現在、テレビ東京系列にて毎週月曜日夜7時30分より放送中のアニメ「アイカツ!」。ごくごくフツーの中学一年生の女の子が、アイドル養成の名門校「スターライト学園」に編入したことでトップアイドルを目指すスポ根サクセスストーリーである。
監督は、「こどものおもちゃ」「THE IDOLM@STER」「UN‐GO」といった人気アニメの演出を10年以上に渡り手掛けてきた木村隆一。長編アニメの監督は初だという木村に、本作についてやアニメ業界に入ったいきさつなどについてインタビューを行った。

「アイカツ!」フォトギャラリー

 アニメ「アイカツ!」は主人公の少女たちが日々励む“アイドル活動”を略したもの。昨今では、本作「アイカツ!」を含め、すでに人気ゲームとなっている「THE IDOLM@STER」など“アイドルプロデュース体験ゲーム”と呼ばれる作品が数多く存在し、人気も高い。それらの人気が高い理由について「僕もそれ(人気の理由)を探しながら作っています」との答えが。「答えは見つからないと思うのですが、(アニメを)作っていくうちに、その人気の一つでも見えてくればいいかなと思います」と述懐する。

 「アイカツ!」は、実写との連動も行っているテレビアニメーション。「アニメ自体は割と子供向けに作っているのですが、楽曲はアイカツ!のために結成されたアイドルユニットが歌ってくれています。なので、音楽は少しだけ上の層の人達にも聞いてもらえたらいいなと思っています」。

 また、アニメの主人公らと実年齢が近い少女たちが声優を担当していることも大きな話題となっている本作。その発案は木村監督自身の意図だったと明かす。「最初から考えていたわけではないのですが、長い作品になるので、アニメの中の主人公と一緒に成長してくれれば嬉しいなぁという想いがあって…」と当時を振り返る。
その想いが通じたのか、現在、主人公・星宮いちご役を担当する諸星すみれが、オーディションを受けに来たのだという。「(諸星は)スタッフにもインパクトがあって…。もっと経験のある声優を選ぶという選択肢もあったのですが、その子(諸星)を使うということ決めて、周りを固めていった感じです」と語る。「音響監督さんには苦労かけているんですけどね(笑)。成功したなと思います」とのこと。

 さらに「アイカツ!」は、テレビアニメだけでなくデータカードダスや3DSなどの展開も行っている。そのため、ゲーム発売元のバンダイとはなるべく連動していこうと話し合っているという。「『アイカツ!』の場合、歌っているシーンはCGなのですが、CGモデルなどは、ゲームの雰囲気を踏襲して制作しています。ステージや音楽は、アニメのイメージそのままで遊ぶことができるので、よりアニメとの連動感を感じてもらえるかなぁと思います」。 本作「アイカツ!」の木村監督は、これまでに「こどものおもちゃ」「さらい屋五葉」「デッドマン・ワンダーランド」「THE IDOLM@STER」と様々なジャンルの演出を手掛けている人気演出家兼監督。「基本的には日常ものが好きなので、日常をテーマにした作品をなるべく選んでやってきたと言いますか…(笑)」と語る。「最近は少なくなってきてはいるのですが、日常を扱う作品が好き」ということを語ったうえで、「アニメというと、現実ではない世界観などが求められがちですが、そうではない作品でもアニメの良さを表現できるのかなとは思っています。
日常を扱ったものでも、色々なことができると思っているので、これからもそのような作品を作ることができればいいなと個人的には思っています」。

 意外なことに、アニメ業界に入った理由を「明確なきっかけはないと言えばない」と告白した木村監督。「僕等の世代は、ガンダム直撃世代」と表現し「僕等の頃ってアニメの種類が数多くあったわけではないので、面白いアニメが全部見れたんですよね。雑誌などで面白いアニメを探して、見てハマって、なんとなくアニメなどを作る人になれれば面白いのかなと思っていたらなれちゃった(笑)」と衝撃の答えが。そもそも才能があったのだろう。だが、いざアニメ業界に入ると、当初は苦労が絶えなかったと語る。「好きな仕事に就いたとはいえ、色んな人の要求に応えていきながら(アニメは)作っていくものなので、要求に応えていきながら技術を身に付けていくのは、なかなか時間が掛かりましたね」と感慨深い様子。「やはり演出は抽象的なものなので、人に伝わりにくいところもありますからね」という。

 最後に今後の「アイカツ!」について尋ねると「何年か続くようなブランドになればいいなって思っています」と展望を明かした。(取材・文・写真:鈴木沙織)
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