反逆者として名を刻みながらも、どこか未完成なまま揺れ続ける青年ハサウェイ・ノア。そして、その心を静かに、時に激しく揺さぶる少女ギギ・アンダルシア。
【動画】「これは青春の物語」小野賢章×上田麗奈が語る『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』
■『閃光のハサウェイ キルケーの魔女』が描く“青春”
――今作の台本を最初に受け取ったとき、どんな印象を抱きましたか?
小野:前作では、説明的なセリフがほとんどなく「この言葉にはどんな意味が込められているんだろう?」と、行間を読み取るのにかなり苦戦しました。ですが今作『閃光のハサウェイ キルケーの魔女』では、ハサウェイがマフティーの仲間たちと行動を共にしていくこともあって、台本から自然とつながってくる感覚があったんです。物語としても、ハサウェイが“マフティーとしてやりたかったこと”が、いよいよ本格的に動き出した……。そんな手応えを強く感じました。
上田:ギギは“勝利の女神”として物語に深く関わっていく存在なので、ハサウェイとケネスの戦いの中で、彼女の存在感がより大きくなっているなと感じました。それに、ギギ自身がこれまでどこかで諦めてきた人生や生き方に、一度立ち止まって向き合う場面も描かれていて。そうしたギギの心の揺れや変化も、物語を動かしていく大きな力になっているんじゃないかなと思います。
そして全体を通して感じたのは……やっぱり“青春”なんですよね。
小野:“青春”ですね。間違いなく、青春物語です。
――前作と比べて、ハサウェイにはどんな変化を感じましたか?
小野:ハサウェイで言うと、ケリア・デースの存在が大きいですね。前作のラストにも登場していましたけど、今作ではその関係性がよりはっきりと描かれていて、シーン全体に気まずさというか、ギクシャクした空気が流れているのを強く感じました。
前作のハサウェイは、あくまで“ハサウェイ・ノア”として人と会話している印象が強かったんです。どこか鎧をまとっているような、本心を隠したまま、印象よく振る舞っている感じがあって。その分、彼の本音が見えづらい部分もあったと思います。
でも今作では、苦悩や葛藤、そして苦しんでいる姿がよりはっきりと描かれている。前作から「ハサウェイは一見まともそうに見えて、実は一度壊れてしまっている人間だ」という話はしていましたが、その“壊れた部分”が、いよいよ画面の上にはっきり表れてきたな、という印象があります。
――そうした内面の葛藤がより複雑化したハサウェイを演じるうえで、特に意識されたことは?
小野:ベースにあるのは、やはり『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』で起きた出来事ですね。あれはハサウェイの中で、ずっと消えないトラウマとして残っています。
ただ、村瀬修功監督から言われたディレクションとして印象的だったのは、今回はマフティーの仲間たちと一緒に行動するシーンがほとんどだということ。たとえば“学生運動”に近いような、大学生のノリというか……言い方が難しいんですが、どこか勢いで突き進んでいくような軽さがあるんですよね。
だから、重くなりすぎないように意識していました。出撃シーンひとつ取っても、絶望や覚悟だけで固めるのではなく、「学生ノリの延長線上にある戦い方」として成立している。その空気感は、ハサウェイ一人ではなく、マフティー全体で共有していたものだと思います。
――対クェス、対ギギに向ける感情の違いについて、小野さんはどのように捉えていますか?
小野:これは本当に難しいんですけど……クェスに対しては、やはりトラウマであり、贖罪であり、自分の罪の意識そのもの、という感覚が強いですね。自分の中から生まれてしまった“罪”の象徴、みたいな存在だと思っています。
あくまで僕個人の解釈なんですけど、ハサウェイにとってクェスは、「前に進もうとしても、後ろから引っ張られる存在」なんじゃないかなと感じています。
一方でギギは、クェスと似た人間性を感じる部分もありつつ、どこか“前へ引っ張ってくれる存在”でもある。そこに、決定的な違いがある気がしています。
ハサウェイ自身が、その違いを言葉にしてくれたらいいんですけど……そこはあくまで想像の域を出ない部分でもあるので、明言はできない。ただ、少なくとも僕の中では、そういう対比として捉えていますね。
■その名を、転がすように――「ハサウェイ・ノア」に宿った無意識
――前作と比べて、ギギにはどんな変化を感じましたか?
