1980年代に「週刊少年ジャンプ」にて連載され大ヒットした『ハイスクール!奇面組』が、令和に蘇る! 再アニメ化の第一報が解禁されると、SNSには歓喜と驚きの声が爆発し、変わらぬ人気を証明した。このたびクランクイン!では、一堂零(いちどう・れい)役の関智一、冷越豪(れいえつ・ごう)役の武内駿輔、出瀬潔(しゅっせ・きよし)役の松岡禎丞、大間仁(だいま・じん)役の小林千晃、物星大(ものほし・だい)役の戸谷菊之介という「奇面組」声優陣にインタビュー。

1985年に放送されたアニメをリスペクトしながら作り上げたというキャラクター像について、「学校のよう」と語る和気あいあいとしたアフレコ現場の様子などを聞いた。

【写真】奇面組ばりのわちゃわちゃ仲良しぶりが伝わる! 関智一&武内駿輔&松岡禎丞&小林千晃&戸谷菊之介撮りおろしショット 

■“今の時代にも刺さる” 令和に復活した『ハイスクール!奇面組』の魅力

 本作は、一応中学(いちおうちゅうがく)に通う、一堂零ら5人組の“奇面組”が、“ブサイク”であることを個性ととらえ、「世の中の歯車となるより、世の中を味付けする調味料になろう」をモットーに、“個性”を活かして次々と奇抜な行動をとり、周囲の人々を常に驚かせ、困らせ、ときに笑わせる姿を、ハイテンションでテンポよく、エネルギッシュに描くコメディー作品だ。“奇面組”の5人はもちろん、同じ学校に通う友人や教師たちなど、彼らを取り巻く個性的なキャラクターたちがいきいきと描かれ、“多様性”が叫ばれる今だからこそ、見ている人もどこか共感しうる内容となっている。

――1980年代に「週刊少年ジャンプ」にて連載され、大ヒットした本作。アニメ化決定を受けてのお気持ちは?

関:まず驚きましたね。「この時代にハマるのか?」と思いつつ、ただ僕は原作が好きで、1985年に放送されたアニメもリアルタイムで観ていたので、「また観ることができるんだ!」とうれしくなりました。ぜひ今回は僕も出演したいと思ってオーディションを受けることになったのですが、事務所から「好きな役を受けていいよ」と言われて。

武内・松岡・小林・戸谷:えっ!?

関:そうなのよ。選び放題だったの。絶対に出たかったので「倍率の低いのはどこだろう」なんて悩みもしましたが(笑)、奇面組といえば、やはり一堂零。一番好きなキャラクターでもあったので、記念受験的に受けようと思って。まさか受かると思っていなかったので、決まったと連絡をもらった時は本当にうれしかったですね。
「どれでも受けていいよ」なんて言ったくせに、マネージャーには「関さんの年代で一堂零とか絶対に受けないですよ」って言われたりもしましたけど。でも受かったから「俺もまだまだ行けるじゃん!」と思いました(笑)。

――確かに他の4人と比べると、関さんはキャリアが少し上になります。奇面組メンバーのキャストの名前を聞いた時は、どう思いましたか?

関:「俺だけジジイじゃん!」と(笑)。

松岡:いやいやいやいや。

武内:いやいや、ジジイまでもいかないですよ。どっちかっていうと「オジ」かな。

関:意味としては同じだろ!(笑) 一堂零に僕を選んだのだから、他の4人も同世代で揃えるのかと思っていたら、まさかのみんな後輩。それならば、若いみんなに助けてもらいながら頑張ろうと思いました。4人とも他の現場でもよくご一緒していて、特に武内くんは今みたいに軽口をたたける関係なので、とても心強かったです。

――武内さん、松岡さん、小林さん、戸谷さんは原作・1985年放送時のアニメ共に世代から外れていますが、再アニメの話を聞いてどう思いましたか?

武内:もちろん原作の存在は知っていて、アニメだけじゃないメディアミックスもされているほど人気作であることも知っていました。再アニメ化が発表されてキャスト名が出てから、いろんな方から「奇面組やるんだね!」などの連絡もいただきましたし。
リアルタイム世代であろう男性声優の先輩方から「好きだったんだよ~!」「次のアニメも観るよ!」と熱いエールももらいました。また、今作とはまったく違う作品の現場で若い女性ディレクターが奇面組のTシャツを着ていたりして、男女問わず幅広い世代から人気なんだと、今ヒシヒシと感じています。この再アニメ化をきっかけに、また新たなファンを獲得し、多くの方々を楽しませるコンテンツにしていきたいと思いました。

松岡:僕は出瀬潔のほかに、一堂零と大間仁のオーディションも受けたんですよね。で、一番手ごたえがなかったのが潔なんです。

小林:へ~! 面白い!

