年齢を重ねるごとに、ますます俳優としても魅力を増している西島秀俊。ベストセラー作家・湊かなえの小説を映像化したドラマシリーズ『人間標本』(Prime Videoにて12月19日より世界配信)では猟奇的な殺人を告白する男をミステリアスに演じ、耽美と狂気が入り混じる唯一無二の世界へと視聴者を誘う。
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◆「誰も予想できないような真実にたどり着く」
「イヤミスの女王」と呼ばれる湊が、10年来温めてきた“親の子殺し”というセンセーショナルなテーマに正面から挑んだ原作を実写ドラマ化した本作。蝶の研究者である榊史朗教授(西島)が、息子の榊至(市川染五郎)を含む6人の少年たちを「人間標本」にしたという衝撃の告白から幕を開け、それぞれの愛憎が絡み合いながら、意外な結末へとたどり着くミステリーサスペンスだ。
穏やかな笑顔で、死体を「人間標本」にしたと自首する父親役を担った西島。挑戦的な役柄とも言えるが、オファーが舞い込み「すぐに原作を読ませていただき、挑戦したいと思いました」と前のめりで参加したとのこと。
心惹かれた一番の理由は、原作の持つ力。事件にまつわる出来事を見つめる視点がどんどん変化していく物語に魅了されたそうで、「二転三転としながら、最後に真実にたどり着くのですが、誰も予想できないだろうと思うような真実なんです。最後のワンカットまで観ていただくことで、なぜそうなってしまったのか、そういうことだったのか、というのがわかります。ぜひ最後まで観ていただきたい」とコメント。異常殺人者か、至高の芸術家かと視聴者も翻弄するような役柄となるが、「チャレンジする価値のあるものだと思いましたが、難しかったです。
原作者の湊は、本作について「デビュー時よりのテーマである『人は同じものを見ているのか』に、蝶の特性と芸術を重ねて描きました」とコメントしている。西島は「様々な蝶の特性と登場人物たちのキャラクターをリンクさせたり、蝶が見ている世界と、アートの世界で生きる人たちが見ている世界をリンクさせたりと、発想がすばらしいんです。湊先生の着眼点に驚きました」と感嘆。
「これまでにも『羅生門』をはじめ、視点によって真実が変わって見えてくるという物語はたくさん作られてきています。今は特に、『この情報は正しいのだろうか』と確信が持てない状況も多いです。自分の見えているものだけが『真実だ』と思うことは、とても危ういことだと思っていて、自分の意見が正しいのかどうかも疑わないといけない時代になっている気がします。それぞれの視点によって違う真実が見えてくる本作は、そういった意味でもとても現代的なテーマを描いていると感じています」と語る。
◆市川染五郎ら若手俳優たちの才能は「本当にすばらしい」
史朗の息子を演じたのは、本作で現代劇ドラマ初出演を果たした市川染五郎。台湾で行われた海外ロケも共にして親交を深めた染五郎とは、撮影の合間にも話し合いながら親子関係を作っていったという。
「史朗にとっては妻、至にとっては母となる女性を早くに亡くして、父親と息子がお互いを支え合うように生きてきたと思ったので、染五郎くんとは、そんな話をしていました。また台湾ロケでは、撮影後に一緒に食事をしたりする時間もありました。
また“色彩の魔術師”と呼ばれる世界的アーティストである一之瀬留美役の宮沢りえ、その娘の杏奈役の伊東蒼をはじめ、芸術的才能に恵まれた少年たちを演じた荒木飛羽、山中柔太朗、黒崎煌代、松本怜生、秋谷郁甫など、実にカラフルな俳優陣が顔をそろえた。少年たちに扮した若手俳優たちは、その年齢ならではの感性や揺らぎを鮮やかに表現しており、西島は「本当にすばらしかったです」と彼らに敬意を示す。
「今回たくさんの若い俳優さんが出ていますが、間違いなくこの中からたくさんのスターが出てくると思います。観てくださる皆さんも、『この子は将来、きっといい俳優さんになるぞ』と誰かのファンになるのではないでしょうか」と期待しながら、「全員が『このシーンでは、これをやりたい』という意志を明確に持っていて、本当にすばらしかったですね。僕は『好きなようにやってみたらいいと思うよ』『やりたいことがあったらなんでも言っていいし、もし言いづらければ、僕に言ってくれればいいから』と声をかけていました。でも僕がそんなことを言う必要もないくらい、しっかりしていて。皆さん、オーディションで役を勝ち取ってきた役者さんたちです。
◆藤田まことさんへの感謝、50代の働き方
大先輩の西島から「やりたいことがあったら、なんでも言っていい」と言葉をかけられた若手俳優たちは、どれほど心強かったことだろう。西島の言葉からは「若い人を大切にする」というスタンスが感じられるが、駆け出し時代の西島にも、そうやって気にかけてくれた先輩がいるという。
「僕のデビュー作は、『はぐれ刑事純情派』というテレビドラマシリーズでした。その頃の僕は演技を始めたばかりみたいな俳優でしたが、主演の藤田まことさんが『脚本でおかしいと思ったことは、ちゃんと言いなさい。やりたいことがあったら言っていいし、監督に言いづらいのであれば僕に言いなさい。とにかく思ったようにやりなさい』と言ってくださった。駆け出しの頃に藤田さんに出会えたことは、本当に幸運でした」と感謝しきり。「当時の現場では、藤田さんのような方は特殊だったと思います。もし今の自分にできることがあるとするならば、若い人たちには自由にやってもらいたいなと感じています」と尊敬する藤田さんから継承しているものも多い様子だ。
これまでの道のりについて、「僕はあまり器用なタイプではないので、もともと回り道もしています。
コツコツと続けたことが実を結んだかのように、精力的な活動を行いながら迎えた50代。西島は、「海外にチャレンジすることが目的ではなく、自分がチャレンジしたい窓口が広がっただけで、もちろん日本の作品もやっていきたいです。日本中、そして世界中にすばらしい俳優、監督の方々がたくさんいます。いろいろな人と出会いながら、一緒に作品に取り組んでいければと思っています」と展望を吐露。
「海外の作品に関しては、出演しているシーン数も少ないですし、ようやく一歩踏み出せたかなというところ。学ぶことも多いです。自分が現場で表現できることをやりながら、その場で吸収し、一歩一歩進んでいくのみです」と意気込み、「もちろん言葉や文化の違いもあり、これから壁を感じることも増えていくとは思います。それでも映画が好きで、いい作品をつくりたいという共通の目標があって集まっている人たちだからこそ、通じ合える部分があり、乗り越えられることもたくさんある」と絆を育んでいく過程は、大きな喜びだという。
その言葉通り、『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』の初日舞台挨拶では、共演者のグイ・ルンメイとけん玉やスイーツ談義で盛り上がる場面もあり、国境を超えてリスペクトし合う関係を築いたことが窺えた。西島は「ルンメイさんは、俳優としても人間としても本当にすばらしい方。
可能性の翼をどこまでも広げながら新たな出会いに心を震わせ、ものづくりの深淵を探り続ける日々。活力を満たしてくれるのは、大好きなスイーツだ。好きになったきっかけを聞くと、「以前、役作りで体を絞らなければいけない時に、とても厳しい食事制限をしたことがあります。やり終わった後に、何を食べたいかと思ったら、食事ではなくて甘いものだったんです」とくしゃっとした笑顔を見せていた。(取材・文:成田おり枝 写真:米玉利朋子[G.P.FLAG inc])
ドラマシリーズ『人間標本』は、Prime Videoにて12月19日より全5話一挙独占配信。

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