乃木坂46の3期生である久保史緒里が、26~27日にいよいよ「卒業コンサート」のステージへ立つ。加入から9年強、その歩みを振り返ると、歌、演技、ラジオ…と、ジャンルを問わずさまざまに活躍してきた。

メンバーとして着実に積み上げてきた彼女の功績をたどる。

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■グループの意思が結集する「きっかけ」にも力を添えた歌声

 2016年9月。乃木坂46の3期生として加入した当時の久保は15歳で、中学3年生だった。3期生の初ステージとなった同年12月に東京・日本武道館で開催した「お見立て会」では、歌が好きで映画『塔の上のラプンツェル』の劇中歌「誰にでも夢はある」を披露した。
 
 ステージの感想をつづった当時のブログでは「お見立て会」の話を聞いてから「何が何だかわからず ひたすら泣き続けていた気がします」と振り返りながらも、本番を成功させるために励み「私、変わります」と、ファンに宣言していた。
 
 シングルごとで表題曲を歌う選抜メンバー、カップリング曲を託されるアンダーメンバーに分かれるグループにおいて、1期生・生駒里奈の卒業作となった20thシングル「シンクロニシティ」で、同期の山下美月と共に初の選抜入り。当時、ブログでは「自分のために、乃木坂のために、尽くしていきたいです」と、決意を新たにした。

 その後、22ndシングル「帰り道は遠回りしたくなる」でアンダーを経験するも、23rdシングル「Sing Out!」からは全シングルで選抜入り。1、2期生が卒業し、3期生がトップに立つ新体制への移行を象徴した32ndシングル「人は夢を二度見る」では、山下とのダブルセンターに立った。

 中心メンバーとしてグループのパフォーマンスに力を添え、加入当初から思いの強かった歌の力でステージも彩ってきた。ライブでメンバーが1人1人の歌声を繋ぐ「きっかけ」では、メンバーの意思が結集するラストのサビを前にした重要パートを担当するなど、その歌声は常にファンの心を揺さぶってきた。

■演技では主演作多数 ラジオスターとして横浜アリーナでイベントも実現

 歌の力でグループに華を添えながら、個人活動では演技の才能を開花させた。
2021年4月期の連続ドラマ初主演作『クロシンリ 彼女が教える禁断の心理術』(カンテレ、BSフジ)を皮切りに、2023年には『どうする家康』の岡田准一演じる信長の娘・五徳役で、現役メンバーとして初の“NHK大河ドラマデビュー”を達成。

 2022年11月公開の『左様なら今晩は』は映画初出演作にして初主演作となり、2021年上演の舞台『夜は短し歩けよ乙女』ではヒロイン・黒髪の乙女役を務めるなど、女優としての挑戦を続けた。

 その一方では、ラジオスターとしての地位も確立。2022年2月、卒業した2期生の新内眞衣からメインパーソナリティの座を受け継いだ『乃木坂46のオールナイトニッポン』(ニッポン放送/毎週水曜25時)では、故郷の宮城にも思いを巡らせる軽快なトークを繰り広げてきた。

 さらに、2023年12月にはニッポン放送の大型特番『ラジオ・チャリティ・ミュージックソン』のメインパーソナリティに抜てき。本年1月には、神奈川県・横浜アリーナで自身の名を冠したビッグイベント「久保史緒里の青春文化祭」も実現した。

 加入当初は「儚さ」を前面に出したかったとラジオでは語っていたが、その面影は残しつつ、24歳となった今ではあっけらかんと笑い、ときには、メンバーをサバサバと励ますほどに頼もしくなった久保。『乃木坂46のオールナイトニッポン』のパーソナリティを5期生の井上和に託し、「卒業コンサート」のステージも迫ってきて、メンバーとしての残りわずかな時間には寂しさも募る。

 しかし、アイドルの世界から離れても久保の人生は続く。卒業発表のブログで「風のような、9年間」としたグループでの経験も糧に、違うステージで変わらぬ笑顔を見せてくれるはずだ。(文:カネコシュウヘイ)

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