2025年のお笑い界を振り返ると、ユースケと津田篤宏からなるダイアンの大躍進が印象に残る。今回はダイアンを一ファンとして見守り続けてきたライターが、そんな彼らの躍進を振り返りつつ、来年以降の展望を占う。
【写真】めちゃくちゃカッコよく決めてもらったゴイゴイスー、ほか<ダイアンフォトギャラリー>
■ 転機となった『お笑いの日』『FNS27時間テレビ』
滋賀県の中学校の同級生、ユースケ(本名・西澤裕介)、津田篤宏からなるコンビ、ダイアン。2000年にデビューし、関西で不動の人気を獲得すると、芸歴18年目という独特のタイミングで2018年春に満を持して東京に進出した。
元々、ビジュアル先行型ではないコンビゆえの宿命で、「華がない」「地味」と全国区ではしばらく活躍らしい活躍がなかった彼らにとって、1つ目の転機となったのは、2022年放送の大型特番『お笑いの日2022』(TBS系)だ。ランジャタイが、津田をコラボ相手に指名して披露した通称「ゴイゴイスーミュージカル」がSNSで大バズリした。
さらに2023年には、当時4年ぶりに復活した『FNS27時間テレビ』(フジテレビ系)で、大阪時代より苦楽を共にし、このときすでに人気芸人だった先輩・千鳥、後輩・かまいたちと3組で総合司会を務めた。当時すでに売れに売れていた千鳥・かまいたちとの組み合わせは、ひいき目に見ても“バーター”的な扱いであることは否めなかったが、それでも、大型番組の総合司会という大役を務めたことはファンとしてうれしかった。
■ ファンもビックリ 露出が多すぎて追えない!
この2番組を経験して以後、2人の環境は加速度的に激変していく。かつて私はコラムでこう書いた。「もしかしたらすぐにはハマれないかもしれないが、だまされたと思ってしばらく観続けてみてほしい。ジワジワと、じんわりと効いてくるのが“ダイアンの間”なのだ」※1。当時の私に言いたい。ジンワリや、じんわりどころの騒ぎではない。
今や毎日のように2人はテレビに出演し、レギュラー番組やYouTubeを追うのでさえやっとであり、その露出すべてを追うのは難しくなってきている。かつて、2人の人気番組への出演が発表されるたびに、ファンのSNSがわいていたのが懐かしい。今やそんなことが「普通」になってしまった。
また、大役にも抜てきされている。ユースケは今年の漫才の祭典『M-1グランプリ2025』(ABC・テレビ朝日系)の敗者復活戦の審査員に、並み居る『M-1』優勝経験者の中で唯一、優勝経験がないままに抜てきされた。
一方津田も多方面に活躍。アパレル大手・ユニクロのCMでは実母・きみ子さんと共演したほか、「求人ボックス」では世界的な名優・役所広司と共演。「三井住友銀行」CMで紙の通帳への思い入れを捨てきれない男を演じて見る者を感動させるなど、実は演技力が高いことが示され、ドラマ『フェイクマミー』(TBS系)にスポットではなくレギュラー出演したほか、来月からの日曜劇場『リブート』(同系)への出演も決定している。
極めつけは、年末を飾る国民的歌番組『第76回NHK紅白歌合戦』において、バナナマンを始めとする人気芸人が務めた副音声の実況トーク『紅白ウラトークチャンネル』の司会を、ダイアンが務めることになった。
■ “東の大物”が次々ハマった津田の“愛され力”
ダイアンが躍進を遂げた要因の一つと言えるのは、関東の大物芸人に次々と津田がハマっていったことが挙げられるだろう。
東京進出後、まだまだ知名度が低かったころから、さまぁ~ずは自分たちの公式YouTubeチャンネルに津田をたびたび呼んでいたし、くりぃむしちゅー・有田哲平も2人の進出直後から『有田ジェネレーション』(TBS系)や、『全力!脱力タイムズ』(フジテレビ系)などに2人を何度も招いていた。
これだけナニワな風体のコンビがなぜ東京の大物たちにハマったのか。1つには、関西時代から津田が有する「愛され力」とさえ言える「イジりたくなる存在感」があるだろう。「打てば響く」のが津田の魅力であり、関西の番組では、ときに100人組手のように次から次へと飛んでくる「イジり」「ボケ」を津田が汗をかきながらさばいていく光景はまさに恒例だった。関西で多くの芸人を虜にしていた彼の「愛され力」が、全国区でもしっかり浸透したのだ。
■ 「名探偵津田」という“ゲーム実況”の名作
加えて、ここまで触れなかったことが不自然なくらいだが、なんと言っても『水曜日のダウンタウン』(TBS系)の大人気企画「名探偵津田」の影響力は計り知れない。
