第49回トロント国際映画祭では最高賞の観客賞を受賞したトム・ヒドルストン主演のミステリー映画『サンキュー、チャック』より、マイク・フラナガン監督のコメント、監督の手腕について迫るスティーヴン・キングやキャスト陣のコメントが到着。併せて、新規場面写真も解禁された。



【写真】映画『サンキュー、チャック』恐怖感と祝福が交錯する新場面写真

 スティーヴン・キングの原作を『ドクター・スリープ』を手掛けたマイク・フラナガン監督が映画化する本作。トロント国際映画祭は熱狂に包まれ、満場一致で最高賞である観客賞に輝いた。

 舞台は、異常気象などで崩壊寸前の世界。絶望する人々の前に突如現れたのは「チャールズ・クランツ 素晴らしい39年間! ありがとう、チャック!」という大量の感謝広告。チャックとは一体誰なのか? ありがとうの意味とは―?

 チャックの人生を遡りながらたどり、すべての謎が解ける時、衝撃と感動が押し寄せるヒューマン・ミステリー。『ラ・ラ・ランド』の振付師マンディ・ムーアが担当したトム・ヒドルストンのエモーショナルなダンスシーンも見どころになっている。

 解禁された場面写真には、夜のネオンがにじむ異国情緒漂う街角で、何かを深く見つめるトム・ヒドルストン演じるチャールズ・クランツの姿が。等身大で知性あふれる佇まいは、チャックの複雑で豊かな内面を繊細に映し出しているとも言える。

 また、プロム会場で大勢の観衆に囲まれながらガールフレンドと背中を合わせてダンスをするシーンを捉えたカットも。洗練された容姿ながらどこかあどけない表情を残したチャック。彼女とのその身長差に思わず胸がときめくカットとなっている。

 さらに、平穏だった日常が終わりを告げようとしている世界の静寂の中、暗闇の中で呆然と立ち尽くすキウェテル・イジョフォー演じるマーティの姿。
彼の背後に忍ぶ住宅の窓に映し出された謎の男・チャールズ・クランツが。マーティの表情からは、言葉にできない不安と恐怖感が伝わるカットとなっている。恐怖感と祝福が交錯する新たな場面写真は、本作が人生の美しさを讃える物語であることを映し出している。

■マイク・フラナガン監督×スティーヴン・キング原作による「最高傑作」誕生

 現代ホラー界を牽引するフラナガン監督が、自身のキャリアにおける「最高傑作」にすると誓い、全情熱を注ぎ込んだ本作。

 フラナガン監督とキングの絆は深く、これまでにも『ジェラルドのゲーム』や『ドクター・スリープ』といった難解な原作を見事に映像化してきた。キングは、フラナガンを「優れたストーリーテラーであると同時に、ヴィジュアルの才能も持ち合わせている」と最大級の言葉で讃えている。

 そんなキングからの信頼を得るフラナガン監督は本作の脚色において、原作の持つ「逆行する三幕構成」という特殊な構造をあえて守り抜いた。これは、人生を後から振り返った時に初めて気づく衝撃や詩的な意味を、観客にそのまま届ける、という原作のアクロバティックでありながら感動的な構成に敬意を表したフラナガン監督の深い原作愛だといえる。

 また、フラナガン監督は、キング作品の神髄が「愛と希望」なしには存在し得ない点にあると定義している。世界が崩壊していく悪夢のような状況にあっても、絶望や皮肉に逃げず、人生を肯定しようとする人間の姿が正面から捉えられた本作では、「恐怖」を「希望」に変えるフラナガン監督の手腕が存分に発揮されているといえる。

 フラナガン監督が、「最も重要なシーンの一つ」と語るダンスシーンについては、トム・ヒドルストンに「自由で最も幸せな時間」と言わしめ、6週間の特訓を経て700回以上も踊り抜くエモーショナルなダンスシーンを撮影。

 また、本作では、多くのレジェンド級俳優たちとの協力が輝いている。
スター・ウォーズ』シリーズ出演のマーク・ハミルに「史上最高に背筋が凍るホラーになると思ったが、完全に予想を裏切られた。とても優しく、胸に迫る物語だ」と言わしめるなど、大御所俳優の心をも動かす演出力が光る。

