宮沢りえと若村麻由美が共演するパルコ・プロデュース 2026『メアリー・ステュアート』より、メインビジュアルとスタッフ・キャストコメントが解禁された。

【写真】凛とした美しさ! 宮沢りえソロショット

 ドイツの劇作家フリードリッヒ・シラーが執筆した名作『メアリー・ステュアート』。

実在したスコットランド女王とイングランド女王という2人の運命を描いたこの作品は、これまで多くの演出家によって上演され、それぞれの解釈が加えられてきた。

 今回の脚本は、イギリスの演出家ロバート・アイクが手掛けたバージョンだ。大胆かつ衝撃的なアダプテーションとして、2016年アルメイダ劇場での初演では連日ソールドアウトを記録し、各紙から5つ星の評価を受けて高く称賛された。その後、2018年にはウエストエンドのデューク・オブ・ヨーク劇場でロングラン公演を果たすなど、現在も高い人気を誇っている。

 運命に翻弄された2人の女王を描く本作の翻訳は小田島則子が手がける。演出を務めるのは、パルコ・プロデュース作品を数多く手がけ、『オーランド』で第50回菊田一夫演劇賞大賞を受賞した栗山民也。パルコ・プロデュース 2025『星の降る時』に続き、確かな演出力で物語にさらなる深みと広がりをもたらす。

 スコットランド女王メアリー・ステュアート役には、テレビドラマ、映画、舞台と幅広く活躍し、数々の映画賞を受賞してきた宮沢りえ。Prime Videoシリーズ『人間標本』や映画『ラストマン ―FIRST LOVE―』『しびれ』など話題作への出演が続く中、パルコ・プロデュース 2024『オーランド』以来、2年ぶりに演出家・栗山民也とタッグを組む。

 一方、イングランド女王エリザベス1世役を務めるのは、第27回読売演劇大賞優秀女優賞をはじめ数々の賞を受賞し、舞台・映像作品の第一線で活躍を続ける若村麻由美。舞台『飛び立つ前に』東京公演を成功裏に終えたばかりの彼女が、対照的な運命を背負う女王を演じる。日本を代表する2人の女優が、激しく交錯する宿命の物語に挑む。


 エリザベスの寵臣・レスター役には、舞台、映画、ドラマと幅広い分野で活躍し、加藤拓也とのタッグによる舞台でも主演を務めてきた橋本淳。近年では大河ドラマ『べらぼう』への出演も記憶に新しい。ポーレットの甥・モーティマー役には、舞台と映像の垣根を越えて確かなキャリアを築き、来年2月には舞台『黒百合』への出演を控える木村達成。

 ナイロン100℃作品をはじめ数々の舞台で独自の存在感を放ち、声優としても活躍する犬山イヌコが、メアリーの乳母・ケネディ役で栗山演出作品に初参加する。エリザベスの重臣バーリー役には、2024年の『オーランド』『血の婚礼』など栗山作品への出演が続き、現在はドラマ『新東京水上警察』にも出演中の谷田歩。

 フランス国王の使者オーベスピーヌ役には、Netflix独占配信『新幹線大爆破』で存在感を示し、舞台『リア王』『白衛軍 The White Guard』などでも活躍する実力派・大場泰正。エリザベスの廷臣デイヴィソン役には、舞台『Too Young』で主演を務めたほか、『景色のよい観光地』やドラマ『ちるらん 新撰組鎮魂歌』など幅広い作品で活躍する宮崎秋人。同じく廷臣であるケント役には、今年栗山が演出した『フロイス―その死、書き残さず―』に続き、来年上演予定の『ゴドーを待ちながら』への出演も控える文学座の若手実力派・釆澤靖起。

 そして、メアリーの側近ポーレット役には、劇団「東京サンシャインボーイズ」で活躍し、近年は『蒙古が襲来』や三谷かぶき『歌舞伎絶対続魂(ショウ・マスト・ゴー・オン)幕を閉めるな』にも出演した阿南健治。エリザベスの重臣タルボット役には、『セールスマンの死』などで高い評価を受け、芸術選奨文部科学大臣賞、第30回読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞した名優・段田安則。栗山民也演出作品への参加は、パルコ・プロデュース2025『星の降る時』に続くものとなる。

