで特に印象深い一曲は?
前島:ヒャダインさんに作ってもらった「職業:あみた」という曲があるのですが、この曲の盛り上がりはすごかったですね。
――デビュー時のインタビューでは、「歌がうまくなりたい」とおっしゃっていました。あれから1年。自分のなかでアーティストとして成長・変化したと感じていますか?
前島:引き続き、歌がうまくなりたいという気持ちはあります。ただ、心持ちはちょっとずつ変わってきました。1年前の「歌がうまくなりたい」という言葉って、すべてが初めてのデビュータイミングで、どうにかしてよりよくしなきゃとか、成長しなきゃ、いいもの作らなきゃという気持ちでいっぱいで……。焦りみたいなものもあったと思います。
ただ、今は「上手くならなくちゃいけない」という気持ちより、私らしさを探していきたいなと思うようになりました。
――1年前のあの言葉は、少しネガティブな気持ちも混じっていたかもしれない。
前島:かもしれないですね。
――その気持ちが変化したきっかけは?
前島:それこそ1stワンマンライブだったかもしれないです。これまで、大切な日があればそこに向かって努力するというのが当たり前という環境で育ってきました。今ももちろん努力はするのですが、それがお客さんにも伝わる緊張感も混じっているものなら、ちょっと違うのかなって。
――なるほど。
前島:細かいところで言うと、歌詞を間違えないようにとか、ダンスを間違えないようにとか、すごく張り詰めてやっていました。ただ、あるとき「お客さんからすると、ちょっとのアクシデントがあったほうが意外と盛り上がったり、記念になったりすることもある。わざと間違えるのは違うけど、それぐらいの気持ちでやることも大事かも」という言葉をいただいて。気持ちが少し楽になりました。これまで、間違えないようにと必死でしたが、今は完璧主義を脱する勇気を持つのも必要なんだなと思っています。
■不器用という言葉が尊く思えるような作品
――そんな活動を経て、2ndシングルがリリースとなります。表題曲の「不器用に 君のとなり」はどのような楽曲に仕上がっていますか?
前島:デビューアルバムのリード曲「Determination」は光を追いかける疾走感のあるバンドサウンド、1stシングルの「Wish for you」は“THE 王道アニソン”みたいなキラキラした楽曲と、パワーがある楽曲が続いていました。一方で今回は、ふっと力を抜けるような、ゆったりと歌詞に浸れたり、リラックスしたいときに聞けたりするあたたかい曲に仕上がったと思っています。
――レコーディングはいかがでしたか?
前島:藤林聖子さんに書いていただいたすてきな詞を、お芝居をしていくような気持ちで歌いました。初タイアップ曲だった「Wish for you」はどういう声色で歌ったらいいのか悩んでいましたが、今回は「不器用」というテーマであることにも頼って、声を作らずに出てきた音でやってみようかなと思いながら、丁寧にレコーディングをしましたね。
――本曲はご自身も出演されているテレビアニメ『不器用な先輩。』のエンディングテーマ曲でもあります。作品への思いを込めている部分もありますか?
前島:ありますね。レコーディングの日も漫画を読んでから現場入りしたんです。主人公の鉄輪梓さん目線でも、鉄輪さんにとっての後輩である亀川侑くん目線でも、そして私が演じる堀田美緒ちゃん目線でも違和感がない、誰にとってもちゃんと温度があるような歌い方ができたらと思って歌いました。
――改めて、テレビアニメ『不器用な先輩。』への印象もお聞かせください。
前島:出てくる人物がみんな優しくて、思いやりがあって、いい子ばかりなんですよ。みんなのことが丸ごと好きになる作品です。
――演じる堀田美緒はどんな人物ですか?
前島:堀田ちゃんは太陽のような前向きなエネルギーを持っている子で、悩んでいる鉄輪さんに寄り添うことができるし、ちょっとうじうじしている亀川くんに対してはドンと背中を押すことができる。決して押し付けない思いやりがある子です。
作品を見ていて私は、思いやりであったり、他者への尊重であったり、慮った気持ちだったりの裏返しで不器用になってしまうこともあるのかなと思いました。不器用という言葉が尊く思えるような作品に出逢えたと思っています。
――楽曲のタイトルにはどのような思いを込めましたか?
前島:「不器用に 君のとなり」というタイトルの「君」は、人に限定しているわけじゃなくて、猫ちゃんやワンちゃん、本とか植物とか文化とか、運動する時間とか、そばにあるもの、生活を支えてくれているものも「君」と言えるという解釈なんです。
本曲のMVの落ちサビ部分で鏡に向かってアカペラするシーンがあるのですが、あそこは「君」というのが鏡の中の自分、これまでの自分であることを表現しています。
――MVを見たら、また曲の解像度がひとつ上がるかも。
前島:そうですね。「君」っていうのは「自分」とも捉えられると思うと、より朗らかな曲だと感じます。
■この世の中にうっすらとある恋愛至上主義に違和感を覚えたことがある
――2ndシングルには「恋愛主義にクエスチョン」という楽曲も収録されています。
前島:この曲は、私が以前から大ファンであった山崎あおいさんに作詞・作曲をしていただきました。山崎さんはソロアーティストとしても活動をされているのですが、ハロー!プロジェクトさんにライブ映えする超カッコいい曲をたくさん提供されているんです!