元は「犯人を見つけるまでミステリードラマの世界から抜け出せないドッキリ、めちゃしんどい説」という、津田が無理やりミステリードラマの世界へ放り込まれ、犯人を暴くまで解放されないというルールの一ドッキリ企画だったが、回を追うごとに注目度は増していき、先日放送された第4弾も大盛況。その人気ぶりは、かつての『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ系)の大みそか特番「笑ってはいけない」シリーズに比肩するほどで、国民的バラエティへと成長してしまった。
「名探偵津田」の魅力は、もちろん一テレビ番組の枠を超えた大掛かりな仕掛けや、本家ミステリードラマ顔負けのあっと驚く伏線でもあるが、最大の魅力と言えるのは、やはり津田の存在そのものだろう。
「名探偵津田」シリーズを見ていると、これは「津田篤宏のためだけに作られたゲーム」を津田がクリアするゲーム実況なのではないか、と感じる。
ゲームの実況配信があってもそのすべてが人気になるわけではない。結局ゲーム配信は、配信者の写し鏡である。配信者に魅力がなければ務まらない。津田という、基本的にはめんどくさがりやで、ビビリで、こずるくて、スケベで、気持ちが乗ってきたときだけまれに頑張るという、あまりに人間くさく、その人間くささを隠さない主人公=「名探偵津田」というコンテンツが、万人にウケた結果と言えるだろう。
■ 津田大活躍の影で…見過ごせなくなってきたユースケとの「格差」
ここまで主に津田の活躍ぶりに触れてきたが、ユースケはというと…。津田の活躍ぶりに追いついていないことは、認めざるを得ない。かつて2人はアニメ『オッドタクシー』(テレビ東京系)で、ホモサピエンスという売れないお笑いコンビを演じ、津田演じる馬場敦也だけが売れていってしまい、ユースケ演じる柴垣健介と気まずい「コンビ格差」が生まれてしまう、という描写があったが、あれほどではないにしろ、「格差」が生まれ始めていることは、否めない。
先日放送された、芸人1000人が「今年一番面白かった芸人」を投票する特番『芸人総選挙2025』(TBS系)でも、なぜか「ダイアン」でなく「ダイアン津田」として単独でノミネートされ、そのまま並み居る芸人を抑えて1位を獲得してしまった。酷い! せっかくならコンビでノミネートしてほしかった!
ユースケが「売れていない」わけでは断じてない。津田の売れっぷりがスゴすぎるのだ。このままでは、「じゃない方芸人」のレッテルを貼られかねない。
■ ユースケが追いついてきたとき、ダイアンは“完全体”になる
ただ、歴史を紐解くと、「じゃない方芸人」は“逆転の歴史”でもある。「トゥース」で春日俊彰が爆発的に売れたあとの若林正恭、『ホームレス中学生』(ワニブックス)がベストセラーとなって一躍時の人になった田村裕のあとの川島明など、「じゃない方」のレッテルを貼られ続けた者が、盛り返す例は少なくない。
ユースケ自身もまだまだ知られていない魅力がたくさんある。古着やジーンズ、バイク、ビンテージカーと、ラインナップだけなら長瀬智也かよと言いたくなる男くさい趣味の個人YouTubeだけでなく、津田を超えてめちゃくちゃ怖がりというキャラクターもある。そして何よりも、ダイアンの頭脳はユースケなのだ。
加えて、以前のコラムでも書いた通り、津田を最も活かせるのはユースケであり、ユースケを最も活かせるのは津田なのだ。関東でそのことにいち早く気づいてくれたのは、前述の有田かもしれない。『有ジェ』で津田とユースケがお互いの不満を叩きつけ合うラップ(?)バトルは、破壊的な面白さを生み出し、番組終了後にはその盛り上がりは『脱力タイムズ』でゲストに津田が呼ばれた際、ほぼ必ず「テレパシーアニマル」MCごんのすけ=ユースケが乱入してくるパターンへと引き継がれた。
先述した『芸人総選挙2025』の1位を獲得し、番組のラストでコメントを求められた津田は「ダイアンで獲りたかったよ西澤!」と叫んだ。これは偽らざる本音だろう。熱狂的ダイアンファンで知られる渋谷凪咲は、ダイアンを「お笑いの完全体」と評した。ユースケが覚醒してダイアンが真の完全体になったとき、来年末の番組で第1位に2人して君臨する可能性は、大いにあり得るだろう。
※1「華がない」「地味」ダイアンに本格ブレイクの兆し! 中毒性のあるその笑いの正体とは クランクイン!

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