 このたび、モノトーンの映えるシックなメインビジュアルが解禁された。
時代に翻弄され愛を求め続けたメアリー・ステュアートと、愛を捨て君主であり続けることを誓ったエリザベス1世。2人の女王の狭間で繰り広げられる数々の陰謀、丁々発止のスリリングな王室悲劇を、栗山民也の演出、そして豪華実力派キャストの力強い演技にて描きあげる。

 パルコ・プロデュース 2026『メアリー・ステュアート』は、PARCO劇場にて2026年4月8日~5月1日、J:COM 北九州芸術劇場 大ホールにて同年5月9日~10日、兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて同年5月14日~17日、穂の国とよはし芸術劇場 PLAT 主ホールにて同年5月21日~23日、カナモトホール(札幌市民ホール)にて同年5月30日~31日上演。

※キャスト・スタッフのコメント全文は以下の通り。

<コメント全文>

■栗山民也

 あと5、6年もしたら、AIが人間のあらゆる生活を支配しているかもしれないし、80年前だって、人間は自ら創り出したものによって自らを滅ぼしてしまったじゃないか…などと答えの出ない問いをブツブツと繰り返していた時、一つの作品と出会った。すでに19世紀にあのフリードリッヒ・シラーによって書かれた『メアリー・ステュアート』の、ロバート・アイクによる新たな翻案である。

 2人の女性の全身を賭けたぶつかり合いは、権力、王権、宗教などの対立の時間を冷酷に刻みつける。この長い歴史のなかで、ずっと響き合ってきた2人の人間の孤独な魂の衝突である。その様相は、私たちのこの現在の地球上の様々な対立そのままを鏡に映し出しているようで、とてもリアルだ。全て正確に作られたAIによる一つの解答よりも、舞台という場所で、われわれ人間が出会い別れていく不確定で愚かで間違いだらけの、だけど限りなく美しい物語を、わたしは選ぶ。

■小田島則子

 ロバート・アイクが翻案した『メアリー・ステュアート』の翻訳を担当させて頂き大変光栄に思っています、と同時に大変緊張しています。

 作者ロバート・アイクはまだ30代ですが、すでに数々の大作を生み出しており、中でも古い作品を現代風に翻案する名手という印象が強い作家です。
その一つ『ザ・ドクター』が栗山さんの演出によりパルコ劇場で上演されたときの記憶は今も鮮やかに蘇ってきます。『ザ・ドクター』は100年以上前にシュニッツラーが書いた原作が元になっていますが、アイクはこれを現代の複数の問題が浮き彫りになる陰影の深い戯曲に仕立てました。

 一方、200年以上前にシラーが書いた戯曲を元にした『メアリー・ステュアート』は、現代の言葉ではあるものの現代風にではなく、より古いシェイクスピアの歴史劇に近づけたような翻案劇になっています。これを栗山さんがどのような舞台に立ち上げていくのか、翻訳をしながらあれこれ想像を巡らしていますが、きっと私の想像は裏切られるのだろうな(良い意味で)と思っています。

 さらに宮沢りえさん、若村麻由美さんが2人の女王をどう造形されていくのか、本番を見るのが楽しみでなりません。

■宮沢りえ

 演出の栗山さんからこの山の山頂を目指そう!とお誘い頂いた高い高い山。私にとってヒマラヤ級の『メアリー・ステュアート』メアリーを演じさせてもらえることへの、喜びと怖さで、心も身体も震えます。2025年に演出して頂いた『オーランド』を演じた時のように、高みを目指し、若村さんをはじめ素晴らしいキャストの皆さんと見たことのない景色を見れるよう全力を注ぎたいと思います。

■若村麻由美

 パルコプロデュースで栗山民也さん演出は、世界を震撼させたルーシー・カークウッド作『チルドレン』(2018)以来です。常に現代社会に問う栗山演出作品は、井上ひさし作『頭痛肩こり樋口一葉』(こまつ座13/16/22)幽霊花蛍役でも多くを学ばせていただきました。最も信頼する演出家にエリザベス1世役に指名いただき光栄です。

 ヴァージン・クイーンとも言われるエリザベスは、運命に敢然と立ち向かう強い女性というイメージでしたが「国王とは国王という身分の奴隷に過ぎない。
国王でいることは囚われの身と同じ、自らの心に従うことは許されない」と吐露し決断に苦悩する人間らしさも併せ持ちます。台詞の攻防戦が見所なので演出を体現出来るよう、私らしいエリザベス1世を目指します。

