漫画家・車田正美が1986年に発表し、その後はテレビアニメ、劇場版、舞台、ゲーム、フィギュア、パチンコ……とさまざまなメディアミックスを果たした伝説的コミック「聖闘士星矢」。
今年の10月31日には、アニメーション作品を彩った楽曲ほかを集めたCD「聖闘士星矢SONG BEST」が発売されるなど、その人気は衰えることを知らない。
「聖闘士星矢」主題歌を熱唱するNoB
そのバンドの元フロントマンであり、解散後はロックヴォーカリスト、アニソン歌手、戦隊もの歌手としてボーダレスに活動中のNoBに単独インタビュー。来年でデビュー30周年を向かえる彼が、第1期のオープニングを飾った「ペガサス幻想-PEGASUS FANTASY-」に命を救われた、まさにファンタジックなエピソードを語ってくれた。
声優やアイドル、アーティストらがアニメに楽曲を提供する流れは珍しくない昨今。しかし「聖闘士星矢」が放送されていた80年代当時、アニメはアニメ主題歌専属歌手が手掛けるという認識があった。そもそもアニメ自体、子供が鑑賞するものであり、それを好む大人は“マニア”“オタク”とのレッテルを貼られた氷河期である。そんな時代にジャパン・メタルの一翼を担ったバンドMAKE‐UPが主題歌を担当するというのは、驚くべきことだった。「ロックバンドが主題曲をやるという前例もなければ、そんな概念もなかった時代でした。カッコよく言えば、パイオニアだったのかもしれません」とNoBは当事者として証言する。 アニメが現在ほど市民権を得ていなかった。戸惑いがなかったといえば嘘になる。
NoBはこれまでの活動の中で、大きな挫折を1度だけ味わったことがあるという。それはMAKE‐UP解散直後のこと。「仕事がなくなり、カップラーメンを1個買うのにも困った時期がありました」。そんなNoBに手を差し伸べ、現在へとつながる道を示したのが、ほかでもない「ペガサス幻想」だった。「これはやばいぞと思って、預金を確認するために銀行に行ったんです。
「(アニソン歌手として有名な)影山ヒロノブさんに誘われて行ったブラジルのイベントでは、あまりの熱狂振りに腰を抜かしました。日本の裏側にある国で、ここまで日本製のアニメが浸透しているとは。人生観も変わりました。まさにブラジルは僕の小宇宙(コスモ)ですよ」と振り返る。ちなみに「ブラジルだけでも10回は行っています。ほかはアルゼンチン、チリ、ペルー、フランス、スペイン。ラテン系の国に凄くウケているようで、サイン会を開くと何千人と来てくれる」と、日本をはるかに超える熱狂ぶりを物語る。特にブラジルは「聖闘士星矢」以前・以降という線引きがなされるほどのカルチャーアイコンとなっているらしい。
ちなみにNoBは、ヴォーカルレッスン講師という顔も持っている。日本人で一番「ペガサス幻想」を歌い、特別な曲と公言するそんな彼に歌い方のポイントを聞いた。「まずは、演奏部分のみをお店側に怒られない程度の大音量にしてください。そして、その音量をカバーするくらいの大声を出して、イントロ部分できちんと『聖闘士星矢!』と叫んでください。腹式呼吸を意識して、かつ恥を捨てて聖矢に成り切るのがコツ」とのこと。NoBにとって聖衣(クロス)の中でも神聖衣(ゴッドクロス)という、ロックグローブがあれば尚良しだ。
インタビューが行われたこの日、楽天株式会社内にある楽天大学の講堂でファンを前に「ペガサス幻想」「Never 聖闘士星矢のテーマ」「永遠ブルー BLUE FOREVER」を熱唱したNoB。
今年の10月31日には、アニメーション作品を彩った楽曲ほかを集めたCD「聖闘士星矢SONG BEST」が発売されるなど、その人気は衰えることを知らない。
そんな伝説的コミックのテレビアニメ第1期のオープニング曲であり、同アニメーションの顔的楽曲を手がけたのが、技巧派バンドMAKE‐UP。おりしも同日には「MAKE‐UP ゴールデン☆ベスト」も発売された。
「聖闘士星矢」主題歌を熱唱するNoB
そのバンドの元フロントマンであり、解散後はロックヴォーカリスト、アニソン歌手、戦隊もの歌手としてボーダレスに活動中のNoBに単独インタビュー。来年でデビュー30周年を向かえる彼が、第1期のオープニングを飾った「ペガサス幻想-PEGASUS FANTASY-」に命を救われた、まさにファンタジックなエピソードを語ってくれた。
