映画『うちの弟どもがすみません』をはじめ、さまざまな作品、ステージを経験し、着実にキャリアを積み重ねてきた織山尚大。芸能活動をスタートし10周年となる2026年は舞台『エクウス』で、“聖地”グローブ座の舞台を初めて踏む。
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◆自由を求める主人公に共感
ピーター・シェーファーの戯曲『エクウス』は、実際に起きた事件をもとに描かれており、表面的には異常犯罪を描きながら、人間の心の闇と情熱を真正面から捉えた心理劇。厩舎で6頭の馬の目を突くという衝撃的な事件を起こした少年を治療することになった精神科医は、彼の心の奥底を探っていくうちに、少年の異常な「信仰」と「情熱」の正体に迫っていくことになり…。
主人公のアランを3年ぶりの主演舞台となる織山が演じるほか、共演に村川絵梨、岡本玲、須賀貴匡、近藤隼、津田真澄、坂田聡、長野里美、千葉哲也と実力派キャストが顔をそろえる。数多くの受賞歴を誇る小川絵梨子が新訳・演出を担当することも話題の作品だ。
――本作のオファーを聞かれた時のお気持ちはいかがでしたか?
織山:「舞台をやりたい」とずっと思っていたので、うれしかったです。自分にとっていろんな節目を迎えた上での今回の『エクウス』になりますが、資料を見た時に「まずい! これはただものじゃない舞台だ」と感じましたし、いろんな方から「大変そうだよね」と声をかけられています(笑)。
――演出の小川さんとは初顔合わせとなります。小川さんの印象はいかがですか?
織山:小川さんは、自分と似ている部分がいくつかあるのかなと感じています。ものすごい明るいようでものすごく暗いというか…。そこは僕も同じなんですよね。運命共同体のように手を取り合い、毎日アランというキャラクターを2人で探しながら稽古を重ねています。
――小川さんの演出を受ける中で、新たな発見はありますか?
織山:小川さんには小川さんの舞台の間があるんです。演出されていた森田剛くんの舞台を観させていただいたのですが、それもすごく間の詰め方が不思議で。一緒に作品を作っていくなかで、考えてから言葉を出すのではなく、言葉を言ってしまったがゆえに感情が生まれる。感情っていうものは結果なのだということを学びました。
――演じられるアランについてはどんなキャラクターと捉えられていますか?
織山:かわいそうというか、孤独で孤独でしょうがなくて、ふてくされることができない子だと感じました。コンプレックスみたいなものをものすごく抱えているんですけど、登場人物みんながそこを突き刺してくる。生身の人間として内臓がむき出しになっているというか、そこを突かれると痛いんですよね。そんなアランと自分も重ならないといけないので、毎日落ち着かないような感じです。でも、それはそれで「あぁ、エクウスをやっているな」という感じがして楽しんでいます。
ただアランを演じようと思ってやっても『エクウス』という作品ができるわけじゃないと思ったので、まずアランはどういう人間なのか、その時の感情とか、自分が発した言葉以外にも相手にこう言われてどう思うのかと、演技のキャッチボールに対して敏感になりながらアランを観察しています。
――アランに共感するところはどんなところでしょう?