 牢獄に囚われたクイーンメアリーと、国家という牢獄に囚われたクイーンエリザベス。2人のクイーンの運命と闘いが、今を生きる私たちに何を投げかけるのかご期待ください。

■橋本淳

 ロバート・アイク版『メアリー・ステュアート』と聞き、一筋縄ではいかない作品だろうと予想はしていましたが、今回翻訳された戯曲を読み、その予想はさらに斜め上をいくものでした。

 レスターという人物を、私に預けてくださった栗山さんの思いに、感謝とともに受けて立つ覚悟です。

 稽古前のひとり孤独に戯曲に向かう時間は、恐ろしくもあり途方もない時間ですが、その時間の大切さも知っています。この素晴らしいカンパニーと合流した時のために、しっかりと準備を積み重ね強大な壁に向かいたいと思います。

 それぞれの欲望を満たそうとする愚かで滑稽な姿、それは国や時代に関係のない、人の業。効率や合理性だけを求めることや、自身の発言や行動に覚悟や責任を負うことなく、他者になすりつけ逃げ回る姿に、現代社会にも通ずる普遍性を、悲しいかな、そう感じます。

 この戯曲をしっかりと咀嚼し、裏打ちするメッセージをしっかりと作品の中に刻み込めるように、矜持をもって臨みたいと思います。どうぞご期待ください。


■木村達成

 今回務めさせていただくモーティマーはプロテスタントとして育てられ、カトリックは危険だ、脅威だ、憎めと教えられていたにも関わらず、その教会を見た時に、息が詰まるほどの感動をします。そして、彼はメアリーに会ったその瞬間に、魅かれます。この激しさ、狂おしさといった心の扉を開けるのはきっと苦しいものだろうと今からふるえる思いでいます。『スリル・ミー』以来約2年半ぶりとなる演出家・栗山民也さん、宮沢りえさん、若村麻由美さんを始めとした共演者の皆様に食らいついて、邁進していきたいと思います。

■犬山イヌコ

 今ですね、正直なところ大変ドキドキしておりますです。なにしろ犬山にとりましては、初めての翻訳劇、初めての栗山民也さんの演出、初めてご一緒させていただく多くの共演者のみなさま、さらには新生PARCO劇場の舞台に立つのも初という、初体験ラッシュでござります。

 しかし、こう書いてみると、ここまで初づくしな経験もなかなかできるものじゃないですね。うむ、そうですね。そう考えるとなんだかワクワクしてきますね。そんなドキドキもワクワクも味方につけまして、この『メアリー・ステュアート』の世界の中で生き、みなさまと魅力的な舞台を創り、お届けできたらと思っております。

■谷田歩

 原作の本を取り寄せ読み出した時は発狂しそうだった、なにせ300ページに渡るメアリーの生い立ちを描いた文献だったからだ。コレをどういう形で台本におこすにしても、想像するだけで緊張感が高まってくる。
しかし色んなメアリー経験者の意見を聞いて確かに難しくはあるがやり甲斐はあるという事が判った。そしていざ上演台本が届いて目を通すと新たな難問が湧いて来た、この本通りに演技をしてもエンターテイメントにはならない。と言うのは、終始イングランドに対して謀反を企てたスコットランド女王を処刑するか否かを議論で時には策略で問うて行くだけのストーリーだからだ。従って各シーンでの瞬間の演技やリアクションが物凄く重要になってくる、発見や驚きを明確に裏に持つ気持ちをちゃんと表現して行かないと眠たい芝居になってしまう。先日お会いした若村さんが「メアリーは牢屋に幽閉されているけれど、エリザベスはイングランドに幽閉されている」と言う言葉が俺の中でヒントになった気がした。19年の幽閉後処刑されたメアリーの最後の2日弱を描いた今作、全集中で作りたい

 大好きな出演者ばかりで本来なら楽しみしかないのですが、コレはストイックな稽古場になる予感しかないので早めの覚悟が必要だと思う年末の今日でした

■大場泰正

 今回のロバート・アイク版は、古典文学としての格調を保ちながらも、俳優が舞台に立ち、言葉と身体によって立体化されることを前提に翻案されていると感じています。政治権力、宗教、男女関係といった問題が、登場人物それぞれにとって切実なものとして迫り、舞台上での俳優同士のリアルタイムの応酬が、今から楽しみでなりません。宮沢りえさん、若村麻由美さんをはじめとする共演者の皆さまと共に、お客様にハラハラドキドキする時間をお届けできたらと思います。また、これまで数多くの名作を生み出してこられた栗山民也さんの演出を初めて受けられることを、大変嬉しく思っています。これから始まる創作の過程の中で、この戯曲がどのように立ち上がっていくのか、その時間を共有できることを楽しみにしています。

