麻雀のプロリーグ「Mリーグ2025-26」のレギュラーシーズンがいよいよ佳境を迎えている。今シーズンは10チーム目のEARTH JETSが加入し、ついにチーム数が2桁台に。

試合数も各チーム120試合に増加し、賞金7000万円と優勝の栄誉をかけてしのぎを削っている。今回はそんな25‐26レギュラーシーズンに生まれた「名場面」「珍事件」の数々を振り返りたい。

【写真】衝撃的な倍満16000 ドリブンズ園田かたまる…!

(1)まさかの黙聴倍満放銃! 沈黙の15秒も…真相は?

 昨年9月15日、8年目のMリーグ開幕戦は、トップとラスが激しく入れ替わるシーソーゲームの大激戦となった。そんな中、“事件”は東3に待っていた。今期からBEAST Xに加入した下石戟(日本プロ麻雀協会)に索子の染め手が入ると、面前のまま手が進んで聴牌、リーチせずに黙聴に構える。これに赤坂ドリブンズ・園田賢(最高位戦日本麻雀プロ協会、以下最高位戦)が9索で飛び込んでしまい放銃。メンホン、ドラ3、発、混全帯么九、高め一盃口、10翻の倍満16000の放銃となった。

 通常、放銃者は開けられた手牌を確認し、「はい」と発声して点棒を支払う。ところがこのとき下石の牌が開けられた瞬間から園田はその手牌を凝視したまま微動だにせず。「はい」まで15秒もの間があった。昨シーズンファイナルで優勝を逃した瞬間、茫然自失で卓から立てなくなった「園田立てない!」の名シーンを連想するほどの間だったが、真相は対局後のインタビューで本人から語られた。

 園田は「パッと見はトリプル(11翻~の3倍満)かもしれない(と思った)」「下石さんが今日は初日で緊張して(間違って)るかも」と思ったことを明かし、点数申告の正否を確かめる間であったことを解説していた。
競技麻雀は卓を囲った4人で互いに点数申告をチェックする。「本当は24000(三倍満)かもしれないのに16000を払うのは、麻雀プロとして恥ずかしいこと」と語った園田。プロ雀士としてのプライドが生んだ「15秒」だった。

(2)幻の2翻役が初出現かと思いきや…やはり幻だった!

 8年目の「Mリーグ」だが、2翻役で「三槓子(サンカンツ)」とともにいまだ出現したことがないのが、「三色同刻(ドウコウ)」だ。例えば萬子の2・2・2、筒子の2・2・2、索子の2・2・2のように3色で同じ数字の刻子をそろえる役だが、いままで一度も出たことがない。

 そんな中、昨年9月26日の第1試合で渋谷ABEMAS・白鳥翔(日本麻雀プロ連盟、以下連盟)が、1索の暗刻と1筒の暗刻を作り、1萬と5萬のシャンポン待ちでリーチ! その後、白鳥が1萬をツモってMリーグ初の三色同刻成立!…かと思いきや、実は白鳥は3筒も暗刻にしており、つまり3つの暗刻を手牌に所持しており、ツモったことで役満・四暗刻になったのだ。白鳥は形上は「三色同刻」を和了ったが役満の和了が優先されるため、三色同刻は不成立に。役満以上に激レアな三色同刻が幻となったシーンに、解説の土田浩翔(最高位戦)も「(三色同刻が)未完に終わるわけ!?」、実況の古橋崇志 (連盟)「伝説ですね!」と大興奮していた。

(3)前原雄大さんに捧げる同日連勝! 寿人・高宮が天を指差すポーズ

 次は「珍事件」ではなく、名シーンを紹介したい。「25‐26」レギュラーシーズン中の麻雀界を襲った悲しみのニュースは、KONAMI麻雀格闘倶楽部の初代メンバー、前原雄大さんの死去だ。訃報が伝えられた直後の10月16日の第1試合、格闘倶楽部から登場したのは、前原さんと公私共に仲が良かったことで知られる“魔王”佐々木寿人(連盟)だった。