 出演したマーク・ハミルが「ただの映画以上のもの、観る人を癒すセラピーのような作品」と語る通り、フラナガン監督の演出は観客の人生観そのものに語りかける。「世界が分断され、不安が渦巻く今だからこそ必要な物語」。死という避けられない運命を見つめながらも、鞄を置いて踊ることを勧めるフラナガン監督の温かな眼差しは、劇場を出る人に安らぎと確信を与えてくれるだろう。

 さらに今回、映画業界人からの応援コメントも到着している。

 映画『サンキュー、チャック』は、5月1日全国公開。

※映画業界人の応援コメント全文は以下の通り。

<コメント全文>

■ライター・編集者/稲垣貴俊

〈物語〉を知り尽くした名匠による、驚くべきイマジネーションと語りの魔術。
名優たちが織りなす、優れた舞台のようにヒリヒリと濃密なアンサンブル。
大スケールながら、親密でウィットに富んだ会話劇。
――なんて贅沢な物語体験!

■映画ライター/平沢薫

“生きる”とは、いったいどのような営みなのか。
奇想天外な物語の向こうから、マイク・フラナガン監督が投げかけてくるこの問いが、静かに、深いところに、染み込んでくる。チャックと一緒に踊りたくなる。

■映画ライター/遠藤薫

勝手ながらホラーのイメージが強かったフラナガン監督。だけど今回は怖くない! いきなり悲惨な世界の終わりを予感させる描写から始まり、暗い絶望を覚悟するものの、着地点はまさかの感動ミステリー!? トム・ヒドルストンの華麗なステップに酔いしれながら思うのは、いつか世界が終わるのは仕方ないとしても、「とりあえず、今を生きよう!」という中年らしからぬまっすぐな想い。世界の終わりを描いた作品はたくさんあるけど、予想外の角度からのアプローチに終始唸らせられました。見終わった後に感じる余韻も、愛しさとせつなさと心強さ(やっぱり中年)で大満足。説教臭さが微塵もないのもいい。

■CINEMORE編集長/香田史生

そこはかとなく漂う郷愁。「そうだった。スティーヴン・キング原作だったか...」すべてが腑に落ちた。
さすが『ドクター・スリープ』の監督。マイク・フラナガンとキング作品の相性の良さにも驚かされる。

近頃こんな映画を待っていた気がした。

■映画ソムリエ/東紗友美

人生の平凡さを嘆く必要はもうない。
“なんてことない人生”なんて存在しないのだと、この映画は教えてくれる。
私たちそれぞれの一生には、宇宙のように広がる物語がある。
観終えたあと、自分の中にも静かな宇宙が広がっていることを信じられる。
サンキュー、チャック。

■映画ライター/岡本敦史

あの日、トム・ヒドルストンが突然優雅に踊り出したから、人類はほんの少しだけ気分よく滅亡のときを迎えられたのかもしれない。
ここ数年ではいちばんのキングの理解者、マイク・フラナガン監督が、世界の美しさとその破滅を等しく詩的に描いた名編を軽やかに映像化。僕らに最後の思い出を残してくれた“誰でもないひと”チャックに、ありがとう。

■映画レビュアー/茶一郎

まだ涼しさの残る夏の夜、星空を見上げている時に感じるあの心地よさが、静かに続いていく映画。
ホラーというジャンルで心の傷に向き合ってきたマイク・フラナガンが、
記憶という宇宙に宿る無数の誰かと最期までダンスを踊ろうと、今度は私たちの人生を優しく肯定してみせる。

■映画ライター/加藤よしき

直球に申し上げまして、とても素敵な映画です。

原作は“ホラーの帝王”こと作家スティーブン・キングが贈る素敵な黙示録を、
キング大好きっ子のマイク・フラナガン監督が見事に実写化。
相変わらず相性バッチリで、万人にオススメできる人生応援映画になっております。
ホロ苦い希望を描く終幕は、きっと多くの人の心に残るはず。
やっぱね、とりあえず踊るのが一番です。

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