声優やアイドル、アーティストらがアニメに楽曲を提供する流れは珍しくない昨今。しかし「聖闘士星矢」が放送されていた80年代当時、アニメはアニメ主題歌専属歌手が手掛けるという認識があった。そもそもアニメ自体、子供が鑑賞するものであり、それを好む大人は“マニア”“オタク”とのレッテルを貼られた氷河期である。そんな時代にジャパン・メタルの一翼を担ったバンドMAKE‐UPが主題歌を担当するというのは、驚くべきことだった。「ロックバンドが主題曲をやるという前例もなければ、そんな概念もなかった時代でした。カッコよく言えば、パイオニアだったのかもしれません」とNoBは当事者として証言する。 アニメが現在ほど市民権を得ていなかった。戸惑いがなかったといえば嘘になる。
「正直『え~!?』ですよ。そもそも、僕らの作るどんな曲がアニメの主題歌として成立するかわからない。だから、正しい正しくないのジャッジはレコード会社に任せて、僕らはいつも通りのスタイルで、『はい、できました』という感じ」と当時の心境を明かす。放送されたアニメの反響は凄まじかった。そして、作品世界観を切り取った歌詞にソリッドなメタルサウンドが絡み合う「ペガサス幻想」も注目の的となった。だが当時のNoBは、その反響をまったく知らなかった。しかしすぐにその曲の偉大さを、身をもって知ることになる。
NoBはこれまでの活動の中で、大きな挫折を1度だけ味わったことがあるという。それはMAKE‐UP解散直後のこと。「仕事がなくなり、カップラーメンを1個買うのにも困った時期がありました」。そんなNoBに手を差し伸べ、現在へとつながる道を示したのが、ほかでもない「ペガサス幻想」だった。「これはやばいぞと思って、預金を確認するために銀行に行ったんです。
残高なんて数百円しかないと思った。ところが自分の想定以上の金額が何故か入ってました。何かの間違いだと事務所に確認したところ、なんとそれは『ペガサス幻想』の印税だったんです」。さらにアニメの世界的ムーブメントも、NoBの考えを変化させた。
「(アニソン歌手として有名な)影山ヒロノブさんに誘われて行ったブラジルのイベントでは、あまりの熱狂振りに腰を抜かしました。日本の裏側にある国で、ここまで日本製のアニメが浸透しているとは。人生観も変わりました。まさにブラジルは僕の小宇宙(コスモ)ですよ」と振り返る。ちなみに「ブラジルだけでも10回は行っています。ほかはアルゼンチン、チリ、ペルー、フランス、スペイン。ラテン系の国に凄くウケているようで、サイン会を開くと何千人と来てくれる」と、日本をはるかに超える熱狂ぶりを物語る。特にブラジルは「聖闘士星矢」以前・以降という線引きがなされるほどのカルチャーアイコンとなっているらしい。
「ペガサス幻想」という翼によって知られざる世界を体感したNoB。以降はロックヴォーカリスト、アニソン歌手、戦隊もの歌手として大きく羽ばたいていく。MAKE‐UPとしてはほかに「永遠ブルー BLUE FOREVER」「Never 聖闘士星矢のテーマ」「NEVER GIVE UP BOYS」「ペガサス幻想 ver.オメガ」を提供。どれもこれも色あせることのない楽曲で、カラオケのナンバーにする、元“孤独な戦士(少年)”も多いだろう。今の時期ならば忘年会で盛り上がること必至だ。
ちなみにNoBは、ヴォーカルレッスン講師という顔も持っている。日本人で一番「ペガサス幻想」を歌い、特別な曲と公言するそんな彼に歌い方のポイントを聞いた。「まずは、演奏部分のみをお店側に怒られない程度の大音量にしてください。そして、その音量をカバーするくらいの大声を出して、イントロ部分できちんと『聖闘士星矢!』と叫んでください。腹式呼吸を意識して、かつ恥を捨てて聖矢に成り切るのがコツ」とのこと。NoBにとって聖衣(クロス)の中でも神聖衣(ゴッドクロス)という、ロックグローブがあれば尚良しだ。
インタビューが行われたこの日、楽天株式会社内にある楽天大学の講堂でファンを前に「ペガサス幻想」「Never 聖闘士星矢のテーマ」「永遠ブルー BLUE FOREVER」を熱唱したNoB。
講堂という特殊な場所でもライブ会場同様に完全燃焼する彼の姿から、なぜこれら楽曲が時代・国籍を超えて支持されるのかがわかった。そんなNoBに将来のビジョンを聞くと「エアロスミスのスティーヴン・タイラーは60歳を過ぎてもバリバリ現役。彼がそのスタイルを辞める年齢を、僕のゴールにしようと思っています」と口にする。だがそのときがやって来たら、きっとこう言ってくれるだろう。「心のコスモは燃え尽きていないので、まだまだロックし続けますよ」と余裕の笑みで。
編集部おすすめ