2026年の大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK総合ほか)の放送開始からひと月が経過した。豊臣秀吉の立身出世物語を“弟の視点”で捉え直す本作。
【写真】『豊臣兄弟!』ついに動き出した猿“たち”の快進撃 写真で名シーンを振り返り
■感動だけではなかった兄弟の再会。「怖かったのは兄者じゃ」
オープニング、「2匹の猿」のアニメーションが、いきなり意表を突いた。1匹は銭を手に、もう1匹は大根を脇に木のてっぺんへと駆け上がっていく。昔話風の語りが、大河ドラマという大きなフィクションの幕開けを宣言した。
そして登場した小一郎(のちの豊臣秀長)が「まあまあまあ、双方とも落ち着かんか」と、農村で起きたいさかいを、両者の言い分を聞き、両者が得をする方法で収めてみせた。その姿に、さっそく彼の理知が見て取れる。
8年ぶりに兄・藤吉郎(のちの豊臣秀吉)が帰郷。小一郎を尾張・清須の「道普請(工事)」に連れ出した。
その後、土砂崩れが発生するが、小一郎の機転により、道は完成。その一部始終を信長が見ていた。信長は先の小一郎の言葉に対し「確かに道を整えれば、敵から攻め込まれやすくもなる。だが、こちらが敵より早く出陣することもできる」「じっとしていては、欲しいものは手に入らぬ。自分の進む道は、自分で切り開くのじゃ」と返す。兄弟の非凡な才覚はもちろんだが、この信長あってこその、兄弟の出世なのだと改めて思わされる。信長演じる小栗旬のセリフ回しと“殿”たる存在感もやはりすごい。
さらに第1話で最も強烈なインパクトを残したのが終盤だ。盗人を捕らえようと見張りをしていた兄弟が、信長への刺客を捕らえる。それは藤吉郎の恩人でもある横川甚内(勝村政信)だったが、藤吉郎は一片の迷いなく斬り捨て、天下人となる秀吉の一端を示した。
■母の嘘が背中を押した。「あんたらは、あのお天道様みたいにおなり」
第2話では、農民として生きることを望んでいた小一郎が、修羅の道へ足を踏み入れざるを得なくなる悲劇が描かれ、仲野の演技力が爆発した。幼なじみ・直(白石聖)の祝言の日、村が野盗の襲撃を受け壊滅する。小一郎の機転で一度は危機を脱したかに見えたが、戦国の暴力は容赦なく彼らの平穏を奪い去った。
変わり果てた幼なじみを見つけたシーン。「なんじゃこれは。次から次へと。わしらが何をした? なんなんだこれは! あー!」。降りしきる雨の中、友の首を抱きながらの、泥にまみれた絶望の慟哭は、何も持たざる者が味わう無力感そのものを体現していた。
そこに「これがこの世じゃ」と藤吉郎が駆けつける。あまりに絶妙なタイミングに、最初は少し戸惑ったが、思い返すと、藤吉郎はその前に信長を心配する妹・市(宮﨑あおい)から「兄弟とは不思議なものよの。お互いのことをわかりたくなくてもわかってしまうことがある。なぜそうなるのか不思議じゃが。私がいま苦しいのは、たぶん兄上が苦しいからじゃ」という思いを聞いていた。その言葉に導かれるように、藤吉郎は村へとやってきたのだ。
絶望の淵にあった小一郎の背中を押したのは、母・なか(坂井真紀)の愛ある嘘と激励だった。「あんたらは、あのお天道様みたいにおなり」。この言葉を胸に、小一郎と藤吉郎は、祝言を抜け出し小一郎と生きると決めた直とともに、3人で村を出た。
■これまでにない「草履」エピソードが引き出した小一郎の機転と知恵
清須での新生活が始まり、物語が桶狭間へ向けて加速した。第3話で驚かされたのは、秀吉にまつわる逸話のひとつ「信長の草履」のエピソードだ。信長の草履を懐で温め、忠義心を見せたというこの話を、大胆に脚色。
