『じゃあ、あんたが作ってみろよ』でのザ・昭和な男から脱却するかわいげたっぷりな姿が日本中から応援された勝男、『10DANCE』での色気あふれるラテンダンス日本チャンピオン・鈴木信也、幅広い役どころを魅力満点に演じ、大きな反響を集め続ける竹内涼真。自身2度目の舞台出演となるミュージカル『奇跡を呼ぶ男』では、伝道師のふりをして人々から献金をだまし取る詐欺師役という新境地に挑む。
【写真】大人の色気とかわいさが共存! 竹内涼真、インタビュー撮りおろしショット(10枚)
◆初舞台から5年 またリニューアルした自分で臨める
伝道師ジョナス・ナイチンゲール。彼が伝道集会のショーで見せる「奇跡」に人々は熱狂し、涙し、心を動かされていく―。しかし、それは真っ赤な嘘。彼の本当の姿は、伝道師のふりをして妹や仲間たちとともに「奇跡」を演出し、人々から献金を集めながら各地を放浪する詐欺師だ。
ある日、旅の途中でバスが故障し、立ち寄ったカンザスの田舎町スウィートウォーターで思いがけない運命と出会う。女性保安官、そして足の不自由な少年との出会いをきっかけに、ジョナスの中で何かが変わり始める。ウソを重ねてきた男は、果たして“本当の奇跡”を起こすことができるのか――。
本作は、1992年スティーヴ・マーティン主演の映画「奇跡を呼ぶ男」をもとに、2010年に舞台化された、ゴスペル調のソウルフルな音楽が物語を鮮やかに彩るミュージカル。作曲にアラン・メンケン(『アラジン』『リトル・マーメイド』)、作詞にはグレン・スレイター(『塔の上のラプンツェル』『スクール・オブ・ロック』)と、ブロードウェイのトップクリエイターたちが参加する楽曲も好評を博す注目作だ。
日本初演となる今回は、イギリスの新進気鋭演出家ジェニファー・タンを迎え、竹内のほか、昆夏美、セントチヒロ・チッチ、糸川耀士郎、木原瑠生、MARIA-E、マルシア、真瀬はるから実力派キャストが集結する。
――舞台への出演は2度目。
竹内:稽古に入ったころは初めて触れることばかりで戸惑いがあったり、演出と自分の身体がまだうまくリンクしていない部分があったりしたのですが、稽古をやっていくうちにどんどんいろんな楽しさや、僕は意外と稽古が好きなんだなぁという発見がありました。
2ヵ月くらい稽古を1つ1つ積み重ねる中でカンパニーのみなさんとの関係性が深まり、信頼しあって本番の舞台でその瞬間に生まれるものをキャッチしながら表現していく。初日にしか味わえない感触みたいなものもあったし、公演半ばくらいで身体がすごく疲れてきた頃にこそ生まれる面白さもあって、毎日何かしらの収穫がありました。その積み重ねを大千穐楽まで持っていく過程が、本当に楽しかったですね。
とにかくやりきったという達成感がありました。でもいつかまた自分に合う、これはやってみたいなって思える作品に出会えたら挑戦してみたいと思っていました。
――そんな中、今回またミュージカル挑戦を決められた理由とは?
竹内:あのスリルやライブ感、そして充実感をまた味わいたくなったのかもしれないです。もちろん映像の現場にもライブ感はありますし、その瞬間を切り取ってもらうので共通する部分もあります。でも映像は現場で撮影して、アフレコをして、そこから皆さんの手に届くまでにいろんな工程を経て大切に仕上げていく。一方で舞台は稽古を積み上げていきますが本番では自分たちが積み上げてきたものを一度手放して、お客さんの目の前で演じます。そのライブ感やリスクって映像とはまた全然違うものだと思っています。
お客さんに生で観てもらって反応をもらう舞台は、集中して演じている中でも会場にいるお客さんと一体になってるかどうかや、熱量みたいなものが同じ空間にいるからわかるんです。
――『奇跡を呼ぶ男』についてはどんな作品だと感じられましたか?
竹内:ブロードウェイ版の映像を観たり、音楽を聴いたりして、かっこいいと思ったんですよね。僕は子どものころからブラックミュージックが好きで、ボーイズIIメン、ブライアン・マックナイト、スティビー・ワンダーなんかをよく聴いていたのですが、どうやっても、本場のグルーヴ感を表現するのは簡単ではないと思っていて。
でもそれを僕ら日本のカンパニーで成功させることができたら、ものすごく楽しいんじゃないか、そこに可能性があるんじゃないかと思ってしまったので、飛び込んでみようと思いました。
◆“正義じゃない”主人公に魅力を感じる
――作品のどんなところに魅力を感じますか?