■宮崎秋人

 デイヴィソン役を演じます。宮崎秋人です。

 栗山民也さんとは今回で3回目となりますが、毎回新しい発見と挑戦をさせていただき、本当に感謝しています。今作では、シラーが描いた重厚な世界観の中で、宮沢りえさんをはじめとする素晴らしいキャストの皆さんと舞台を創り上げられることを心から楽しみにしております。2人の女王の運命が交錯するこの物語は、権力と愛、そして人間の本質に迫る深遠な作品です。歴史上の人物でありながら、現代にも通じる普遍的な感情や葛藤を抱えた一人の人間として、役に命を吹き込んでいきたいと思います。観客の皆様に心に残る舞台をお届けできるよう、全力で取り組んでまいります。

■釆澤靖起

 これほど胸を高鳴らせて本のページを繰りに繰ったことがあったでしょうか。歴史に疎い私が一気に読み切ってしまった『メアリー・ステュアート』は人間の全感情てんこ盛りの崇高で重厚なエンターテイメント作品でした。この傑作を名舞台発信基地のパルコ劇場で、しかも栗山さんの演出で、しかも宮沢さんと若村さんを主軸に据えて、ってどれだけ贅沢で奇跡的企画なんでしょうか。そしてそこに、この私が参加できるという奇跡的奇跡。本当にありがたい事です。長生きはするものです。

 ガチガチに緊張しいの私ですが、幸い共演者の中には以前ご一緒させて頂いた方も居られます。和やかに、気負わず、一所懸命に取り組む所存です。

 皆様、何卒よろしくお願い申し上げます。

■阿南健治

 44歳で亡くなった哀しきヒロイン、スコットランド女王メアリー・ステュアートの名前を知ったのは、映画ではあり、今回の台本でより深く知った感じでもあります。そのメアリーの看守役のポーレットは、女王陛下絶対の時代で、忠実に真面目に看守を全うしようとするも、彼なりに揺れ動きもある感じで、引き入れた甥っ子のこともあって、様々な思いの中でのおじさんではあります。メアリーの物語は、ドイツの劇作家が最初に書いて、今回の作品は、イギリスの演出家が手がけた本で、それを日本語に翻訳された世界ではありますが、1568年のメアリーのイングランド亡命から1586年に亡くなるまでの真実は、如何なるモノではあったのかなと、そんな事も日本人である私が想像しながらで、色々と楽しみたいとは思います。

■久保酎吉

 これまで色々な方々が演じて来られた、古典の名作『メアリー・ステュアート』。そのロバート・アイク翻案バージョンを栗山さんが演出する。きっと何か、仕掛けてくるに違いない。どんな舞台ができあがるんだろう。今回共演する方も、半分以上初めてご一緒します。皆さん、どんな稽古をするんだろう。自分のことはさておいて、面白い舞台ができそうな、予感とワクワク感でいっぱいです。今までにない『メアリー・ステュアート』が立ちあがる瞬間を、ぜひ、皆さんと一緒に作れたらと思います。

■段田安則

 僕としては舞台に立つのが少し間が空いての『メアリー・ステュアート』ということで、名作と呼ばれる作品に挑めることを今から楽しみにしています。

 栗山さんとは今年『星の降る時』で久しぶりにお仕事することができて、演出に迷いがなくいつも的確で本当に楽しかったので、またご一緒できるということで嬉しく思っています。

 宮沢さんとはこれまでも何度も共演させていただいていて、今回も良いものになるんだろうなという安心感と期待もありますし、初めて共演させていただく方も多いので、そんな方たちのお芝居に触れられるのは楽しみの多い現場になりそうだなと感じています。

 メアリーとエリザベスの人生の交わりがスリリングに描かれた、ストーリー自体が劇的で面白い作品です。栗山さんの演出に僕たち役者が応えて立ち上げることができれば、良いものをお届けできると確信していますので、ぜひご期待ください。

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