「バック・トゥ・ザ・フューチャー」全3作の名シーンを振り返る
世界が認める名優ロバート・デ・ニーロのプライベートの姿は、「いるのかいないのかわからない男」であるという。若手俳優のザック・エフロンがデ・ニーロと初めて顔を合わせたのは、とあるパーティー会場。しかしエフロンは、名優がすぐ隣に座っていたにも関わらず、彼がデ・ニーロであると気づいたのは帰り際であったという。このように、スクリーンと現実の落差が大きいというのが名優の持つ独特な特徴の一つかもしれない。
映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズのドクことエメット・ブラウン博士、映画「アダムス・ファミリー」シリーズのフェスター・アダムス/ゴードン・クレイブンなどで知られるクリストファー・ロイドもその中の一人だろう。11月23日から25日まで静岡・東京・千葉の会場にて行われるファンイベント「ハリウッド・コレクターズ・コンベンション」のために、「バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2」でのプロモーション以来約22年ぶり、2度目の公式来日を果たしたロイド。そんな彼が単独インタビューの中で、俳優という仕事を生業にしようと思った知られざる理由を明かした。
現在74歳のロイド。14歳から舞台を踏んだ彼の俳優としてのキャリアは、60年にも及ぶ。ブロードウェイの舞台で活躍したのち、アカデミー賞作品賞を受賞した1975年の映画「カッコーの巣の上で」で注目されたものの、1985年の映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に至るまでは苦労の連続だった。「20歳から30歳まではニューヨークをメインに活動していましたが、映画『カッコーの巣の上で』に出演した際に、メディアから注目を受けるようになりました。
確かにプライベートのロイドは物静かで、スクリーンで観る奇抜さや突拍子のなさは皆無だ。インタビューの質問に淡々と静かな口調で答える姿に、ギャップを感じなかったといえば嘘になる。別の人物を演じることで生きる道を得たロイドにとって、俳優は職業ではなく、存在理由そのものであるのだろう。
最後に、もしタイムトラベルができるなら?と聞くと「僕はシェイクスピアが大好きで、たくさんの戯曲を覚えたし、演じました。だから『ハムレット』が初演された時代にタイムスリップして、どんな演出でどんな雰囲気だったのかをこの目で見てみたいものです」と答える。未来だったら?との問いには「世界はたった50年で大きく変化しました。だから2062年に行って、世界がどれだけ変わったかを見たいですね。中東問題も気になるし、アメリカはどんな方向を向いているのか、エネルギー問題やテクノロジーについても気になることがたくさん」と真面目さがにじみ出る。今回22年ぶりの来日となったが「確か22年前には、東京ドームにジェットコースターはなかったはず。今回一緒に来た子供たちが乗りたいと騒いでいたけれど、僕は勘弁ですね」と茶目っ気たっぷりの笑顔をのぞかせた。