高難度パフォーマンス、個性豊かな新世代、リニューアルした劇場——2020年代のAKB48は、かつての「会いに行けるアイドル」だけではない、新たな魅力を兼ね備えたグループへと進化している。2025年の結成20周年ではOGの存在感が話題を集めたが、同時に「今のAKBもかわいい」「現役も気になる」という声も急増した。

本記事では、20周年を経て改めて注目される現在のAKB48の魅力を整理していく。

【写真】かわいさあふれるAKB48現役“万バズ”メンバー

■現役メンバーの魅力も再認識された20周年イヤー

 20周年記念シングル「Oh my pumpkin!」では、前田敦子高橋みなみ小嶋陽菜指原莉乃のOG4人が選抜メンバーとして参加。2025年12月4日から7日までの4日間・6公演にわたって開催された日本武道館コンサートの最終日は、135人ものOGが集まる豪華なステージとなり、新旧ファンを熱狂させた。

 1年の締めくくりには、グループとしては6年ぶりとなる第76回NHK紅白歌合戦に出場。ビデオリサーチ調べの歌手別視聴率では3位となる37.1%を記録し、「フライングゲット」「ヘビーローテーション」といったメドレーは世代を超えた共感を呼んだ。

 OGが在籍時と変わらぬ存在感を示す一方で、SNSでは現役メンバーに対する好意的な反応やバズもたびたび発生。20周年は、過去と現在のAKB48の魅力が交差し、現役の新たな価値が広く認識される節目の一年となった。

 AKB48は長年、「カラオケで歌いやすい楽曲」「誰でも真似しやすい振り付け」という親しみやすさを強みとするアイドルグループとして支持を集めてきた。ところが2020年代に入り、そのイメージは変化しつつある。

 転機となったのが、2021年9月にリリースされた「根も葉もRumor」だ。"どえらいダンス"と評されたこの曲は、高難度でパワフルなパフォーマンスが大きな話題となり、「会いに行けるアイドル」として親しまれてきたAKB48に、着実な実力が備わっていることを世間に知らしめる契機となった。当時、グローバルガールズグループ・IZ*ONEでの活動を経て復帰した本田仁美(現・SAY MY NAME)が持ち込んだパフォーマンススキルは、その後のグループ全体のレベルアップにも貢献した。


 また、「根も葉もRumor」は、2010年12月の「チャンスの順番」以来約10年ぶりとなる、姉妹グループのメンバーを含まないAKB48単独名義のシングルだった。

 かつてのAKB48は、シングルの選抜メンバーに姉妹グループのメンバーも加わる体制が続いており、「誰がどのグループのメンバーなのか分からない」と感じることも少なくなかった。だが、“本店単独”が定着したことにより、シングルごとにメンバーが比較的固定され、顔ぶれも覚えやすくなった。

 AKB48の象徴であった「選抜総選挙」は2018年6月の第10回大会を最後に休止され、現在は運営がシングルごとに選抜メンバーを決定する方式に変わっている。この方針転換により、各シングルでの個性や主役がよりはっきりと示され、グループとしての印象も一層鮮明になった。

■チーム8出身・小栗有以倉野尾成美がグループをけん引 “万バズ”メンバーも続々

 現在のAKB48の中心を担う小栗有以、倉野尾成美はいずれもチーム8出身だ。チーム8は2014年、全国47都道府県から代表メンバーを選ぶコンセプトで発足し、AKB48の内部にありながら独自色の強い活動を展開してきた。

 その後、AKB48は2023年4月29日のコンサートで「チーム制およびキャプテン制の休止」を発表し、チームの枠を越えた新体制へ移行。

 ドラマやモデル業でも活躍し、グループの知名度向上に貢献している小栗は「Oh my pumpkin!」でセンターを務めた現在のAKB48の顔。倉野尾は2024年3月に向井地美音から4代目総監督のバトンを受け継ぎ、パフォーマンスとリーダーシップに優れた存在としてグループをけん引中だ。かつては「本店」とはやや異なる立場で見られてきたチーム8出身者が、今ではグループの象徴的な存在となった。新体制をけん引する2人の姿は、現在のAKB48の強さを体現している。


