前田敦子にアンジェリーナ・ジョリー、さらにはねぶたにドッスン、中島くんと、二次元、三次元問わずインパクト大なモノマネが毎回大反響を集めるキンタロー。

テレビで見かけない日がないくらいのフル回転を見せる彼女が、ドラマ『替え玉ブラヴォー!』(NHK ONEで配信中)では、主人公の人生の節目に現れる謎の占い師を怪演。「今年は知的なお笑いを目指す」と公言する彼女に、本作出演で得たものや占い師との因縁(?)など、たっぷり話を聞いた。

【写真】「トゥームレイダー!」の声が聞こえてきそう! キンタロー。撮りおろしショット

◆主演・北香那のナチュラルな演技を間近で勉強

 本作は、20年来の親友から突然絶交された主人公が、ラーメンとバレエが人生に絡み合う中で友情を取り戻していく大人の青春物語。主人公・佳里奈を『ばけばけ』での好演も記憶に新しい北香那が、その親友のバレリーナ・優美を天野はなが演じる。

――出演オファーをお聞きになった時のお気持ちはいかがでしたか?

キンタロー。:芸の幅を広げたいとは常々思っていて、今年は知的なお笑いを目指していきたいと。普段の活動の得意分野は15秒で笑いを取ってそこからは尻すぼみという感じなのですが、ドラマともなるともっと長い時間になりますし、たくさんの人とチームを組んで作り上げていくもの。それは私の目指していきたい場所だったんです。ジム・キャリーやマキタスポーツさんなど、お笑いの人もドラマに参入していい味を出していますよね。そういう姿に憧れていたのでぜひ!とお返事しました。


――出演解禁時に「大河ドラマないしは連続テレビ小説も狙っている」とのコメントもありました。

キンタロー。:『ばけばけ』にも化け物役で出れたんじゃないか、私こそ妖怪だ!って思うんですけど…。無念です。

――(笑)。今回演じられるのは謎の占い師役です。

キンタロー。:これまで出会った楽しい占い師さんたちのイメージを凝縮した感じで役作りさせていただきました。

私自身も占いが非常に好きで、昨年のお正月は占いのアプリにハマって10万円くらい課金しちゃって(笑)。でもすんごく当たったんですよね。「待って! 年始に言われなかった!?」ってなって、スクショを見返したところ、「あ!当たってる!楽しい!脳汁出る!」みたいな楽しみ方をしました。

今年はゲッターズ飯田さんに頂いた手帳によると、グリーンがラッキーカラーということで、今日も着させていただきました。


――謎の占い師のビジュアルは、そこはかとなく“アンジェリーナ・ジョリー味”のある印象を受けたのですが…。

キンタロー。:私の統計学的に、私ぐらいの年齢の女性占い師はああいう見た目なんです。みんなで一緒にこうだよねって話し合いながらメイクしていって、衣装もイメージ通りドンピシャのものが用意されていたので、納得の仕上がりになりました。

――佳里奈役の北香那さんとのご共演はいかがでしたか?

キンタロー。:私の目指しているところの、とてもナチュラルな演技をされる方でした。普段の楽しく会話をしている感じで演技もされているんですよね。私はややもするとすぐにわざとらしくなったり、誇張してしまったりがクセとしてあるので、ナチュラルな演技を間近で吸収させていただきましたし、とても勉強になりました。

――ドラマの演技の難しさはどんなところに感じましたか?