織山:僕も、敷かれているレールに不満を覚えることもあるし、普通はこうなんだよという言葉に対してものすごく敏感なところはちょっと似ているなと思います。アランが自分を鞭で叩くシーンがあるんですけど、自分のことを汚らわしいと思っているんですね。
アランはエクウスと1つになることで自由な存在になりたい。そういう欲がものすごく強いんです。アランが自由になりたいと叫ぶシーンがあるんですけど、自由になることって素敵なんだな、そこに対して真剣に向き合っている彼は素敵だなと思いました。自分もアランと共鳴じゃないですけど、わかるわかるというところがたくさんあるので、そこは観てくださる方にも何か感じ取っていただけたらうれしいです。
――先日、乗馬体験にも出かけられたとか。
織山:最近、馬というワードが日常生活にあふれすぎて、スマホに馬しか出てこなくなりました。そんなに検索しているわけじゃないのに、いたるところに馬の顔が出てくるので、どこかで聞かれているのかもしれない(笑)。
乗馬体験では「馬ってこんなに大きいんだ」「馬に乗るとこんな景色なんだ」というのを生身で体験できて楽しかったです。馬の背中には神様が人間が乗るために作ったんじゃないか、絶対に人間が乗る場所だよねっていうへこみがあるんです。『エクウス』という作品はアランとエクウス(馬)、2つが1つの存在になるという作品なので、そういう感覚も体験できて充実した刺激的な1日を過ごせました。
◆事務所入所10周年を迎える今『エクウス』に挑めることに「運命を感じる」
――3年ぶりの舞台出演となりますが、織山さんにとって舞台の面白さはどんなところにありますか?
織山:これまでSTARTOの事務所の方々の舞台もそうですし、シルク・ドゥ・ソレイユとかもそうですし、たくさんの舞台を観て、世界って広いんだな、表現することってこんなに面白いし楽しいんだなっていうことに気づかせてもらいました。そこから自分も演出をやりたいと思い始めたし、いろんなことを知りたいと思うようになりました。
中学時代から嵐さん、映像でしかないですけどSMAPさん、少年隊さん、いろんな舞台やコンサートを観てきましたが、すごく刺激的だったんですよね。東山(紀之)さんの舞台を生で観たら全然違うんですよ。これは映像じゃ伝わらないなって思ったんですよね。映像には映像の美学があると思うんですけど、やっぱり生で観てその場で感じるものって絶対あると思うんです。今稽古をしていて、この『エクウス』も舞台ならではの魅力があふれた面白いものができるんじゃないかなと期待しています。
――グローブ座の舞台は初めてなんですね。
織山:正門(良規)くんの舞台を観た記憶もありますし、東山(紀之)さんもやられたりして、その当時の話もすごく聞きますし、グローブ座ってどんなところなんだろう?とずっと思っていました。先輩や後輩もコンサートなどをやっている中で、やっと立つことができるのでうれしいです。
先日実際に舞台に立たせていただいたのですが、舞台から観た景色が全然違うんです。タテに広いこともあって包まれている感覚がしました。
――織山さんは今年事務所入所10周年を迎えられます。振り返るとどんな10年でしたか?
織山:全部120%の力でやってきたというか、すべてにおいて絶対に手を抜くことはなくやってきたから悔いはないですけど、結果がすべてなんだなっていう現実の壁にもぶち当たってきたなって思います。いくら本気でやってきて全力で悔いがないとはいえ、結果が中途半端だったら中途半端なんですよ。自分が中途半端じゃないと思っていても結果が中途半端じゃダメなんだなって思いました。でもそこは、「出る杭は打たれるけど、出すぎた杭は打たれない」と、入所してすぐに僕のおじいちゃんが言ってくれたんですけど、その通りだなと思って。やりきらないといけないし、だからこそ隙を見せちゃいけないし、最近になってもう一段階研ぎ澄まされたというか、完璧にならなきゃダメなんだなって思うようになりました。
――そんな中で、この『エクウス』に挑戦できるのはすごく大きな意義がありそうですね。
織山:20歳とかだったら絶対できなかったと思いました。その年だったらわからなかった感情もあるし。今22歳なので2年しか差はないと思われるかもしれないんですけど、アイドルにとっての10代から20歳、そこからその先っていう年齢ってものすごく大きくて。中学生から18~19歳くらいって1番キラキラしてたんですよね。
(取材・文:近藤ユウヒ 写真:高野広美)
舞台『エクウス』は、東京・東京グローブ座にて1月29日~2月15日、大阪・サンケイホールブリーゼにて2月20日~24日上演。

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