 2021年にはグループ単独では5年4ヵ月ぶりとなる17期生オーディションが開催。その後も18期生、19期生、20期生、21期生と毎年オーディションが開催され、AKB48は新たな世代を次々と迎え入れた。劇場公演を軸に積み重ねられてきたパフォーマンス力は次世代メンバーにも確実に受け継がれ、グループとしての完成度を引き上げ続けている。

 17期生の佐藤綺星は、2024年7月発売の64thシングル「恋 詰んじゃった」で初の単独センターを担当。同年にはドラマ『星屑テレパス』(テレビ東京系)で初の地上波ドラマ主演を務めた。2025年6月には横浜DeNAベイスターズのイベントでチアダンスを披露し、その姿がSNSで万バズを記録。1月28日には1st写真集『天使の反射角度』(集英社)を発売予定だ。

 18期生の八木愛月は2025年4月発売の65thシングル「まさかのConfession」でAKB48史上初となる研究生センターを担当した。特徴的な振り付けを「野菜引っこ抜きダンス」と命名したことでも話題に。2023年10月の日本武道館コンサートで、くじ引きによってソロコーナーを勝ち取り「国境のない時代」を披露したことをきっかけに注目を集めた。秋元康氏肝いりの「ここからだ」公演でソロ曲を与えられていることも、彼女への期待の大きさをうかがわせる。

 19期生の伊藤百花は、2024年3月に研究生として加入後、直後にドラマ『星屑テレパス』に出演するなど早くから注目を集めた。
2025年12月に正規メンバーへ昇格し、2月25日発売の最新67thシングル「名残り桜」ではセンターを務める。落語が趣味という一面もあり、YouTube「AKBの素を出すちゃんねる」の企画「いともも 落語家になる」では、春風亭小朝らに弟子入りを志願し、二代目「春風コココ」の高座名を授かるなど、アイドル活動の枠を超えた活躍が期待できる。

 20期研究生の丸山ひなたは、握手会での全力のファンサービスがTikTokで100万再生を突破してバズを起こした。絵の才能が群を抜いており、2025年10月放送の『プレバト!!』(TBS系)では色鉛筆作品で才能アリ1位を獲得。初出演にして特待生に昇格するという快挙を成し遂げた。芋への愛情が深く、日本武道館で開催された20周年記念コンサートでは「さつまいもの妖精になる」という公約を掲げてファンを戸惑わせた。

 2025年に加入した21期研究生は、高橋舞桜(※「高」は「はしごだか」が正式表記)、田中沙友利、牧戸愛茉、森川優、渡邉葵心の5人。フレッシュな魅力に溢れ、多様な個性が揃った新世代として将来の飛躍が期待されている。

■シングル表題曲に15年ぶり“桜” 4月には国立代々木競技場公演も

 2024年12月8日、約3ヵ月の改修工事を経て秋葉原のAKB48劇場が全面リニューアルオープンした。最新の音響・照明設備を備えた新劇場で始まった「ここからだ」公演は、タイトルが示す通り、20年目に向けた新たなスタートライン宣言である。象徴的な「二本の柱」は残され、そこには数々の歴史が刻まれている。

 約9年ぶりのオリジナル公演として秋元康氏が全曲書き下ろしたこのステージは、SNSでのバズよりも作品そのものの完成度を重視する姿勢を示している。
AKB48は今もなお、この場所を原点として自分たちの表現を積み重ね続けている。

 2月25日には、67thシングル「名残り桜」が発売される。2011年の「桜の木になろう」以来、シングル表題曲としては15年ぶりにタイトルに「桜」がつく楽曲だ。同シングルには、2026年春に卒業を予定している向井地の卒業ソング「向かい風」も収録される。

 4月3日から5日にかけては、国立代々木競技場第一体育館でのコンサートも控える。この公演の成功は、現AKB48が目標とする東京ドーム公演への大きなステップとなる。OGたちと駆け抜けた20周年を経て、いよいよ現役メンバーのみの実力が問われる21年目が始まる。AKB48という看板を背負う誇りと悔しさを同時に味わった1年は、彼女たちをさらに強くするはずだ。かつて国民的アイドルとして頂点を極めたAKB48は、再び夢に挑むグループとして新たな一歩を踏み出そうとしている。(文:山田健史)

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