キンタロー。:舞台やお笑いだと誇張したりオーバーに声を張り上げたりというアプローチの演技で割と行けちゃうことが多いんですけど、しゃべり言葉でナチュラルであるんだけどどこか映像用の立ち居振る舞いというのがすごく難しいなと感じました。

しかも何回もテイクするじゃないですか。それでも色あせずに安定したものを出すというのが自分は不得意で。
私は「そっくり館キサラ」(編集部注:東京・新宿にあるものまねショーレストラン)にも出てるんですけど、すごく飽き性でネタを毎回すぐに変えていくんです。でも同じキサラに出ているジョーク東郷さんという方は、10年間まったく同じネタを毎回さも初日のようにずっと演じられていて。それは才能だ、すごいことなんだって感じました。お客さんにとってはいつもファーストインプレッションかもしれないですし、その人たちに向けてずっと同じ空気感でやるというのはすごく難しいことなんだなと思いました。

ドラマって奥深いなって感じましたし、いろんな可能性をまた勉強させてもらえたなと思っています。

◆占い好きなキンタロー。が忘れられない占い師の言葉

――今回のドラマは「ラーメン」「バレエ」「女の友情」という3つがテーマとしてあります。

キンタロー。:全部親近感が湧くものですね。ラーメンは大好きですし、バレエに関しても私は社交ダンスをやっていましたし、女性の友情も人間関係って難しいなって思っていたので。

ドラマでは主人公が突然絶交を言い渡されるんですけど、私も中学校のころにそういう経験があって。やられたほうは理由がわからなくて困惑するんですよね。
そんなところにも親近感がありました。溜まりに溜まって絶交を言い渡されても、言われた本人は、「なに?なに?」ってなるし、「じゃ溜まる前に言ってよ!」ってなっちゃう。相手は相手で「察してほしかったのに!」ってことなんでしょうけど、「ん?」って思ったときに言うべきだよねって思います。自分も溜め込むタイプだし両方の気持ちがわかるんですよね。そんな気持ちで佳里奈と優美の関係を見守っていますね。

――演じられる謎の占い師は、佳里奈に「50年に一度の運気だけど、人生の清算が必要」との言葉を掛けます。占い好きのキンタロー。さんが覚えている占いの言葉はありますか?

キンタロー。:私、言われてすごく嫌だった一言があるんです。今でも覚えているんですけど、大学生のときに友達に付き添って行った占い師のおじさんに「おでこを見せてごらん」「あぁ。君はねぇ。女々しいマザコンと結婚するね」って言われたんですよ!(怒) 「なんで、そんなこと言う?!」「占いでもそんなこと言っちゃダメだろう!」「お金払ってるのになんでそんな嫌なこと言われなきゃいけないんだ!」って今でも忘れずに残ってるんですよね。
その後付き合う男性みんなが「女々しいマザコンなんじゃないか?」と思えてきちゃうし、呪いになりますよね。そもそも付き添いで行った時点で自発的じゃないのに、行くんじゃなかったって後悔するし、その友達にも恨みが芽生えましたからね。

これを見ている占い師の方には、なんでもかんでも言えばいいってわけじゃないってことはこの場を借りて言いたいです。

――「人生の清算」のような経験はありますか?

キンタロー。:東京に出てきた2011年は転機となったというか、いろんなものを清算した年でした。社会人だったんですけどどうしてもお笑い芸人になりたくて、職場を辞めて東京に出てきて。でもすべてを捨てきれず、いつでも名古屋に帰れるようにしておきたくて、地元の賃貸の部屋はそのままにして出てきたんですよね。なのに居候させてくれるはずの親戚の家を三ヵ月で出て行かなくてはならなくなって。お金も足りなくなり名古屋の部屋を契約し続けるのが厳しくなって手放すことになって…。でも手放すことで空いた分だけ返ってきたというか、夢だったお笑い芸人になれたので、あそこは思い切って清算してよかったなと思っています。

◆負けん気精神で突き進む一方、モノマネ炎上で落ち込むことも

――2011年に上京して、2012年のデビュー1年目には前田敦子さんのモノマネで大ブレイクしました。あの時はどんなお気持ちでしたか?

キンタロー。
:お笑い芸人として世の中に出られたっていう達成感があって、なんなら前田敦子さんのままずっと居座り続けようと(笑)。世の中に出られたことがゴールだ、ここから安泰だって思ってたんですよね。でも周りから「いやいや違う違う」「このままでいたら一発屋になりますよ」と激しいツッコミが入り。「え?そうなの?」「なんでそんな水を差すの? ちょっと楽しさを味わわせてよ」って思ったんですけど、「お前はそのまま上手くいくと思ってるのか?」「いくわけないだろう!」と100人占い師体制みたいに言われて嫌でした。

――周りからの言葉は気になってしまうタイプですか?

