ベルリン国際映画祭で2冠に輝いたスペイン映画『幸せの、忘れもの。』より本編映像が解禁された。
【動画】「手話を覚えて!」ろう者の主人公が店を去った理由とは?―もどかしさが募る本編映像
本作は、聴こえない世界に生きる女性と大切な家族の物語。第55回ベルリン国際映画祭にて観客賞とアート・シネマ賞、第28回スペイン・マラガ映画祭では最優秀作品賞「金のビスナガ」と観客賞を獲得した。
原型となったのは、18分の同名短編映画『Sorda』。各国の映画祭でノミネートおよび受賞をあわせて110を超える評価を獲得し、本作へとつながった。
聴こえない世界に生きるアンヘラと、優しく寄り添う夫エクトル。2人は手話というかけがえのない言葉で心を通わせる。アンヘラは陶芸工房で働き、優しい土の匂いと仲間たちに見守られながら、静かで平穏な日々を過ごしていた。
しかし、ある“幸せな出来事”を境に、何かが少しずつ揺らぎ始める。やがて再び“疎外の世界”に引き戻されるアンヘラ。聴こえない世界とその外側で、時折見え隠れする“本当の幸せ”を、アンヘラはつかまえることができるのだろうか…。
監督を務めるのはエバ・リベルタ。劇作家、社会学者の顔も持ち、そのキャリアは本作にも多大な影響を及ぼしている。
今回解禁された本編映像では、出産を間近に控えたろう者の妊婦アンヘラが、両親とともに補聴器専門店を訪れる様子が描かれる。アンヘラは自ら店員とやり取りしようとするが、意思疎通はうまくいかず、母親が代わって用件を伝える。自分が話しているのに、とその苛立ちを露わにするアンヘラに、母親は「あなたは他の母親より助けが必要だから、補聴器をつけて」と諭す。
さらに、振動機能の有無を尋ねても店員との会話は噛み合わない。やがてアンヘラは感情を爆発させ、「ろう者に接客するなら手話を覚えて!」と言い残し、店を後にする…。
監督は、「この映画は聴覚障害についての論文ではありません。私はアンヘラをろう者全体の代表として考えたこともありません。アンヘラは母親になる過程を歩んでいる女性であり、パートナーとの関係に問題を抱え、両親との関係も複雑で、娘に自分のことを知ってもらい、また愛してもらいたいと願う女性です。そして何より、アンヘラはろう者です。アンヘラは世界を受け入れる準備ができているけれど、世界はアンヘラを受け入れる準備ができていないのです」と語る。
映画『幸せの、忘れもの。』は、5月1日より全国公開。
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