SUPER EIGHTとしての活動はもちろん、近年は映画、舞台など俳優業にも積極的にチャレンジする丸山隆平。この春、旧知の仲だという山田佳奈が長年の思いを叶えて人気韓国映画を舞台化する『oasis』で主演を務める。

「お芝居は痛みや喜び、いろんな感情を共有できる場所」と語る丸山に、作品に込める思いや、俳優業の醍醐味などを聞いた。

【写真】舞台『oasis』で難役に挑戦! 大人の色気あふれる丸山隆平

◆「生半可な覚悟ではできない」難役挑戦は怖くて楽しみ

 韓国を代表する映画監督の一人、イ・チャンドンが手掛け、2002年に公開された『oasis』は、前科者の青年と脳性まひの女性の純愛を描き、数々の賞を受賞。公開から20年以上が経った現在も多くのファンを持つ名作だ。今回、「自身の一番愛してやまない映画は『oasis』」と公言している山田佳奈が脚本と演出を務め初の舞台化が実現。社会になじめず家族に疎まれたまま出所してきた前科三犯の青年ジョンドゥを丸山が、ジョンドゥと心を通わせる脳性まひを患い体の不自由な女性・コンジュを菅原小春が演じる。

――本作のオファーを聞かれた時のお気持ちはいかがでしたか?

丸山:演出の山田佳奈さんとは長い付き合いで、作品ももちろん拝見していますし、僕のソロ曲「ヒカリ」のMVを撮っていただいたこともあって、いつか一緒に舞台をやりたいですねとお話していました。「人生で大好きな映画がある」と『oasis』についても教えてもらったので、すぐに観て「すごかったです!面白かった」と感想をお伝えしたら、「実は舞台でやれることになった」と。「おぉ! いいじゃないですか! 僕、観に行きますよ!」なんて話してたんです。「でも、誰がやるんだろう?」なんて思っていたら、事務所から「『oasis』の話が来ています」と言われ、「いやいや、『oasis』は山田さんがやるって聞いてるから! えー!山田さんのやつだ!」と、ドッキリみたいな感じでした(笑)。

――山田さんは、この作品をやるなら丸山さんに託したいと思われていたそうです。

丸山:僕のいろんな面を彼女は知ってくれているので、そういう間柄の中で選んでくださったのは、本当にうれしかったですね。一種のちょっと病的な少年性みたいなところが自分の中にもあると思うので、役に活かせるところがあればいいなと。


山田さんは親身になりながら、まっすぐ向き合ってくれる方という印象があります。イメージビジュアルを撮影した時に「もう出来上がっている」と言ってくれたので、山田さんに身を委ねて、お互い信頼し合いながらいいものに仕上げられたらなと思っています。

すごくありがたい事なんですけど、怖い部分もあります。この作品は、恋をしている二人だけの世界感の描き方というか、切り込み方や角度がすごく美しいとも思えるし、でもいびつなようにも思えてしまうところもあって、いろいろと問いかけられる作品だというのが僕の中にあるんです。役者としてはうれしいんですけど、生半可な覚悟ではできないと身構えてしまうところもありますね。

――コンジュを演じる菅原小春さんの印象はいかがですか?

丸山:小春さんとは会った瞬間になんかドンっと来たというか。同じものを感じている気がしたんですよね。「これはやばいな、ソウルメイトだったのか」というくらい。この作品はきっと彼女の方が体への負担が大きくかかると思うので、相方として、パートナーとしてサポートできたらなと思っています。

――演じられるジョンドゥはどんなキャラクターだと感じられていますか?

丸山:本能のままでもあるし、素直ですごく優しいやつなんですけど、相手の人に間違って捉えられてしまう。でもそれも個性だと思うんです。考える前に動いちゃうみたいな。


その事が美しく見えてしまうのは、きっと彼がピュアだからなんですよね。でも、ピュアさって時に相手を傷つけてしまうことがあるじゃないですか。僕たちは社会で生きるために、抑えているところがあるというか、1度脳を通して行動に起こすか起こさないかを考える。彼はその回路がちょっと欠けてるだけだと思うんです。

でも、何故だかわかるんですよね。自分に似ている部分もいっぱいありますよ。突発的、衝動的な行動に出てしまうとか、なんか兄弟のような感じもして、すごく愛おしいですね。

◆お芝居は痛みや喜び、いろんな感情を共有できる場所

――『パラダイス』『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』などさまざまな作品に取り組まれてきていますが、舞台の醍醐味はどんなところに感じられますか?

丸山:やっぱり“生もの”ということじゃないですか。僕も舞台を観に行くときに思うんですけど、ドラマや映画で見たことがある人が目の前で演じているというのも醍醐味だと思うし。お客さんの緊張感みたいなものもあると思うんですよね。すごく繊細で神聖な空間で、一緒に緊張感や臨場感を共有できるというところは醍醐味なのかなと思います。

――本番期間中の健康管理やルーティンは何かありますか?

