松田龍平が探偵兼発明家に扮し、次々と舞い込むヘンテコな依頼を奇想天外な方法でゆる~く解決していくドラマ『探偵さん、リュック開いてますよ』(テレビ朝日系/毎週金曜23時15分)が、その何とも言えない独特の世界観で話題を集めている。「探偵はBARにいる」シリーズはもちろん、父・松田優作が主演を務めた不朽の名作『探偵物語』と、なにかと縁のある探偵役に挑む松田に話を聞くと、作品同様ゆる~く和むインタビューとなった。
【写真】松田龍平、そこはかとなくかわいい! インタビュー撮りおろしショット
◆沖田修一監督、松田龍平からのリクエストに驚き「そんなに頑張りたくないんですか」
本作は、松田が企画から参加し、脚本・監督の沖田修一とのタッグで生まれた小さな田舎町・西ヶ谷温泉を舞台にしたほっこりミステリー。失踪した父の後を継いで探偵稼業を営みながら発明に力を注ぐ洋輔を演じる松田が、高橋ひかる(※高橋の「高」は「はしごだか」が正式表記)、大倉孝二、水澤紳吾、片山友希、光石研ら個性あふれる共演者とともに、ゆるくて不思議でヘンテコな物語を繰り広げる。
――今回、松田さんは企画から参加されているとのことですが、沖田監督とのタッグでこの企画が生まれた経緯を教えてください。
松田:企画と言っても大したことはしていないんですけど、「ミステリー」というお題があったから、シンプルに探偵モノが良いかなと思ったぐらいで。でも実際、まっさらなところから企画を動かすことはなかなかに大変だな、となっていた時に、沖田監督が探偵モノに興味があるという話を聞いて、まじすか?となりまして。沖田さんと一緒にオリジナルドラマを作ることができてタナボタという感じで(笑)。
――探偵兼発明家にしたいという案は松田さんからされたんですか?
松田:ドラマでよく描かれる探偵って、刑事みたいに犯人を追いかけたり、何かと戦ったり、推理したりの、アクションありきなものが多いイメージがあって。もちろんエンターテイメントでありながら、そういう形ではなくて、他の方法でどうにかならないかっていうのがありました。ゆるい感じで難事件は諦めたり、楽に犯人を捕まえるために発明品があれば面白いかもと思ったんです。
でも最初は発明にあまりフィーチャーしたくなくて。基本的に、近所の人と世間話をしたり、恋バナしたりがしたかったので。だから、細かいところは見せずにフワッと発明品を使って…解決にならないかなと思ったんですけど。
でも沖田さんに「楽に事件を解決して、それ以外は近所を散歩したり世間話をしたりフラフラしていたいんです」と言ったら、「そんなに頑張りたくないんですか」と言われて(笑)。
まあ、確かに走ったりしたくない、楽をしたい、というのはありましたけど、ガムシャラにやっていればいいということでもないんじゃないかって。無理をしない中で、頑張りどころを見出せば良いんじゃないかっていう。
――探偵モノをやりたいという気持ちはどんなところから生まれたのでしょうか?
松田:初めに企画から参加してみませんかと言っていただいて、ありがたいなと思いながらも、特にやりたいことはなかったもので、ミステリー枠があって良かったなって。探偵ならミステリーから世間話まで自由に描けそうだなって。そのぐらいでした。
探偵っていろんな問題を抱えた人とつながりを持てる仕事だし、それでいてミステリーも絡められるというのもあり、探偵という職業からいろいろと広がっていけばいいなという思いから生まれました。
◆『探偵物語』と違う探偵にはしたい
――演じられる洋輔の魅力はどんなところにあると感じられますか?
松田:洋輔は仕事として探偵をやっているんですけど、彼のバックボーンや、なんで発明家なのかということが、住人たちとの会話からちょっとずつ見えてきたりするんです。探偵が主役ではあるんだけど、その周りの住人たちがすごく重要になってくるドラマでもあって。洋輔自体がすごく面白いかというと、そうでもないんじゃないかなと思います(笑)。
――共演者の皆さんの印象はいかがですか?