上田:前作までのギギには、人を見透かしたり、相手を手のひらの上で転がしたりすることを、そつなくこなしてしまうキャラクターという印象がありました。そこには大人びた雰囲気や、時には怖さすら感じるような側面もあったと思います。
ただ、その中にも垣間見えていた“無邪気な少女らしさ”が、今作ではより多く描かれている印象があります。自分の人生を振り返る場面では、等身大で自然体な表情や声色が見えてきて、「共感できるかもしれない」と思わされる瞬間もありました。
とはいえ、悩み方のスピード感や、直感力の鋭さからくる思考の運び方は、やっぱりどこか浮世離れしている。そのアンバランスさこそが、変わらずギギの魅力として映っていたのかなと思います。
――対ケネス、対ハサウェイに向ける感情の違いについて、上田さんはどのように捉えていますか?
上田:とても感覚的に演じていた部分なので、これも私個人の解釈にはなってしまうんですけど……ケネスに対してと、ハサウェイに対してとでは、 “温度感”が違っていたように感じました。
ケネスに対しては、大人のつれなさからくるつまらなさを感じることも多かったですし、軍人としてのギラギラした一面に惹かれる部分はあっても、その裏にある“大人”を見てしまうと、どうしてもクールにならざるを得ない。大人として振る舞わなければならない場面が多くて、そこにはある種の諦めもあった気がします。もしかしたら、同族嫌悪のような感情も少しあったのかもしれません。居心地の良さと、冷静さが同居している関係でした。
一方で、ハサウェイに対しては、いつも自分の心を躍らせてくれる存在というか。
――PVにもある、ギギが「ハサウェイ・ノア」とひとり言のように呟くシーンに込めた感情は?
上田:あのシーンに乗せた感情は、ギギ本人も自覚していないものだったんじゃないかなと思っています。だから、言葉にすること自体が難しいというか……。
なぜあのとき、「ハサウェイ・ノア」という名前を、一音一音、転がすように口にしていたのか。その意味を、ギギ自身もまだ知らなかった。だからこそ、観てくださった方それぞれに考察してもらうためのシーンなのかな、と思っています。
――最後に、ファンのみなさんへメッセージをお願いします。
小野:前作から、気づけば5年が経っていました。本当に長い時間お待たせしたな、という思いがあります。でもその分、今作は、ひとつひとつのシーン、ひとつひとつの表情にまで「意味がある」と感じてもらえるような、非常に密度の高い作品に仕上がっていると思います。だからこそ、まずは安心して、劇場で思いきり楽しんでほしいですね。
僕自身、『閃光のハサウェイ』という作品の楽しみ方は、「観て終わり」ではないと思っていて。同じ作品を観た人たちと、「あのシーンはこうだったんじゃないか」「あのとき、彼は何を考えていたんだろう」と語り合う、その時間まで含めて完成する作品なんじゃないかなと感じています。
考察する余白がたくさんある作品なので、ぜひ観終わったあとも、いろんな視点で語り合ってもらえたら嬉しいです。
上田:ギギは、この物語を動かしていくキーパーソンのひとりですが、今作は本当に、あらゆる場所で濃密なドラマが描かれています。ハサウェイ、ケネス、ギギの3人だけでなく、登場するすべてのキャラクターに注目していただきたいですね。
それぞれの言葉の意味や、シーンに込められた意図を考えながら観ていただくと、きっと何度でも味わえる作品だと思います。先ほど話に出た「青春」という言葉が、どういう意味だったのか……。それも、実際に観ていただくことで「ああ、これかもしれない」と感じてもらえる瞬間があるはずです。
ぜひ劇場で、この物語を体感していただけたら嬉しいです。
(取材・文・写真:吉野庫之介)
『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』は、1月30日より全国公開。
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