キンタロー。:気にしたくないんだけど、嫌な言葉って気になりませんか? メンタル弱ってると余計に。

今思い出したんですけど(笑)、友達にすごくいい!って薦められた占い師にも嫌なこと言われたんですよ。「お笑い芸人を目指しています」って言ったら、「あぁ。あなた、中身なんもないからダメだ」って(怒)。占い師たちに嫌な言葉を投げかけられるたびに、今に見てろよ!打ち克つぞ!っていう負けん気精神でやってきた感じもあります。

でも昨年SNSに上げたあるモノマネが炎上した時は落ち込みました。私もいろいろ反応を予想できるようになってきていたし、危機管理能力が備わっていないわけじゃなく、ある程度常識もあって何がよくて何がダメなのかわかっているつもりでいたんですけど、ほかの人もやっているのに謎に私だけ炎上して…。かなりメンタルもやられました。SNSなどのコメントもなんでもかんでも言っていいもんじゃないよっていうのはみんなに言いたいって思いますね。名前を隠して言えちゃうので、余計気軽にひどい言葉を浴びせちゃいがちになりますけど、そうじゃないよ、自分に返ってきますよっていうのは伝えたいです。

――モノマネで言うと、年始に放送された『マジ歌選手権』でのモノマネ芸人・キンタロー。さんの魂の叫びのようなラップが印象的でした。

キンタロー。:自分が日々感じている息苦しさ、思いの丈を歌詞にしたんですけど、浜崎あゆみさんの気持ちがわかりましたね。自分で歌詞を書いて、自分で歌うってすごく気持ちが入るんだなって(笑)。

――浜崎さんとはモノマネがきっかけで共演も果たされました。

キンタロー。:ご本人が認めてくれて共演できるというモノマネ芸人にとって夢のような最高峰のゴールでした。あゆのモノマネをする人はいっぱいいる中で、私が急にバーンと出てきたから、あゆモノマネ芸人全員に嫉妬され嫌われたかもしれないですけど、女子高生時代に、女の子の心の内を歌ってくれるというあゆの歌詞に恋愛経験がないながらも「あ、こういう気持ちなのかしら?」なんて思っていた私が、そんな教祖様の隣でステージに立つなんて人生のとんでもない1ページだったなと思います。

――キンタロー。さんは、モノマネの新作にも積極的に取り組まれ、結婚も出産もして、さらには独立してフリーになって、とバイタリティーの塊のように感じるのですが、その原動力はどんなところにあるのですか?

キンタロー。:同じことをずっとするのが苦手な性格なんですよね。要所要所でラーメンの味変みたいに変化を求めてしまうというか。安定してずっと同じ感じでやるというよりは変化していきたいっていう気持ちがどこかにあるから、それが原動力なんだと思います。

――今回のドラマもまた新しい変化をもたらしてくれそうですね。

キンタロー。:ドラマでゲットした演技力を、自分のお笑い畑に新しいアプローチとして活かしていきたいですし、相乗効果を狙っています。これまで出すことばかりでしたけど抑えるということを学びましたし、抑えの演技も必要だなと今回感じました。

――最後にドラマを楽しみにしている皆さんにメッセージをお願いします。

キンタロー。:クスっと笑えてホロっと涙もできる、さらにおいしいラーメンまで見ることができるという気軽な気持ちで楽しめる素晴らしいドラマになっています。ぜひとも多くの人に観ていただきたいです。

私はクスっと笑ってホロっとする中で、ギョッ!とできる味変スパイスになっていると思うので、えぇっ!となりながらお楽しみください(笑)。

(取材・文:渡那拳 写真:高野広美)

 ドラマ『替え玉ブラヴォー!』は、NHK ONEで配信中。

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