制作前に打ち合わせする機会があったのですが、「イントロからギターがギュンギュンするようなカッコいい曲で、ダンスブレイクがあって、ライブ映えする一曲をお願いします」と、リクエストさせていただきました。
――リリックの部分が韻を踏んでいて気持ちよかったです。
前島:聞き心地がいいですよね! 山崎さんが作る曲はメロディも美しくて好きなのですが、歌詞の繊細さも個人的には大好きで。今回の「恋愛主義にクエスチョン」は私が打ち合わせのときに「この世の中にうっすらとある恋愛至上主義に違和感を覚えたことがある」という話をしていたことを、山崎さんが詞として紡いでくださったんです。
――恋愛至上主義を感じるときは、確かにときどきあります。
前島:決して恋愛を否定しているわけではないのですが、にわかに聞こえてくる恋愛をいっぱいしているほうが表現力が豊かになるとか、人間として厚みが出るみたいな話については、ずっとクエスチョンがあるんです。そんな私の想いを山崎さんが綺麗な言葉で詞にしてくださいました。
――歌詞に共感しながら歌っている部分もある。
前島:めちゃくちゃ共感しています! 「1000のエピソードよりも 1度きりの運命で」という歌詞がありますが、私もひとつ、ひとつの出会いを大切にしたいという想いがありますし、ラスサビで割と強い言葉が使われているところも、「こういう気持ちで生きているなぁ」と感じています。
■2ndライブの目標は私自身が「めちゃくちゃ楽しかった!」って言えるライブにすること
――2ndシングルにはご自身で作詞された「Adaptation」も収録されています。
前島:リリースタイミングがちょうどデビュー1周年ということで、1年前に作詞した初の作詞曲「Determination」とリンクする面があってもいいかなと思い、似ている言葉・響きである「Adaptation」をタイトルにしました。
何も分からなかったデビュー当時から旅を始めての1年間を振り返りながら、2年目を迎える、これからを走っていく自分の想いや、こうやっていきたいという目標・願いみたいなものを詞に込めています。
――詞は割とスッと出てきた?
前島:最善を尽くそうということで、悩みましたし、悩むようにもしました。スタッフさんには迷惑だったと思いますが、レコーディング入りの30分前に最終的な歌詞が完成したんです。それくらいギリギリまで模索して、詞を作りました。
――前島さんは言葉選びが素敵だなと感じているのですが、普段はどうやって言葉を集めていますか?
前島:好きだなって言葉や、本を読んでいていいなぁと思った言葉回しとかをメモするようにしています。日記も付けていて、忘れてないなと思えることや、いい意味で忘れられるんだなということを見返すこともありますね。作詞するときはメモや日記を読み返して、ノートに言葉を集めています。
ルーティーンとしてきたのが、デジタルで仮でまとめたノートを一度プリントアウトして、ちょっと時間を置いてから客観的に読んで直すというやり方。今回は4回くらいプリントアウトしました。
――そうして紡いだ歌詞。どんな言葉をチョイスしましたか?
前島:以前は完璧にしなきゃとガチガチになりながら頑張っていたのですが、今回はたくさんのものに頼ったり、甘えたりしながら自分らしさを見つけて適応していって、アーティスト活動の旅を走っていきたいなという想いで詞を書きました。
歌詞に「亜流」という言葉を使っているのですが、それは「本流ではない」という意味で、割とマイナスなイメージを持たれやすい言葉なんです。ただ、私はちょっと前向きな面もある言葉なんじゃないかと思っていて。表現の仕事をしているからかもしれませんが、本流ではない独自の道を開拓して、そこに向かって歩んでいく美しさもあると思っているんです。
――オリジナリティといいますか。
前島:そうですね。オリジナリティに自信を持ってもいいのかなって。「亜流」という言葉には私の名前の頭文字も入っていることから、勝手な思い入れもあって。いつか使いたいなと思っていた言葉だったので、1周年のこの決意を新たにするタイミングで使おうと思って歌詞に取り入れました。
――レコーディングはいかがでしたか?
前島:言葉をたくさん詰め込んでしまったのもあって、割とメロが多いんです。それもあって、歌うよりも語りに近いような、本心を吐露するような歌い方になっています。「一度、本音を聞いてください」みたいな曲になったらいいなと思いながら歌いました。
――11月24日には2ndライブがヒューリックホール東京にて開催されます。今回はどんなライブにしたいですか?
前島:春に1stライブをやって、まさか年内に2ndもできるとは思ってもいませんでした。新鮮な気持ちのままで2ndに臨めるので、前回の反省も活かしつつ、よりパワーアップしたライブにしたいですね。今回は生バンドでやります! いつかできたらいいなと思っていたのですが、こんなにはやく夢が叶うなんて……。嬉しいですし、単純にステージにいっぱい人がいるのが心強いです(笑)。
今回の目標は、私自身が「めちゃくちゃ楽しかった!」って言えるライブにすること。誰かに喜んでもらう、誰かのためにやる気持ちも大切にしたいのですが、ずっと後回しにしてきた自分の気持ちを真ん中にちゃんと持ってきて、楽しめたらいいなと思っています!
(取材・文:M.TOKU 写真:吉野庫之介)
前島亜美 2nd Single「不器用に 君のとなり」は、発売中。

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