竹内:主人公が正義ではないっていうところですね。主人公が抱えて隠しているものだったり、詐欺師っていう役柄だったり、道徳から少し外れているところに魅かれました。
彼はきっと“本当”になりたかったんだろうけど、嘘から本当になっていく過程では、隠していた自分や嘘をついていた自分と向き合わないといけないんですよね。そういう彼の人生を自分らしく演じてみたかったというのもあります。
あと僕は最近ずっと小学生や中学生くらいの俳優さんとお芝居したかったんですよね。今回それが叶うというのも魅力に感じています。ピュアなエネルギーに刺激をもらえるからですかね。
――ミュージカルということで、ダンスや歌への思いはいかがでしょう。
竹内:ラッキーなことに、昨年の2月までものすごくダンスを踊っていた(Netflix映画『10DANCE』)ので、ダンスは前回ミュージカルに出演した時よりも格段にレベルが上がっていると思いますし、映画で得たダンスのスキルを何かしら反映できるのではないかと思ってます。
歌に関しては、今回はゴスペルで、セリフをしゃべっている流れのまま自然にリズムに乗って歌に入っていくんです。その境目がないので、嘘を本当にしていくエネルギーだったりとか、相手に考えるすきを与えない巧みなパフォーマンスを表現できるように練習を重ねていかないといけないなと思ってます。自分の中にイメージはあるので、そこに近づけながら、演出家の方と1つの正解を見つけていければいいなと。
――本作では、やはりゴスペルがポイントになりそうですね。
竹内:ブロードウェイで完成された作品をそのまま踏襲しようとしてもうまくいかないと思うんです。正解はわからないんですけど、マンガの実写化とか、海外でやったもののリメイクとか、そのままのコピーを目指すようなアプローチはしないようにと思っています。
僕が目指していることは、より嘘をなくしたいんです。
きっと「ゴスペルってどうなるの?」って思われている方も多いと思います。もちろんゴスペルなんですけど、僕ら日本キャストが持っている正確性や精度、真面目さ、チームワークといった部分で、また新しい表現にたどり着けたらいいなと思っています。
◆主人公の「嘘から始まる中に本当の奇跡を作りたい」という思いを理解できた
――本作出演解禁時のコメントで「『奇跡を呼ぶ男』という題名を目の前にして、これは僕がやるべきなのでは、と直感しました」とお話されていました。
竹内:この作品を日本で上演すると聞いたときに、歌い方やリズム感も含めて、もし何か奇跡が起きて成功するなら、僕がやるべきなのかもしれないと思ったんです。
演じるジョナスの、「自分の嘘から始まる中でどうにか本当の奇跡を作りたい」という思いに僕は共感しました。見栄を張るとか、どこかで認められたいとか、そういう思いって少なからず誰にもあるものだし、僕にもある部分なので。僕は詐欺師じゃないですけど(笑)。
20歳くらいの時に、「僕は俳優で稼いで成功します」って親に言ってスポーツをやめましたけど、結果として身にならなかったら嘘になるわけじゃないですか。
そんな、成功するかどうかわからないこと、失敗してしまったら「できるって言ったことが嘘になる」ということでも、可能性に懸けて奇跡を起こせたらいいなって。今の自分にはまだ無理ですけど、開幕まで自分を追い込んで、「この題目で何ができるの?」って疑われているものをガラッとひっくり返したいと思っています。
――竹内さんご自身は、「あれは奇跡を呼んだな」と思える出来事はありますか?
竹内:どうだろう…。「奇跡を起こしたい!」と思っていても起きるものではなくて、本気で目の前のことに打ち込んだり、何かを信じて100%賭けたときに、気づいたら奇跡が生まれていたねっていうことはありますね。
――連続ドラマへの出演も続きますが、開幕までどんな準備を進めたいですか?
竹内:最近、これまで自分が生きてきた人生や、等身大の自分が今感じていること、今の自分はどうなんだろう?と理解することが、そのタイミングで演じる役につながるんじゃないかと思うようになりました。
今の自分はどういう状況なのか理解しつつ、ジョナスという役に結び付けていくと、より嘘のない自分とリンクした表現ができると思うので、新しいドラマ(『再会~Silent Truth~』)にも取り組みながら、自分の身体や感覚とこの『奇跡を呼ぶ男』が少しずつリンクしていくモードになっていくのかなと思います。
(取材・文:近藤ユウヒ 写真:米玉利朋子[G.P. FLAG inc])
ミュージカル『奇跡を呼ぶ男』は、東京・東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)にて2026年4月4~24日上演。大阪・フェニーチェ堺 大ホールにて同年5月1~3日、福岡・久留米シティプラザ ザ・グランドホールにて同年5月8~10日、愛知・名古屋文理大学文化フォーラム(稲沢市民会館)にて同年5月15~17日上演。

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