ここで小一郎は「鳶(とんび)が低く飛んでいる」ことから雨を予言。「濡らしてはいけないので懐に入れていた」とした。農民ならではの経験値予測が、単なる言い訳に終わらず、続く“桶狭間の闘い”の勝敗を決する伏線として機能していくのである。
信長の戦いへの準備も進んでいた。第3話の時点で佐久間盛重(金井浩人)は「織田はもはやこれまでじゃ」と口にしていたが、そうした動きは信長に筒抜けだった。さらに言えば、信長は『曽我物語』(仇討ちもの)の能に興じる姿をあえて盛重に見せ、裏切りへと誘導していたことが分かる。
松下洸平演じる松平元康(のちの家康)の初登場も鮮烈だった。兵糧入れの任務で見せた慎重さが「静かなる怪物」の風格を漂わせた。
■2匹の猿から侍へ。「片方だけでは何の役にもたたん」草履のごとしバディ
第4話は、いよいよ桶狭間の戦い。小栗・信長による幸若舞『敦盛』の「人間五十年~」には、序盤からつい「おお!」とテンションが上がってしまった。
また、義元が己の陣地に踏み込むまで、信長が待ったことで、初回で描かれた道の整備も機能しただろう。戦の帰り道、小一郎が口にしたように、信長は決して“運”だけで勝ったわけではないと導き出す脚本である。
小一郎と藤吉郎の父の仇討ちを並行して見せたことも新しい。信長の進軍と、泥臭い兄弟の仇討ちを交錯させながら、同時に兄弟の絆を強固にする戦場シーンは、これまでにない桶狭間の戦いだった。
そして、戦後の評定シーン。藤吉郎は足軽組頭として「秀吉」の名を賜り、正式な武士となった。小一郎はその知恵を高く買われ、信長から近習へと命じられる。しかし小一郎はなんとこれを断った。そして「褒美は銭で」とらしい言葉とともに、自ら道を切り開く殿と、また兄の意志の強さを称え、「わしは兄に従い、兄と共に殿にお仕えしとうござります」と笑顔で力強く宣言。
この時、信長は弟・信勝(中沢元紀)から命を狙われたことを思い出していた。そして、藤吉郎(秀吉)が盗もうとしていた草履を、秀吉と小一郎に片方ずつ投げ渡す。「草履は片方だけでは何の役にもたたん。互いに大事にせよ」の言葉とともに。満面の笑みで「大事にいたしまする!」と返事する秀吉と小一郎に、市が「調子のよい猿たちじゃな」と笑みを浮かべた。猿ではなく猿“たち”。個人の才覚だけでなく、二人三脚の兄弟の補完関係を信長も認めたラストが、彼らのこれからの快進撃を予感させる。また、兄弟といえば、信長と市の兄妹も。鍵となる“兄弟(妹)”関係を見守りたい。
■天才軍師・竹中半兵衛に菅田将暉。今後も続々、気になるキャストが登場
「尾張編」を終え、物語は秀吉の出世街道が本格化する「美濃攻略」へと進む。第5話には、秀吉と出世争いを繰り広げる、大東駿介演じる前田利家が登場。さらに稀代の天才軍師として知られる竹中半兵衛に、主演の仲野太賀とは旧知の仲として知られる菅田将暉が発表された。ほかにも今後の登場キャストとして、黒田官兵衛に倉悠貴、松永久秀に竹中直人、浅井長政に中島歩、明智光秀に要潤、武田信玄に高嶋政伸(「高」は「はしごだか」が正式表記)、斎藤道三に麿赤兒など、数名をピックアップしただけでも、想像しただけで上がる名前が並ぶ。また兄弟を取り巻く女性陣として、直や寧々(浜辺美波)に続き、慶(吉岡里帆)も登場してくる。
2匹の猿から「天下一の兄弟」へ。戦国大河に現代的なバディドラマの熱さを併せ持つ『豊臣兄弟!』はまだまだ始まったばかりだ。(文:望月ふみ)
大河ドラマ『豊臣兄弟!』は、NHK総合にて毎週日曜20時ほか放送。
引用:大河ドラマ『豊臣兄弟!』インスタグラム(@nhk_toyotomi)

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