松田:大倉孝二さん、水澤紳吾さんと同級生の役なのですが、3人そろった時の空気感が面白くて、妙にしっくり来てしまうところがありました。
今回は洋輔を取り巻く西ヶ谷温泉の住人たちが面白くて。住人の皆と会話をしていく中で、僕の演じるキャラクターがだんだん浮き彫りになっていく。その関係性もすごく好きでしたし、依頼を受けて回を追うごとに仲間というか、住人が増えていくのも、お祭り感があるドラマになっているような気がしていて、最後まで楽しんでもらえるんじゃないかと、そんな気がしています。
――松田さんといいますと、やはり「探偵はBARにいる」シリーズが思い出されるのですが、今回探偵ものをというのも、「探偵はBARにいる」から影響を受けている部分もあるのでしょうか。
松田:あれは助手ですからね。どちらかというと、父親のほうかもしれないですね。『探偵物語』は僕の父・松田優作が企画からやったドラマでもあったと思うので。
自分はどんな探偵がやりたいんだろう?みたいなことは考えたりして。敢えて全く違う探偵にしよう、みたいな事は特に考えてなかったんですけど、自分なりにやりたい事を考える中で、やっぱり全く違う探偵になるのは自然の摂理みたいな感じだと思うんですけど。でも松田優作はカッコよかったから、僕も憧れみたいなものはずっとあるんですけど、やろうとしたところで同じことはできないですから。
――自分なりの探偵を作る上で、一番のこだわりはどんなところだったのでしょうか。
松田:ほんと初めに言ったことぐらいで。沖田さんが参加してくれたことで、このドラマが動き出したところがありましたね。僕のこんなにもざっくりした探偵のイメージを受け止めて形にしてくれる沖田さんがいたことが、ありがたいことにドラマになったんだと思います。
僕は沖田さんは今回で3度目なんですけど、監督の人柄が映画に出ていて正直な人だと思うし、どこかでお芝居だからこその飛び方をしてくれるというか。可能性は無限大だ、という事を教えてくれる人で。映画だからこそ描けることがあるんだなって。今回のドラマも頭の中で勝手に作ってしまう制約みたいなものに縛られずに自由に想像した事を、現場でちゃんと形にできるか、みたいなところがあって、やっぱり撮影現場では色々と大変でしたけど、こういうドラマを沖田さんとやれて、すごくうれしい企画でした。
◆視聴者の「こうなるだろう」というところを裏切れたら成功
――脚本を読まれての感想はいかがでしたか?
松田:かなり面白かったんですけど、それと同時に「成立するかな?どうやって撮るんだろう?」って思うようなところもあって(笑)。
僕が最初にジェットパックで空を飛んで犯人を捕まえたい、みたいなことを言ってしまったんですけど、そこをけっこう広げていて、空飛んでるシーンが多いんですけど、CGを使ってもつまらないし、お金もかかるじゃないですか。絵本の世界みたいにするのもドラマの世界観が決まってきちゃうところがあるから、そこらへんの匙加減はどうなるのかなって思って。けっこう不安で、頼みの綱の沖田さんに、大丈夫ですか?って聞いたんですけど、沖田さんも当たって砕けろだ、みたいな感じで(笑)。
このドラマは、観てくれてる方の「こうなるだろう」というところを裏切れたら成功なんじゃないかな。回によって話やドラマの雰囲気が違ったりしてくるので、それも楽しんでもらえればいいな。
ミステリーっていうと、「犯人はあいつだ」みたいな考察を想像されるかもしれませんが、全然緻密ではないので(笑)。だからミステリーってどこまで言ったらいいのかとも感じてるんですけど。何もミステリーじゃなかったのに、発明のせいで変なミステリーに入ったりもしていて。そういう意味ではちゃんとミステリーなのかもしれないんだけど。便利なはずの発明によって知らなくて良い事を知ってしまったり、不幸になってしまうみたいな話もあったり、ミステリーがより複雑になっていったような気がします。
――発明でいうと、洋輔が移動に使う乗り物の「ドンソク」が最高でした。「ドンソク」は悪意や悪口など“負の感情”をエネルギーにして走るんですよね。
松田:“負の感情”というか、“怒り”ですね。洋輔は探偵をやる前はアメリカで人間の怒りみたいな感情のエネルギー化の研究をしていたという過去があって。
――松田さんは、すぐに怒りの言葉が出てきてスムーズにエンジンをかけられそうですか?
松田:急に自分の怒りをぶつけるっていうのは、意外とめんどくさいでしょうね。思い出し怒りとかね(笑)。
――最後に作品を楽しみにしているみなさんへメッセージをお願いします。
松田:変わった事件だったり、あまり見たこと聞いたことのないような依頼を受けてヘンテコな発明品を使って解決したり、時には解決できなかったりする、ゆるめの探偵です。温泉に入るような気持ちでゆっくり見ていただけるとありがたいです。
(取材・文:近藤ユウヒ 写真:高野広美)
金曜ナイトドラマ『探偵さん、リュック開いてますよ』は、テレビ朝日系にて毎週金曜23時15分放送(※2月6日は23時40分より放送)。※一部地域除く

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