関:意外とあるあるだよね。意外と手ごたえがない役がハマるっていう。「やりきった~!」という役ほど、なぜか受からない(笑)。

松岡:そうなんですよね(笑)。やはり人気のある作品の再アニメ化ということでプレッシャーが大きかったです。今の時代に再び放送されるのであれば、ちゃんと“今の奇面組”にしなければならない。以前のアニメをなかったことには絶対にできないので、当時の良さや原作本来が持つパワーを感じさせながら、原作のファンの方にも、当時のアニメを観ていた方にも、そして今から『奇面組』に触れる方にも満足していただける作品にできたらいいなと思いました。


小林:今はリブートブームですよね。昭和・平成に放送されたアニメが令和の時代に蘇ることが多くなり、この『ハイスクール!奇面組』もその一作品として選ばれました。そのリブート作品たちを見てみると、「令和に放送する意味がある」ということが共通していると思うんです。出演が決まってスタッフ陣とお話する機会があったのですが、プロデューサーさんもそのようなことを言っていました。過剰にコンプライアンスを重視する時代、また“ルッキズム”という言葉が浸透し美醜などを気にする人が増えた今だからこそ「そういうことを笑いで吹き飛ばしたい」と。そういう思いを背負って、今の時代の方にも刺さる作品になればいいなと思いました。

戸谷:第1話のアフレコ前に、僕たちキャストとスタッフさんとで、そういった意識をすり合わせる時間があったんです。僕もその言葉が印象に残っていますね。オーディションのお話をいただいて初めて原作を読み「ギャグや言葉選びがぶっ飛んでいるな!」という印象を持ち、正直「これは今の時代に受け入れられるのか?」と思ったのですが……そのプロデューサーの言葉を聞いて「むしろ今やった方がいいな」と。今の時代に放送することで、多くの人の悩みなどを吹き飛ばし、ポジティブに感じてくれたらいいなと思いました。

武内:キャラクターたちも「“人と同じように”“無難に”という世の中で、だんだん個性がなくなってきた」「個性的な顔に生まれてきたんだから、人と同じにはなりたくないよ」なんて言っていますしね。長く生きていると「こうしなきゃならない」という同調圧力とは言わないまでも、周りに合わせた正解を探しがちじゃないですか。
そうではなくて、「人と違っていいんだよ」「違うことが武器なんだよ」とこの作品は教えてくれているんです。

関:本当。この時代にやるべきテーマ性を持った作品だと思いました。きっと制作陣もそれを感じて、この時代にアニメ化しようと決めたのではないかと思ったのですが……裏で話を聞くと「ひっそりとやって“楽しかったね!”と終えられればいいなと思っていたら、SNSでバズってビビっちゃった」と言っていました(笑)。

全員:(笑)。

■掛け合いで作り上げられた“新たな奇面組メンバー”に注目!

――少しお話を聞いただけでも和気あいあいとした現場なのが伝わってきますが、アフレコはどのように進んでいるのでしょうか。

関:僕は人見知りなので、みんながすごくオープンマインドで助かっています。先ほど言ったように武内くんとはよく話す仲だし、小林くんはコミュ力の塊。松岡くんは家に関する切ないエピソードを、身を切って話してくれました(笑)。戸谷くんは本当に物腰柔らかくて話しやすいし、本来ならば一番先輩である僕が現場を引っ張らなきゃいけないのかもしれないですが、皆さんが居心地の良い空気感を作ってくれています。あと、差し入れのお菓子が豊富なのがうれしい(笑)。スタッフさんもいつもニコニコしていて、アットホームで楽しい現場です。


戸谷:アフレコに入る前に「チャレンジングなことをやってもいいですよ」と言われたのですが、その言葉があったからか、本当に皆さん暴れていらっしゃる(笑)。第1話の収録から面白すぎて、これはもう「アフレコじゃない、戦いだ!」と思いました。戦う気持ちで毎回現場に行かなきゃいけないと思いましたね。

関:特に松岡くんがね(笑)。

武内:松岡さんすごいですよね(笑)。

関:これは使われないだろうというアドリブにも果敢に挑戦しているんですよ。

戸谷:めちゃめちゃ面白かったので、使われていそうな気がしますけど……。

関:僕たちもまだわからないからね。「観てからのお楽しみ」ということで(笑)。

松岡:直しの時も何も言われてないですからね(笑)。

武内:音声に「ピー」っていう規制音かけなきゃいけないくらいのすごいアドリブで。

松岡:そこまでじゃないでしょ!(笑)

戸谷:松岡さんだけでなく、皆さんがそれくらいチャレンジングなことをされていて、それが面白くて僕はずっと笑っています(笑)。


武内:さらにそれが、話数が進むごとに洗練されていっているんですよね。第1話はやはり実験的で、「このアドリブは物語のノイズだったかも」「話に沿っていなかったかも」など反省点がありましたが、アフレコを繰り返すうちにそれが自然とわかってきて、ファニーな雰囲気にまとまっていったような気がします。

小林:現場の雰囲気でいうと、なんか学校っぽくないですか? 人数が多くて、以前のアニメにも出演していた速水奨さんという大先輩もいれば、「この現場が初めてなんです」というピカピカの新人の方もいて。その中で、女性だけでまとまっていたり、(切出翔役の)佐久間大介さんは(似蛭田妖役の)岡本信彦さんと組のリーダー役同士で話していたり、学校のようにコミュニティができあがっているんです。とっても賑やかで、そこに「アフレコ始めるよ」と号令が入ったらみんなブースに入って真剣な表情になって。学校で授業が始まる時もそんな感じでしたよね(笑)。そんな空気感が漂っているからこそ、年代やキャリアはバラバラだけど、不思議な一体感のある現場です。