丸山:体に関しては仕事が終わったら食事して睡眠をとればいいんですけど、メンタルですよね。
この演目の場合、自分のメンタルはどうなるんだろうとちょっと怖いんですけど楽しみでもあります。普通のメンタルでいくのもなんか良くない気もするし、自分の心がどういう風に形を変えるのか楽しみですけど、できるだけ人に迷惑をかけないようにしなきゃなと。

めっちゃ恥ずかしい話なんですけど、僕、意外と役に引っ張られるらしくて。映画『金子差入店』の撮影の時に行きつけのバーに行ったら、一瞬誰かわからんかった!って言われて。うれしいんだけど、寂しいし怖いし…。ちょっと前に流行った性格診断あるじゃないですか。撮影中にあれをやってみたら、全然自分じゃなかったんですよね。よく俳優さんが「役が抜けなくて」みたいなこと言いますけど、「何それ」って思ってたのが、自分がそうなっちゃって…。怖いし、嫌やし、恥ずかしいんですけどね。

――舞台もそうですが、先ほどお話もありました『金子差入店』や5月に公開される映画『名無し』など、演技のお仕事の面白さはどんなところに感じられていますか?

丸山:赤堀雅秋さん演出の『パラダイス』の時に感じたのが、日常を生きていると、これはたぶんみんなに共通することなんですけど、自分じゃないというか、社会に順応している人格みたいなものなんですよね。でも舞台の上では自分とは全く違う別の人物を演じていて、そこでは社会的にやってはいけないとされていることもエンタメとしては叶うわけで。もしかしたら自分って違う生き方をしていたらこうなっていたのかもな…を自由に体現できる。
昔からいろんな人から言われるんですけど、舞台上の方が生きてるような気がする。むしろ日常の世界が疑似なんじゃないかっていうくらい、お芝居している時の方が自分らしくいられるのかもしれません。

できるだけ現実世界でもそうできたら良いなとは思うんですけど、あまり人間くさすぎると、ちょっときついじゃないですか、今。思ってることとか言えずに腹の中に溜め込んで、どう処理していいかわからないっていう人が多いと思うんですけど、そうやって生きてる人たちのこと思うと、すごく苦しいし、一生懸命だし美しいなとも思うんです。だからそういう人ほど、こういった舞台を見ると救われるところもあれば自分を戒める部分もあるんじゃないかと。声を大にして言えないことが、お芝居の上では成立するというか。作品が声を上げてくれるから、ちょっとそこに何か置いていける。そういう空間だと思うんで、僕は好きですね。痛みとか喜びとか、いろんな感情を共有できる場所だと僕は捉えてやっています。お芝居はとても豊かなものを得られると思うんですよね。

◆やっぱりグループっていいなって、今特に思う

――CDデビューから20年以上が経ち、事務所入所からも30年近いキャリアとなりますが、これまでの道のりを振り返ると、どんな月日でしたか?

丸山:もうそんなになるんですね。でも、やっとここからいろんな表現を許してもらえるような気がしますね。
スタンスとしては、アイドルの場合はファンの方々、お芝居の場合は演出家の方やお客様の求めるものに形を変えていくっていうことだとは思うんですよ。その考えは今も変わらないので、よりその精度を上げていったり、より深度を深めていったりしたいなと思います。

グループとしても今むちゃくちゃいい空気というか。去年の武道館公演あたりから、よりいい雰囲気になってきたような感じがするんですよね。お互いそれぞれのキャリアの中で、認め合いながら、気遣い合いながらやってきて、やっぱりグループっていいなって、今特に思います。だから1人の時も頑張れるし。なので僕は超ラッキーな芸能生活だなと思っています。

――最後にタイトルに絡めて、丸山さんにとってオアシスのような癒やしの存在はどなたでしょう?

丸山:ゲスの極み乙女でベースを担当している休日課長とラジオをやっていまして。ベーシスト目線でいろんな音楽を自分なりに話す番組なんですけど、課長は癒やされる! 俺のオアシスかもしれないです。先日「THE BASS DAY」というイベントで一緒にベースを弾いたんです。彼のカウントを顔を近づけて至近距離で聞いていたんですけど、打ち上げの時に、「丸さん、近くで顔を見てもかっこいいなって思った」って言ってくれたんです(笑)。かわいいんですよ。
しかも乙女みたいなキラキラした目で。俺を口説こうとしてるのかと思いました(笑)。

レコードバーにもよく誘ってくれるんですけど、「これ、丸さんに聴いてもらいたくって。丸さん好きかなと思って」って言いながら、茶色い酒をクッと傾けるんです。「あかん、あかん、あかん、あかん! 俺付き合わへんでぇ!」ってなりました(笑)。俺は元々ゲスの極み乙女のファンなんですけど、なんかもう癒やしでしかないんですよね。

(取材・文:近藤ユウヒ 写真:上野留加)

 NAPPOS PRODUCE 舞台『oasis』は、東京・サンシャイン劇場にて3月14日~30日、大阪・森ノ宮ピロティホールにて4月4日~12日、愛知・東海市芸術劇場大ホールにて4月17日~19日上演。

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