オリジナルショートドラマ『キューティーハニー BELOVED ENEMY』(DMMショート)で、主人公・如月ハニーを演じるモデルでタレントの阿部なつきが、劇中衣装で「クランクイン!」編集部に訪問。初主演作にして“国民的アイコン”ともいえるキャラクターに挑む彼女が、その胸の内を語る。

さらに、多くの女性から支持を集める美の哲学、そして最近感じているという内面的な変化についても赤裸々に明かしてくれた。

【写真】“令和の峰不二子”阿部なつきが「スタイル抜群」 圧倒的な魅力あふれる全身ショットも(10枚)

■“令和の峰不二子”が体現する、新しいハニー像

 誰もが知る国民的キャラクター・キューティーハニー。そんな大役のオファーについて阿部は「本当に、『キューティーハニー』は今まで実写化された際も名だたる女優の方々が演じられていて、国民的キャラクターとして皆さんに愛されていたハニーを自分が演じるということには、『私でいいのかな』というプレッシャーがありました」と率直に語る。しかし、それと同時に「ぜひやってみたい」という気持ちも強かったのだとか。

 これまで何度も映像化されてきたが、それぞれが時代にあった“新しさ”を付加価値として表現してきたキューティーハニー。阿部は本作について、スマートフォンでの視聴に最適化された「縦型動画」というフォーマットに令和らしさを感じ、素晴らしい作品になるという確信があった。一方で、ショートドラマの経験はあったものの、本格的な役作り、そして初挑戦となるアクション、初主演ということも重なり、現場には不安もあったという。そんな中、勝ったのは“面白い”と思える好奇心だった。

 「『令和の峰不二子』というキャッチフレーズで覚えてくださっている方が多い中で、その私がハニーを演じさせていただくということが、すごく面白いと感じました。ファンの方も喜んでいただけるのではないかと思い、ワクワクしました」。

 昭和から続くポップアイコンを現代で体現するプレッシャーは、入念な準備によって前向きな気持ちへと昇華されていった。「プレッシャーを乗り越えるために、たくさん台本を読んだり、原作のアニメを拝見したりしました。
たくさん勉強していくうちに、『こういう風に演じたら、令和のハニーが出来上がるのではないか』と想像するのが楽しみになっていったんです」。

 本作の舞台は大企業のオフィス。セクハラやパワハラといった現代社会が抱える問題に、ハニーが愛と正義を貫いて戦う。その新しい設定の中に、時代を超えて輝く女性像を見出す。

 「昔も今も変わらず、可愛らしさと強さを兼ね備えた女性は素敵ですよね。それをこの令和の時代に演じさせていただけるということが、とても嬉しかったですし、私もそういう女性になりたいなと思いながら演じていました」。

■実物は「小柄で可愛らしい」と言われる私――写真とのギャップ、ハニーとの共通点

 実際の自分とハニーの共通点も多く、「私は写真だけだとクールで大人っぽく見られがちですが、実際にお会いした方からは『小柄で、クールというよりは可愛らしい印象だね』と言われるんです。ハニーも可愛らしい部分が多いキャラクターなので、映像で私を見ていただいた時に、リアルな自分に近い部分が出せているのではないかと思います」と語る。

 ハニーの象徴である戦闘服は、彼女のボディラインに合わせてミリ単位で調整された特別な一着。初めて袖を通した瞬間は、まさに鳥肌が立つような感覚だったという。

 「『あ、ハニーだ』と思いました(笑)。赤髪も、見ていただいた方から『意外と似合っているね』と言っていただけたので、新鮮な感覚でありながらも、しっかりとハニーになれているなという印象でした」。


 劇中ではカリスマホストや最強プロレスラー、真面目なオフィススーツ姿の会社員など、様々な姿に“七変化”するハニー。特に印象的だったのは、人生初の男装で挑んだホスト役だった。

 「言い回しも『モテる男性』という感じで、台本を読んだ時は少し恥ずかしいなと思いましたが、演じているうちに自分自身がはまってしまって、ノリノリで演じていました。女の子の顔を近づけて『よしよし』とするシーンがあったのですが、照れている女の子の姿を見る男性の気持ちって、いいなと思いましたね。自分もこうやって女の子をときめかせたいなって(笑)」。

 俳優として自分ではない誰かの人生を歩む。その無我夢中になれる時間に、確かな手応えを感じた阿部。「自分の嫌なことなどを全て忘れて、役に没頭してしまう。その時に、『あ、私って演技が好きなんだな』と自覚しました」と嬉しそうな表情を見せた。

■「加工は悪じゃない」――理想の自分に近づくための美学

 ジムやピラティスに通い、常に自身をアップデートし続ける阿部の姿は、多くの女性にとって憧れの的だ。そのストイックなまでの美意識は、自身の「好き」という感情に支えられている。「美容を追求している自分が好きなので、常により良い自分を作るためにアップデートすることを心がけて、努力しています」。


 そんな彼女が、美しくなりたいと願う全ての女性へ送るアドバイスは、意外なものだった。「『加工は悪だ』という風潮が少しあるかもしれませんが、私はすごく良いことだと思っています。加工した写真というのは、きっと自分の理想をビジュアル化したものですよね。そうなりたいと思う自分を表現することで、それに近づけると思うんです」。

 それは単なる気休めや理想論ではない。彼女自身が実践し、効果を実感してきた確かな方法論だ。

 「例えば、3年前に加工した自分の姿が、今のリアルな自分になっていたりします。無加工だった3年前の自分と比べると、今の方がずっと可愛くなれたと思えて、それが自信にも繋がりますし、さらに努力したいという気持ちにもなります」。

 完璧な美を追い求めるという強い思いに突き動かされてきた阿部だが、近年気持ちに変化が生じてきているという。いま目指している女性像は「完璧な自分」ではなく「しなやかな女性」。かつての自分は、今とは少し違ったと振り返る。

 「20代前半は、強く、頑固に、マイルールをたくさん決めて突っ走ってきたという印象が自分の中であるのですが、これからはもっと、いい意味で執着を手放して、色々なものを受け入れて、軽やかに生きていきたいなと思います」。


 ストイックな体型管理のため、夜の会食を断ったり、飲酒を禁じたり。完璧を求めるあまり、自ら作ったルールに縛られていた過去。その考えに変化が訪れたきっかけは、ごく身近な場所にあった。

 「なんとなく、自分のSNSを見ていて、すごく息苦しい気がしたんです。きっと私のインスタグラムなどを見てくださっている人も、どこか窮屈に感じているかもって(笑)。もちろん適当でいいというわけではありませんが、『私はこれだ』と固めすぎずにいようと思いました」。

 自身の記録であるSNSを客観的に見つめ直した時、完璧を求めすぎる自分の姿に気づいた。これからは、もっと自分の幅を広げていきたい。その眼差しは、未来を見据えている。

 「素敵な人とはご飯もたくさん行きたいし、お酒も楽しく嗜みたい。これからは、ダメな部分も含めて、色々な自分を受け入れていきたいです」。(取材・文:磯部正和 写真:高野広美)

 オリジナルショートドラマ『キューティーハニー BELOVED ENEMY』(全15話)は、DMMショートにて11月25日より独占配信。


編集部おすすめ