 この試合で見事な逆転勝利を飾った寿人は、対局直後に「今日だけ失礼します」と対局者3人に断った上で、生前に前原さんが「Mリーグ」で勝利した後に見せた天を指差すポーズをしてみせ、故人に届ける1勝となった。
さらに格闘倶楽部は2試合目でも、高宮まり(連盟)がトップを獲得して同日連勝を飾ると、寿人と同様の指差しポーズを披露していた。

 そんな格闘倶楽部は26日現在、首位・EX風林火山を追走。このままファイナルまで進めば、天国で見守る前原さんに初優勝を届けることができるかもしれない。
 
(4)6面待ち山11枚が和了れない!?

 今季のレギュラーシーズンで多くのファンを驚かせたのが、歴代優勝チームの不振だ。「21-22」シーズン覇者のKADOKAWAサクラナイツも、渋谷ABEMAS、U-NEXT Piratesと共にレギュラーシーズン下位に沈み、低迷している。麻雀は実力とともに運も多分に作用する競技であることで知られるが、今季のサクラナイツの不運ぶりを象徴するような“事件”が起きたのは、年明け1月30日の第1試合。悲劇の当事者は、サクラナイツ・堀慎吾(連盟)だった。

 この日も東3局で早くも6100点持ちのラス目に沈む苦しい展開の堀にチャンスが訪れた。筒子を1・2・3・4・5・6・7・8・8で持っており、ここにもう1枚8を持ってきて、珍しい1・3・4・6・7・9という6面待ちを4巡目にして聴牌。一気通貫が完成する9以外は打点が低いながら、巻き返したい堀はリーチに出る。

 「Mリーグ」恒例となっているAIによる待ち牌カウントは、驚きの11枚表示。これには解説の河野直也(最高位戦)も「初めてみた、11枚山!?」と驚き、実況の小林未沙と低めなら一度「見逃す」こともありえるのでは、などと悠長に話し合っていが、そんな間にもあれよあれよという間にツモ番は過ぎていき、待てど暮らせど堀はツモれない。
ほか3者に11枚のうち6枚が流れ、堀の最後のツモも空振り。残り5枚は最後までツモらない王牌に眠る結果に。この瞬間、河野は「うわっ! いないこと、あるの? これ…」と驚き、小林も「絶句…」と一言。どれだけ腕があっても、どれだけ待ち牌が多くても、和了れない時には和了れない。麻雀の残酷さが牙を向いたシーンだった。

(5)Mリーグ初の「小四喜」飛び出す!

 8シーズン目を数える「Mリーグ」だが、「麻雀の華」とされる役満は、実はこれまで四暗刻、国士無双、大三元の3種類しか出ていない。

 そんな中、4種目の役満が飛び出したのは2月6日の第2試合。その和了を手にしたのは、約半月前に「11枚和了れずの悲劇」を味わった堀慎吾だった。南3、大きく沈んだ6500点持ちの堀に、西暗刻、南対子、東、北を1枚ずつという配牌が入る。その後、西を槓子にしてそのまま暗槓。さらに勝負手が入った親番・渋谷ABEMAS・白鳥が打ち出した南をポン、直後に下家の格闘倶楽部・滝沢和典(連盟)から北のポンに成功し、またたくまに「Mリーグ」史上初の役満、東南西北の字牌全てで面子と雀頭を作る「小四喜(ショウスーシー)」となる東単騎で聴牌する。

 ここで微差の3着目、EX風林火山の勝又健志(連盟)が果敢にもリーチし、堀とめくり合いに。
最後は勝又が東を掴んでしまい、32000点の放銃となった。堀は苦しい試合が続き、チームはレギュラーシーズン敗退危機にあるなかで、チームの浮上に勢いをつける役満となった。

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