関:速水さんが出演されると聞いた時はビックリしたな~。当時のアニメを見ていた方は、エモーショナルな気持ちになると思います。また、緒方賢一さんが前回と同じ校長の小蝶先生役で出演しているんですよ! これはファンは喜ぶんじゃないかな~。

――先ほど松岡さんから「以前のアニメをなかったことには絶対にできない」というお話がありました。1985年版では奇面組のメンバーを千葉繁さん、玄田哲章さんらが演じられていましたが、そこから継承したものなどはありますか?

関:僕は実際にリアルタイムで見ていたので、一堂零=千葉繁さんという印象が強くありました。かけ離れた声だと、僕自身が気持ち悪いと思って。ただ、モノマネをしようと思ったわけではありません。どうすればあの表現ができるのか、どうすれば寄せられるのかを考えて役を作っていった感じです。

――千葉繁さんとお話する機会などはあったのでしょうか?

関:実はあったんですよ。そこで「一堂零を演じるヒント」のようなものをいただけたので、おぼろげだった“一堂零像”が、そこで掴めた気がしました。またプロデューサーさんとも話して、零は変態だけどジェントルマンでもあるから、そこを大事にしようと思いました。

武内:リブート作品に出演することで一番重要になるのは、「キャラクターへの解釈を前任者と一緒にすること」だと僕は思っています。そして、以前に冷越豪を演じた方といえば、弊社の大先輩である玄田哲章さん! 昔からとても良くしていただいて、直接会う機会はそこまで多くないのですが、マネージャーを通して出演作の感想を伝えてくれたりと、すごく気にかけてくれています。大好きでリスペクトしているからこそ、その玄田さんが演じた冷越豪というキャラクターの要素を、僕も取り入れたいなと思いました。

関:武内くんも千葉さんとは話す機会があったんだよね。

武内:そうなんですよ! 当時の『奇面組』の収録の話を聞いたり、当時の写真も見せてもらったりして。そこで玄田さんがカラーレンズのメガネをかけていたので、僕もその明るさでアフレコすれば玄田さんの冷越豪が掴めると思い、リスペクトを込めてカラーグラスをかけて収録しています。

小林:他の現場でもかけてるだろ!(笑)

武内:若干色が違うんだよなぁ~(笑)。その玄田さんの要素も感じてもらいつつ、僕が演じることによって冷越豪の違う一面を感じてもらったり、『ハイスクール!奇面組』の世界観を広げられたらいいなと思っています。

松岡:僕は小さいころに再放送されていたアニメを観ていたのですが、いい感じに記憶が薄れていて。そして今回、あえてアニメを観直さずにオーディションに挑みました。影響されやすい質なので、意識しちゃうと思ったんです。せっかく令和の時代に蘇るのだから、自分で考えた出瀬潔でないと意味がないと。演じる上で大切にしたのは、自分が思い描いた潔像を声に乗せて、現場で皆さんと掛け合って上手くハマるか、ということです。「どっちが良くて、どっちが悪い」という話ではなく、「どちらにも良さがある」と思って楽しく見ていただけたらいいなと思いました。

小林:僕はオーディションに受かってからアニメを見たのですが、以前に大間仁を演じた龍田直樹さんと演技の方向性が一緒だと感じて、とてもうれしくなりました。同じ役を任せてもらった役者同士が、世代は違えど同じものを感じたという1つの自信にもなって。それに加えて、禎丞さんの言ったように、現場での掛け合いで生まれる面白さが重要になってくる作品だと思ったので、多角的な目線で見て、いろんなところから大間仁の要素を拾って作り上げている感じがあります。皆さんとの掛け合いのおかげで僕なりの大間仁が掴めたので、本当にこの5人で奇面組になれて良かったです!

戸谷:僕はアニメを見て(以前に物星大を演じた)塩沢兼人さんの印象がとても強く残ってしまったからこそ、リスペクトして演じようと思いました。でも、それは1話までです。テストで演じてみたところ、ディレクションで「もっとかわいくやってほしい」と言われて、結果的に塩沢さんが演じたものよりもかわいい物星大になりました。でもやっぱり僕は塩沢さんの物星大が好きなので、そこから感じた“色気”みたいなものも大事にしつつ。そこに皆さんが言ったような、掛け合いから生まれた要素も加えて作っていきました。

武内:戸谷くんは「語尾にハートつけて!」というディレクションがすごく入っていたよね。

戸谷:そうなんですよ。今回の大くんはハートがいっぱいです。その“ラブ”をぜひ感じてほしいですね(笑)。

(取材・文:米田果織 写真:高野広美)

 TVアニメ『ハイスクール!奇面組』は、全国フジテレビ系“ノイタミナ”にて1月9日より毎週金曜23時30分放送。

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